講演情報
[SY18-2]「処方解析思考」を脱却し、患者擁護者として実践する薬剤レビュー
矢野 良一 (大阪医科薬科大学 薬学部 教授)

薬局薬剤師には、高い臨床知識を持ち医師と積極的に連携して患者の安全を確保する患者擁護者としての役割が求められる。この役割を果たすためには、処方内容をただ受け入れるのではなく、患者の視点に立って治療の必要性(適応)から継続可能性まで、薬剤師が主体的に吟味する姿勢が欠かせない。しかし実際の現場では、医師の処方を正しい前提として都合よく解釈してしまう「処方解析思考」に陥りがちであるという課題がある。本発表では、薬剤師が本来果たすべき業務を包括的・体系化した概念である「薬剤レビュー(Medication Review)」を紹介し、受動的な業務スタイルから脱却して真の職能を発揮するための意識改革を訴えかける。 薬剤レビューとは、患者の病状や生活情報から必要な治療を包括的に考え、薬物関連問題(DRPs)を検出・解決する専門家活動である。ここでの最大の意識改革は、評価を「薬剤」からではなく「患者」から始める点にある。そのプロセスは、1. Arrangement(準備)、2. Ask(情報収集)、3. Assess(評価)、4. Advice(伝達)の4段階で進められる。本講演では、情報・思考整理ツールである「レビューマトリックス」の具体的な活用法や、有効性・安全性、緊急度に基づく「介入の優先順位づけ」の基準を示しながら、医師に対してSOAP形式で構造的に処方提案を行うまでの具体的な手法を提示する。
一方、薬局の日常業務において薬剤レビューを定着させるには、勤務時間内の時間不足、医療機関からの情報不足、医師の理解獲得といった多くの困難が存在するのも事実である。これらを克服するために、大阪市浪速区の医師会・薬剤師会が一体となった連携体制整備の取り組み(モデル事業)を紹介する。さらに、こうした取り組みやワークショップを経て、「処方の妥当性や不要な薬を主体的に考察し、自信を持って患者への声掛けができるようになった」という薬剤師の具体的な意識変化の成果についても共有する。
薬剤レビューは、薬剤師が覚悟と責任を持って薬物治療をマネジメントする「本来業務」そのものである。処方箋を待つ受動的姿勢から脱却し、薬局薬剤師や管理者が本来の仕事を実践するための強力な意識改革の契機としたい。
【略歴】
1996年 京都薬科大学薬学部薬学科 卒業
1998年 京都薬科大学大学院 薬学研究科 博士前期課程 修了
1998年 福井医科大学医学部附属病院 薬剤部 入職
2003年 福井大学医学部附属病院 薬剤部(大学統合に伴い)
2004年 福井大学医学部附属病院 薬剤部 薬剤主任
2013年 福井大学医学部附属病院 医療安全管理部GRM(兼任)
2016年 福井大学医学部附属病院薬剤部 副薬剤部長
2020年 大阪薬科大学 教授
2021年 大阪医科薬科大学薬学部 教授(大学統合に伴い)
一方、薬局の日常業務において薬剤レビューを定着させるには、勤務時間内の時間不足、医療機関からの情報不足、医師の理解獲得といった多くの困難が存在するのも事実である。これらを克服するために、大阪市浪速区の医師会・薬剤師会が一体となった連携体制整備の取り組み(モデル事業)を紹介する。さらに、こうした取り組みやワークショップを経て、「処方の妥当性や不要な薬を主体的に考察し、自信を持って患者への声掛けができるようになった」という薬剤師の具体的な意識変化の成果についても共有する。
薬剤レビューは、薬剤師が覚悟と責任を持って薬物治療をマネジメントする「本来業務」そのものである。処方箋を待つ受動的姿勢から脱却し、薬局薬剤師や管理者が本来の仕事を実践するための強力な意識改革の契機としたい。
【略歴】
1996年 京都薬科大学薬学部薬学科 卒業
1998年 京都薬科大学大学院 薬学研究科 博士前期課程 修了
1998年 福井医科大学医学部附属病院 薬剤部 入職
2003年 福井大学医学部附属病院 薬剤部(大学統合に伴い)
2004年 福井大学医学部附属病院 薬剤部 薬剤主任
2013年 福井大学医学部附属病院 医療安全管理部GRM(兼任)
2016年 福井大学医学部附属病院薬剤部 副薬剤部長
2020年 大阪薬科大学 教授
2021年 大阪医科薬科大学薬学部 教授(大学統合に伴い)
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