講演情報

[SY11-1]精神科医が薬局薬剤師に期待すること

中谷 真也 (医療法人桜花会醍醐病院 副院長)
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本発表では、精神科医の立場から薬局薬剤師に期待する役割について、服薬継続の支援、処方意図の理解、情報共有の観点から考察する。
 令和5年度厚生労働省患者調査によれば、精神疾患を有する患者は約600万人で、五大疾病の中で最多である。精神科医療は入院中心から地域・外来中心へ移行しており、患者の約95%は外来で治療を受けている。このような状況のなか、精神科医療機関の門前薬局でなくても、薬局薬剤師が精神疾患を有する患者と接する機会は今後さらに増加すると考えられる。精神科薬物療法や精神疾患を有する患者への関与に不安を感じる薬剤師も少なくないが、地域で精神科医療を支えるためには、薬局薬剤師にも精神疾患や精神科薬物療法に関する知識を深め、患者対応の技術を高めていくことが求められる。
 精神疾患の薬物療法において服薬アドヒアランスは治療成績を左右する重要な要因である。薬局薬剤師には、アドヒアランス不良の有無を把握し、その背景を分析したうえで患者や医師に改善策を提案し、服薬継続を支援する役割が期待される。同一薬剤であっても疾患や症状、処方全体の中での位置づけによって役割が異なることが精神科薬物療法の特徴であり、向精神薬の適応外使用や医師の臨床経験に基づく処方も多く、医師の処方意図を読むことは容易ではない。代表的な処方パターンや薬剤の使われ方を知り、処方意図を理解することは質の高い服薬指導の実践に必須であり、必要に応じて医師へ処方意図を確認する姿勢も重要である。
 さらに、診察だけでは把握しきれない生活状況の変化や副作用、服薬するうえでの困りごとなどの情報を収集し、医師と共有することも薬局薬剤師に期待される役割である。短時間の診察では上記のような困りごとを医師に伝えにくいという患者も少なくない。対人業務に十分な時間を確保しにくい薬局もあるだろうが、患者とのコミュニケーションを深め、その生活に目を配ることは患者理解に有意義で、このようにして患者との信頼関係を構築していくことは治療継続支援そのものであると言える。医師とのコミュニケーションに悩む薬局薬剤師も多いと聞く。トレーシングレポートや疑義照会を上手に活用して「少ない手間で質の高い情報共有を行う」ことが望まれる。
 薬局薬剤師は単なる調剤の担い手ではなく、地域精神医療を支える重要なパートナーであり、その専門性の発揮が今後ますます求められる。


【略歴】
2001年 福井医科大学(現 福井大学)医学部 医学科 卒業
2001年 京都府立医科大学附属病院 入職
2005年 医療法人桜花会醍醐病院 入職

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