講演情報

[LS1-8]地域包括ケア時代のがん薬物療法を支える薬薬連携

内田 まやこ (九州大学病院 薬剤部 教授・薬剤部長)
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近年、がん治療は外来化学療法や経口抗がん薬の普及、支持療法の進歩などにより、入院中心から通院・在宅中心へと大きく変化している。患者が地域で生活しながら治療を継続する機会が増加する中、病院薬剤師と保険薬局薬剤師が連携して患者を支える「薬薬連携」の重要性はますます高まっている。
 当院では、がん専門薬剤師外来を運営し、治療導入時から副作用マネジメント、服薬支援、疼痛コントロールに積極的に関与している。また、外来化学療法においては、レジメン情報や治療歴、副作用発現時期などを記載した情報提供書を保険薬局へ提供し、電話フォローやトレーシングレポートを活用した双方向の情報共有体制を構築している。これにより、患者の治療継続支援と有害事象の早期発見につなげている。
 さらに、がん疼痛管理においては、薬剤師が疼痛評価、薬物相互作用の確認、オピオイド選択や鎮痛補助薬の提案を行い、緩和ケアチームの一員として多職種と協働している。特にオキシコドンとCYP3A4阻害薬・誘導薬との相互作用は、重篤な副作用や鎮痛効果減弱を招く可能性があることから、当院ではDI室と緩和ケアチームが連携し、電子カルテデータを活用したモニタリング体制を構築している。薬物相互作用を早期に検出し、病棟薬剤師や主治医への情報提供を通じて適切な薬剤変更や副作用回避に取り組んでいる。また、疼痛コントロールにおいては、患者背景や疼痛の性状、生活環境を踏まえた個別化医療が重要である。病院薬剤師による薬学的評価と、保険薬局薬剤師による継続的なフォローアップを組み合わせることで、患者が安心して治療を継続できる体制づくりが可能となる。
 本講演では、当院における薬剤師外来、緩和ケアチーム活動、外来化学療法における情報共有体制、ならびにオピオイドの薬物相互作用対策の実際について紹介する。地域包括ケア時代において、病院と薬局がそれぞれの専門性を活かしながら患者を支える薬薬連携のあり方について考察したい。


<略歴>
2001年 4月 九州大学病院 薬剤部 薬剤師
2016年 4月 大阪薬科大学 臨床薬学教育研究センター 講師
2021年 4月 同志社女子大学 薬学部 臨床薬学教育研究センター 教授
2024年10月 九州大学病院 薬剤部 教授・薬剤部長
2025年 8月 福岡県病院薬剤師会 会長(兼務)

<資格>
日本医療薬学会(医療薬学専門薬剤師、医療薬学指導薬剤師、がん指導薬剤師、がん専門薬剤師)
日本緩和医療薬学会(緩和薬物療法認定薬剤師、緩和医療暫定指導薬剤師)

<受賞>
平成22年度 日本病院薬剤師会 学術奨励賞, 第2回 西日本ファーマシューティカルケア研究会 優秀論文賞, The 74th FIP World Congress of Pharmacy and Pharmaceutical Sciences 2014, Honourable Mention,
日本医療薬学会 第6回フレッシャーズ・カンファランス 優秀演題発表賞, 日本造血・免疫細胞療法学会, HCT Contribution Award, 神戸学院大学 第7回 森わさ賞

<所属学会>
日本医療薬学会(代議員)、日本臨床腫瘍薬学会(代議員)、日本緩和医療薬学会(理事),日本癌治療学会(代議員)、九州山口薬学会運営委員会(理事)他

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