講演情報
[SY12-1]医療と介護の連携による老健施設におけるポリファーマシーに対する取り組み
本郷 文教 (医療法人渓仁会 法人本部 薬事管理室長/臨床研究・治験推進室長/医療法人渓仁会 手稲渓仁会病院)

高齢者のポリファーマシーは、転倒・せん妄・腎機能悪化など多面的な健康リスクを高めることから対策が求められている。一方で介護老人保健施設への薬剤師常駐は難しく、医療施設ではないため体系的な処方見直しが進みにくいという構造的課題がある。本シンポジウムでは、医療法人本部薬事管理室の薬剤師が社会福祉法人介護老人保健施設の施設長(医師)らと連携し、リモートで服薬簡素化と減薬に取り組んだ実績を紹介する。
本取り組みでは、入所時、かかりつけ医などからの診療情報提供書や血液・生化学の検査値を薬事管理室と共有する体制を整備し、さらに介護支援システムを通じて入所者の看護、介護、リハビリテーション等の記録を薬剤師が閲覧できる環境を整備した。薬剤師はこれらの情報を基に処方内容を評価し、用法の簡素化と同効薬の整理や薬物代謝・排泄機能を基に変更・減量・中止などの提案処方を作成して施設医師らへ送付。医師らが内容確認後、入所者・家族へ説明した上で、持参薬が切れるタイミングで処方変更を行う運用とした。
2024年9月から2025年11月の137例中121例で処方変更が実施され、薬剤数・用法の種類・1日服用錠数(カプセル、包)はいずれも大幅に減少した。入所者の服薬負担が軽減し、特に服薬時間を昼食時へシフトできたことで、夜勤スタッフの業務負担軽減と服薬介助の安全性向上に寄与した。また、薬剤費(薬価)は1人あたり月平均約4,200円削減された。処方変更後、数名が便秘、不眠、不穏等の症状に変化がみられ薬剤の再調整を要したが、基礎疾患の病状に影響は認められなかった。これらの成果は、医師および看護・介護スタッフによる丁寧な説明と観察、そして法人間の連携のもとでの情報共有体制があって成立したものである。
本シンポジウムでは、薬剤師が常駐しない施設においても、組織横断的な連携とICTの活用によりポリファーマシー対策が可能であることを示すとともに、地方での地域包括ケアにおける薬剤師の新たな役割として議論したい。
【略歴】
1985年 北海道薬科大学薬学部薬学科卒業
社団法人北海道勤労者医療協会(勤医協) 札幌病院薬剤科
1986年 医療法人渓仁会 西円山病院薬剤科
1987年 手稲渓仁会病院 開設準備のため転勤、同年12月開院
2000年 薬剤部副部長 (2005年10月~2006年8月 西円山病院 薬剤科長兼務)
2011年 薬剤部長
2016年 教育研究・治験センター 臨床研究・治験推進室 室長 兼務
2022年 医療法人渓仁会 法人本部 薬事管理室 室長
所属学会、資格等
日本医療薬学会、日本老年薬学会、日本くすりと糖尿病学会
博士(薬学)、医療薬学専門・指導薬剤師
本取り組みでは、入所時、かかりつけ医などからの診療情報提供書や血液・生化学の検査値を薬事管理室と共有する体制を整備し、さらに介護支援システムを通じて入所者の看護、介護、リハビリテーション等の記録を薬剤師が閲覧できる環境を整備した。薬剤師はこれらの情報を基に処方内容を評価し、用法の簡素化と同効薬の整理や薬物代謝・排泄機能を基に変更・減量・中止などの提案処方を作成して施設医師らへ送付。医師らが内容確認後、入所者・家族へ説明した上で、持参薬が切れるタイミングで処方変更を行う運用とした。
2024年9月から2025年11月の137例中121例で処方変更が実施され、薬剤数・用法の種類・1日服用錠数(カプセル、包)はいずれも大幅に減少した。入所者の服薬負担が軽減し、特に服薬時間を昼食時へシフトできたことで、夜勤スタッフの業務負担軽減と服薬介助の安全性向上に寄与した。また、薬剤費(薬価)は1人あたり月平均約4,200円削減された。処方変更後、数名が便秘、不眠、不穏等の症状に変化がみられ薬剤の再調整を要したが、基礎疾患の病状に影響は認められなかった。これらの成果は、医師および看護・介護スタッフによる丁寧な説明と観察、そして法人間の連携のもとでの情報共有体制があって成立したものである。
本シンポジウムでは、薬剤師が常駐しない施設においても、組織横断的な連携とICTの活用によりポリファーマシー対策が可能であることを示すとともに、地方での地域包括ケアにおける薬剤師の新たな役割として議論したい。
【略歴】
1985年 北海道薬科大学薬学部薬学科卒業
社団法人北海道勤労者医療協会(勤医協) 札幌病院薬剤科
1986年 医療法人渓仁会 西円山病院薬剤科
1987年 手稲渓仁会病院 開設準備のため転勤、同年12月開院
2000年 薬剤部副部長 (2005年10月~2006年8月 西円山病院 薬剤科長兼務)
2011年 薬剤部長
2016年 教育研究・治験センター 臨床研究・治験推進室 室長 兼務
2022年 医療法人渓仁会 法人本部 薬事管理室 室長
所属学会、資格等
日本医療薬学会、日本老年薬学会、日本くすりと糖尿病学会
博士(薬学)、医療薬学専門・指導薬剤師
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