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[LS2-6-2]保湿剤使用の科学的根拠と選定療養

大井 一弥 (鈴鹿医療科学大学 副学長・薬学部長 社会連携研究センター センター長)
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皮膚は、人体を覆う袋のような存在で、その面積は約16m2である。
 皮膚は、常に外界にさらし続けているため、細菌やウイルス、紫外線の刺激によって障害を受けやすいが、修復する能力に長けている。また外界からの異物を、容易に排除出来る精巧な免疫機能も併せ持っている。一般的に皮膚表面の皮脂は、加齢に伴い減少していくので、老化と共に保湿ケアが非常に重要である。しかし皮膚表面は乾燥しても、生体内から分泌される粘液や酵素は決して干からびることはない。このように生体の営みに問題が生じないのは、皮膚生理機能が正常に維持されているからである。皮膚は、生体内に急性や慢性炎症が生じ、悪化するとドライスキンになりやすいことについて我々は、基礎研究で明らかにしてきた。しかし干物にならないためには、皮膚バリアが正常に機能することと共に保湿剤によるスキンケアが重要である。保湿剤は、一般生活者や患者が使用しやすいために、剤形が豊富にある。特にヘパリン類似物質は、1954年に発売(1990年に皮脂欠乏症の効能追加)された歴史ある製剤であり、現在まで数多くの剤形がラインナップされている。ヘパリン類似物質を塗布する際には、塗布援助を行う医療者などの手荒れや塗布に要する時間と塗布しやすい剤形を考慮すべきである。
 このように皮膚バリア機能を維持するには、角質細胞間で脂質と水分の層構造を形成し、天然保湿因子を蓄えて水分を保持できる保湿機能を有することが重要である。水分保持以外にも、免疫機能を担うランゲルハンス細胞、紫外線から深部組織を守るためのメラニン細胞も重要な役割を担っている。皮膚の最外層は角層であり、分泌腺が発達しており、常に脂性の分泌液や汗によって、ドライスキンが生じないように皮膚機能を保持している。高齢者は、表皮の分化や増殖も遅くなり、角層中の水分と結合する天然保湿因子も減少するため角層水分量が低下し、ほとんどがドライスキンを呈するようになる。これを放置すると、かゆみを訴えたり無意識に引っ掻いたりすることによって、皮膚炎などの病態皮膚を発現してしまう可能性がある。
 我々は、これまで研究で明らかにしてきた皮膚生理機能の破綻要因と保湿剤の重要性に関する知見を紹介すると共に選定療養制度についても言及することとする。


【略歴】
1986年4月 三重大学医学部小児科研究助手
2005年4月 城西大学薬学部病院薬剤学講座助教授
2008年4月 鈴鹿医療科学大学薬学部 臨床薬理学研究室教授
2020年4月 同薬学部長
2026年4月 同副学長/薬学部長/社会連携研究センター長 現在に至る

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