講演情報

[SY15-1]ダイアベティススティグマとアドボカシー~現場から変わろう~

田中 永昭 (枚方公済病院 内分泌代謝内科 糖尿病センター 部長)
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ダイアベティスのある人が、社会生活を送るうえでいわれなき誤解や偏見、不当な差別に
苦しめられている現状が広く認識されるようになった。ダイアベティススティグマは、社会全般から発せられるが、医療従事者からスティグマも発せられていることが明らかになっている。医療従事者の中で意図的にスティグマを付与しようと考える人はいないので、私たちダイアベティスケアに関わる医療従事者は、ダイアベティスのある人にスティグマを付与しないよう、よほどの細心の注意をもって治療やケアに向き合わなければならない。
スティグマを評価する目的は、スティグマを受けた人物がどのような過程でスティグマを内包化させ、本人の自尊心を深く傷つけるかを明らかにし、その解決に貢献することだけではない。スティグマの発生源を明確化し、スティグマのない社会を構築するためにどの方面にアプローチを行うべきかについても調査研究することが不可欠である。スティグマの発生源として、一般社会やメディアなどから受ける社会的スティグマと、自分自身から発せられた自己スティグマが知られているが、特に慢性疾患に関連するスティグマの場合、社会的スティグマの中で、医療従事者からもスティグマが発せられることは以前から知られている。しかし、ダイアベティスのある人が受ける医療従事者からのスティグマが当事者に与える影響について、適切な評価がされているとはいえない。
われわれは社会的スティグマ・乖離的スティグマ・自己スティグマをそれぞれ評価することが可能なKanden Institute Stigma Scale(KISS)を開発した。ダイアベティスのある人はない人に比べて乖離的スティグマを含むすべてのカテゴリーでKISSのスコアが高いことが明らかになり、スティグマが「当事者の問題」だけではなく、医療・社会が生み出す構造的問題であることが再認識された。医療従事者に対して、ダイアベティスに対する正しい理解を促進し、当事者と適切なコミュニケーションを構築することで、スティグマの発生源という立場から、スティグマ撲滅のために協調してくれる人へと大きく転換させることができれば、当事者の心理的負担の軽減のみならず、社会的スティグマの解消へと一層推し進める原動力にもなりうるのである。薬剤師の皆様にも、アドボカシー活動に率先して参加し、ダイアベティスのある人が真に幸福だと実感できる社会の実現にご協力いただきたい。


【略歴】
2000年 3月 大阪市立大学医学部 卒業
2000年 5月 大阪市立総合医療センター 研修医
2002年 4月 大阪市立総合医療センター 総合内科 研究医
2007年 4月 大阪市立総合医療センター 代謝内分泌内科 医員
2008年10月 大阪市立十三市民病院 内科 医員
2014年 7月 関西電力病院 糖尿病・内分泌代謝センター 医長
2015年 6月 同 部長
       関西電力医学研究所 特別研究員 兼務
2023年 1月 国家公務員共済組合連合会 枚方公済病院 内分泌代謝内科糖尿病センター長
2023年 4月 同 内分泌代謝内科 部長 兼務

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