講演情報

[SY12-3]データから検証する在宅医療における薬局薬剤師の存在価値

富田 悠紀 (北海道科学大学大学院薬学研究科 薬学専攻 地域医療薬学分野 薬剤師)
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地域包括ケアシステムの推進に伴い、薬局薬剤師の在宅医療への参入が強く期待されている。2026年度の調剤報酬改定では、在宅関連の調剤報酬が再編され、薬剤師が発揮すべき役割や医師との連携に焦点を当てた評価体系へと移行した。本シンポジウムでは、在宅医療の現状と今後の薬剤師の役割について2つの調査データから考察する。
まず、札幌市内の在宅患者および介護医療院入所者を対象に、費用と患者・介護者QOL、介護負担を調査した。その結果、在宅群は介護医療院群に比べて費用が安いという経済的利点を確認した。一方で、患者QOLや介護者の介護負担スコアは在宅群で不良であった。これらは、在宅医療が費用を抑制する反面、介護者の多大な負担の上に成り立っている可能性を示唆している。さらに、患者の薬剤数が多いほど介護負担が大きくなるという正の相関が認められた。これは、在宅における多剤併用が介護負担を増大させている可能性を示唆しており、薬剤師による薬学的関与の必要性を議論するうえで重要な指標となり得る。
この関与の意義を実証的に検証するため、札幌市内の保険薬局における薬歴データを対象に、旧「在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料」の算定事例(74件)の解析を行った。内訳は、残薬調整が50件、残薬調整以外の処方変更が24件であった。残薬調整によって、残薬の解消とそれに伴う薬剤費の減少が確認された。また、処方変更の内容として患者の副作用への対応や腎機能に応じた薬剤投与量の設定、規定用量への調節等、薬物療法の適正化が確認された。
2026年度改定では、本管理料が経済性に着目した「調剤時残薬調整加算」と、安全性・処方適正化に着目した「薬学的有害事象等防止加算」へと再編され、報酬上の評価が引き上げられた。今回の解析結果は、薬剤師が実効性の高い残薬対策および服用薬剤の一元管理に基づく薬物療法の適正化を行っていることを示すものであり、本改定後もこうした業務がより評価され、薬剤師の存在価値を高める一因になると考えられる。また、新設されたポリファーマシー対策を含む「訪問薬剤管理医師同時指導料」や介護者の負担軽減につながる可能性のある「複数名薬剤管理指導訪問料」は、多剤併用への介入や安全確保を通じ、患者のみならず介護者の負担も軽減し得る新システムと捉えることができる。
在宅医療の中で薬局薬剤師が果たすべき役割について参加者の皆様と共に考えていきたい。


【略歴】
2023年 北海道科学大学薬学部薬学科 卒業
2023年 北海道科学大学大学院薬学研究科薬学専攻 入学
現在に至る

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