講演情報

[SY17-1]次世代薬剤師を育むIT・DX教育とは―新たな資質・能力である「情報・科学技術を活かす能力」を育む医療人養成

木下 淳 (兵庫医科大学薬学部 教授)
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2022年度、我が国で初めて医学・歯学・薬学の3領域におけるモデル・コア・カリキュラムが、「未来の社会や地域を見据え、多様な場や人をつなぎ活躍できる医療人の養成」という共通のキャッチフレーズのもと同時改訂されました。今回の改訂では、2040年頃の医療・福祉ニーズを見据え、基本的資質・能力が原則共通化されたほか、医療DX時代の到来を象徴する新たな資質・能力として「情報・科学技術を活かす能力」が新設されました。中等教育においても「情報I」の必修化や大学入学共通テストに「情報」が新設され、2026年度にはプログラミング的思考を問う出題がなされるなど、真のデジタルネイティブ世代が医療の世界へ参画する時代が近づいています。
 本講演では、まず数理・AI・データサイエンス教育の政府指針や、薬学教育モデル・コア・カリキュラム(令和4年度改訂版)(以下、R4コアカリ)における「情報・科学技術を活かす能力」設定の経緯およびこの資質・能力に関連の深い学修目標について解説します。また、数理・データサイエンス教育強化拠点コンソーシアムに設置された医療系分野 IT 標準教材作成ワーキンググループで取り組んでいる医療系標準教材の作成事業についてもご紹介します。
 さらに、演者が大学院生への研究指導を通じて実感している「薬学系人材がデータサイエンス能力を獲得する意義」についてもご紹介したいと思います。膨大な医療ビッグデータから新たな知見を導き出す能力は、単なる業務効率化に留まらず、医療、介護、福祉、公衆衛生の各領域において、薬剤師がより高度な臨床判断を下し、薬物療法の個別最適化や多職種連携を推進するための強力な武器となります。
 R4コアカリは2024年度入学生から順次適用されており、2028年度にはこれらを学んだ学生が薬局・病院実習に臨み、2030年度には社会へと羽ばたきます。生成AIがさらに台頭し、IT・DXが医療の基盤となるこれからの時代、新たな資質を備えた若き薬剤師たちはどのような役割を果たし、現場をどう変えていくのか。参加者の皆様とともに、次世代の医療人が備えておくべき資質・能力と、教育・実務の両面から抱く期待について考えたいと思います。


【略歴】
兵庫医科大学薬学部教授、博士(薬学)。
1999年城西大学薬学部卒業、2001年同大学院薬学研究科修士課程修了後、東京逓信病院薬剤部に勤務し、臨床薬剤師業務に従事。2025年4月より現職。
日本薬学教育学会 理事・ICT教育委員会 委員長、薬学教育協議会 薬学教育モデル・コア・カリキュラム改訂のためのワーキンググループ 委員(B社会と薬学)、日本私立薬科大学協会 情報・科学技術検討委員会 委員、数理・データサイエンス・AI 教育強化拠点コンソーシアム 医療系分野 IT 標準教材作成ワーキンググループ 委員などを担当。
令和4年度 日本私立薬科大学協会 教育賞 受賞。

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