講演情報
[SY18-4]症例から学ぶ フォローアップのポイント「心不全」
木村 貴徳 (株式会社スギ薬局 阪神調剤薬局草津矢橋店)

【目的】
心不全はあらゆる心臓疾患の終末像である。しかし、高血圧、動脈硬化性疾患、糖尿病、慢性腎臓病等の基礎疾患が危険因子となり、他疾患併存となる心不全患者は珍しくない。また、心不全の標準治療薬は、生命予後改善効果の観点から早期の多剤導入と推奨用量への増量がガイドラインで推奨され、心不全患者は基礎疾患や不定愁訴等に関する薬剤も踏まえてポリファーマシーになりやすい傾向がある。今回はその心不全患者に対し、医学的根拠に基づく提案はもちろん、患者の思いや状況等を考慮して処方の最適化に介入した事例を紹介する。
【症例の概要】
70代男性、慢性心不全の患者で、他に高血圧症、不整脈、狭心症、脂質異常症等の基礎疾患があった。服用薬はアスピリン腸溶錠、ボノプラザン錠、エドキサバンOD錠、ベラパミル塩酸塩錠、ビソプロロールフマル酸塩錠(2.5mg/日)、サクビトリルバルサルタン(Sac/Val)錠(50mg/日)、エプレレノン(Eple)錠(25mg/日)、ピタバスタチンCa・OD錠、エゼチミブ錠等であった。介入開始時、患者はBNPが徐々に上昇している点に漠然とした不安を抱いていた。また、Sac/Val錠とEple錠は過度の降圧とふらつきを理由に、処方量の半分も服用できていない事実を電話フォロー時に確認した。心肥大の主訴とベラパミル塩酸塩錠の併用よりHFpEFを推察し、患者の腎機能やフレイル等の状況を評価したうえでエンパグリフロジン(Empa)錠(10mg/日)の追加を主治医に提案した。また、心エコー検査の結果と今後の症候性の血圧低下の有無をもとに、Sac/Val錠の中止が可能か検討頂いた。結果的にHFpEFの診断となり、Empa錠が試用的に追加となった。Empa錠は体調変化を認めず継続となり、その後、血圧とBNPの推移を見ながらSac/Val錠が中止となった。現在、患者の不安は解消し、Do処方で経過観察となっている。
【まとめ】
本症例のように、心不全治療では効果よりも多剤併用による副作用が目立ち、コンプライアンスに影響を与えることがある。処方の最適化のためには潜在化した患者の悩みや治療上の問題点を明確にすることが必要であり、薬剤師には患者に寄り添ったフォローの実施と、日頃から医師と不足する情報を相互共有できる連携体制の構築が欠かせない。
《学歴/職歴》
・2009年 摂南大学 薬学部 薬学科 卒業
・2011年 奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス研究科 分子生物学専攻 博士前期課程 修了
・2011年 シミック株式会社 臨床開発部 入社
・2012年 株式会社阪神調剤薬局(現:株式会社スギ薬局) 入社
≪専門資格≫
・日本臨床腫瘍薬学会 外来がん治療専門薬剤師
・日本医療薬学会 地域薬学ケア専門薬剤師(がん) など
≪所属団体≫
・びわこ薬剤師会 副会長 兼 学術情報担当理事
・滋賀県薬剤師会 理事(学術情報委員会 副委員長)
・NPO法人 びわ湖心不全ネットワーク 監事 など
心不全はあらゆる心臓疾患の終末像である。しかし、高血圧、動脈硬化性疾患、糖尿病、慢性腎臓病等の基礎疾患が危険因子となり、他疾患併存となる心不全患者は珍しくない。また、心不全の標準治療薬は、生命予後改善効果の観点から早期の多剤導入と推奨用量への増量がガイドラインで推奨され、心不全患者は基礎疾患や不定愁訴等に関する薬剤も踏まえてポリファーマシーになりやすい傾向がある。今回はその心不全患者に対し、医学的根拠に基づく提案はもちろん、患者の思いや状況等を考慮して処方の最適化に介入した事例を紹介する。
【症例の概要】
70代男性、慢性心不全の患者で、他に高血圧症、不整脈、狭心症、脂質異常症等の基礎疾患があった。服用薬はアスピリン腸溶錠、ボノプラザン錠、エドキサバンOD錠、ベラパミル塩酸塩錠、ビソプロロールフマル酸塩錠(2.5mg/日)、サクビトリルバルサルタン(Sac/Val)錠(50mg/日)、エプレレノン(Eple)錠(25mg/日)、ピタバスタチンCa・OD錠、エゼチミブ錠等であった。介入開始時、患者はBNPが徐々に上昇している点に漠然とした不安を抱いていた。また、Sac/Val錠とEple錠は過度の降圧とふらつきを理由に、処方量の半分も服用できていない事実を電話フォロー時に確認した。心肥大の主訴とベラパミル塩酸塩錠の併用よりHFpEFを推察し、患者の腎機能やフレイル等の状況を評価したうえでエンパグリフロジン(Empa)錠(10mg/日)の追加を主治医に提案した。また、心エコー検査の結果と今後の症候性の血圧低下の有無をもとに、Sac/Val錠の中止が可能か検討頂いた。結果的にHFpEFの診断となり、Empa錠が試用的に追加となった。Empa錠は体調変化を認めず継続となり、その後、血圧とBNPの推移を見ながらSac/Val錠が中止となった。現在、患者の不安は解消し、Do処方で経過観察となっている。
【まとめ】
本症例のように、心不全治療では効果よりも多剤併用による副作用が目立ち、コンプライアンスに影響を与えることがある。処方の最適化のためには潜在化した患者の悩みや治療上の問題点を明確にすることが必要であり、薬剤師には患者に寄り添ったフォローの実施と、日頃から医師と不足する情報を相互共有できる連携体制の構築が欠かせない。
《学歴/職歴》
・2009年 摂南大学 薬学部 薬学科 卒業
・2011年 奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス研究科 分子生物学専攻 博士前期課程 修了
・2011年 シミック株式会社 臨床開発部 入社
・2012年 株式会社阪神調剤薬局(現:株式会社スギ薬局) 入社
≪専門資格≫
・日本臨床腫瘍薬学会 外来がん治療専門薬剤師
・日本医療薬学会 地域薬学ケア専門薬剤師(がん) など
≪所属団体≫
・びわこ薬剤師会 副会長 兼 学術情報担当理事
・滋賀県薬剤師会 理事(学術情報委員会 副委員長)
・NPO法人 びわ湖心不全ネットワーク 監事 など
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