講演情報

[SY1-1]薬局薬剤師の災害医療への関わりに対する期待

和泉 邦彦 (藤田医科大学 防災教育センター 准教授・副センター長/新潟大学医学部)
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【はじめに】過去から学ぼうとする際、評価の物差しとなるデータや基本方針を欠くと検証は不十分となる。災害支援は、医療に限らず、外部支援者間の連携の不備にばかり目を奪われ、地元を置き去りにしてきた反省から、地域の社会インフラを活かし、地元連携を強化し、地域BCPを下支えする支援を志向している。支援を地域に合わせることから、ここでは「ローカライゼーション」と呼び、ここでの基本方針とする。医薬品供給も、既存システムを活性化する(少なくとも阻害しない)支援が求められる。続いて必要なのがデータの掘り起こしである。
【方法】8都道県において、医薬品卸業関係者等と大規模地震演習を実施し、医薬品流通について検討を行った。被災想定や対応策の検討においては、互いに震災時の実体験を共有し、文献情報の欠如を補った。
【結果】災害時には、医薬品集積所や配送センターに医薬品はあるが、出庫や配送に支障が生じる事態が生じ、その解消には、流通の上流からの人的支援が繰り返されていた。一方、国が計画・実施するPush型支援はそもそも効果がなく、かつ、時期を逸した資源投入が繰り返されていた。物流の最下流に当たる医療現場では、災害救助法による医療、すなわち既存システムを逸脱した資源の投入が繰り返されており、能登半島地震のデータを石川県から入手したが、その適否を評価するには十分ではなかった。
【考察】人命は地球より重く、救助に要す資源の多寡を論ずるのは非倫理的との考えもある。事実、災害時の「無駄」は議論されづらい。しかし、資源は有限であり、効率性を高めることで助かる人命も増す。今回の結果から、国の基本計画には矛盾があり、誤りが繰り返されていることが示唆された。同時に、検証の材料となるデータが国民に共有されておらず、今後の災害対応上の大きな不利益となることが懸念された。来る南海トラフ巨大地震では被災が広範囲に及び、応急救助の医療の不足が懸念されることから、さらなる効率化を図らねばならない。
【結語】本シンポジウムでは、上記考察を背景として、臨時調剤所の設置計画、並びに地域の薬局はどうあるべきか、共に考える場としたい。


【略歴】
1994年 名古屋市立大学薬学部卒業
1996年 名古屋市立大学大学院薬学研究科 修士課程修了
1996年 愛知医科大学病院 薬剤部
2007年 名古屋掖済会病院 薬剤部
2017年 愛知県災害薬事コーディネーター
2017年 新潟大学医学部 災害医療教育センター 特任講師
2023年 藤田医科大学医学部 地域医療産学連携講座 准教授
2023年 新潟大学医学部 非常勤講師
2024年 新潟大学大学院医歯学総合研究科 博士課程修了
2026年 藤田医科大学 防災教育センター 准教授/副センター長
DMAT事務局 業務支援検討委員会
日本災害医学会 評議員、学会主導研究委員会委員、災害医療ロジスティクス専門家認定制度ワーキンググループ
日本災害医療薬剤師学会 理事、教育・研修委員会委員長、事例検討委員会委員長

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