講演情報
[SY2-4]患者視点から考える薬局薬剤師の公衆衛生的役割―薬局での実践、SPHでの学び、当事者経験を通じて―
野村 洋介 (和歌山県立医科大学医学薬学総合研究科/スギホールディングス株式会社/一般社団法人日本保険薬局協会)

私がSchool of Public Health(SPH)に関心を抱いた原点は、薬局での患者対応にある。薬局では、疾患や生活上の困難を抱える患者と個別に接する。その中で、薬剤師の何気ない声かけや、思いを丁寧に聴く姿勢が、治療への前向きさや安心感に影響することを実感してきた。患者が困りごとや生活上の悩み、治療に対する考えを語ることで表情が和らぐ場面に何度も出会った。こうした経験から、患者を疾患や処方だけで捉えるのではなく、生活背景や社会とのつながりから理解することの重要性を意識するようになった。
2019年、人々の健康をより多面的に捉えたいと考え、公衆衛生大学院へ進学した。SPHでは、医師、保健師、看護師、製薬企業に所属する者など、多様な背景を持つ仲間と学んだ。学びを通じて、個人の健康課題は生活環境、地域、制度、社会構造と密接に関わっていることを理解した。患者個人への支援から、地域や住民全体を視野に入れる考え方へと広がったことは、大きなパラダイムシフトであった。
MPH取得して2年後、私はステージ4の希少がんに罹患した。医療者として患者と向き合い、公衆衛生を学んできたにもかかわらず、患者となって初めて気づく不安、迷い、生活上の困難があった。治療だけでなく、病気を抱えながら日常生活を続けること、家族や仕事との関係、自分の思いや不安を安心して言葉にできる場の重要性を強く実感した。
この経験は、SPHで得た公衆衛生の視点を、自身の患者経験と結びつけて捉え直す契機となった。薬局で行われている支援の中には、数値では表しにくいものの、患者にとって大きな意味を持つものがある。安心して相談できる関係性、生活に即した助言、患者の思いを受け止める姿勢は、療養生活を支える重要な要素である。しかし、これらの価値は既存の評価指標では十分に可視化されていない。
こうした気づきは、患者視点に基づく研究活動へとつながった。薬局薬剤師の役割を、薬学的管理にとどめず、患者の生活や地域社会を支える公衆衛生的機能として捉え直す必要がある。本発表では、薬局での患者対応、SPHでの学び、自身のがん罹患経験を通じて得た気づきを共有し、患者視点での研究に至った過程を述べる。さらに、薬局薬剤師が地域で果たすべき役割と、パブリックヘルスを学ぶ意義について議論を深めたい。
【略歴】
2005年 昭和薬科大学薬学部 卒業
2019年 帝京大学大学院 公衆衛生学研究科 入学
2021年 帝京大学大学院 公衆衛生学研究科 修了
2024年 和歌山県立医科大学大学院 医学薬学総合研究科 入学
【職歴】
2006年 阪神調剤薬局株式会社 入社
2023年 日本保険薬局協会 出向
2026年 スギホールディングス株式会社 在職中
2019年、人々の健康をより多面的に捉えたいと考え、公衆衛生大学院へ進学した。SPHでは、医師、保健師、看護師、製薬企業に所属する者など、多様な背景を持つ仲間と学んだ。学びを通じて、個人の健康課題は生活環境、地域、制度、社会構造と密接に関わっていることを理解した。患者個人への支援から、地域や住民全体を視野に入れる考え方へと広がったことは、大きなパラダイムシフトであった。
MPH取得して2年後、私はステージ4の希少がんに罹患した。医療者として患者と向き合い、公衆衛生を学んできたにもかかわらず、患者となって初めて気づく不安、迷い、生活上の困難があった。治療だけでなく、病気を抱えながら日常生活を続けること、家族や仕事との関係、自分の思いや不安を安心して言葉にできる場の重要性を強く実感した。
この経験は、SPHで得た公衆衛生の視点を、自身の患者経験と結びつけて捉え直す契機となった。薬局で行われている支援の中には、数値では表しにくいものの、患者にとって大きな意味を持つものがある。安心して相談できる関係性、生活に即した助言、患者の思いを受け止める姿勢は、療養生活を支える重要な要素である。しかし、これらの価値は既存の評価指標では十分に可視化されていない。
こうした気づきは、患者視点に基づく研究活動へとつながった。薬局薬剤師の役割を、薬学的管理にとどめず、患者の生活や地域社会を支える公衆衛生的機能として捉え直す必要がある。本発表では、薬局での患者対応、SPHでの学び、自身のがん罹患経験を通じて得た気づきを共有し、患者視点での研究に至った過程を述べる。さらに、薬局薬剤師が地域で果たすべき役割と、パブリックヘルスを学ぶ意義について議論を深めたい。
【略歴】
2005年 昭和薬科大学薬学部 卒業
2019年 帝京大学大学院 公衆衛生学研究科 入学
2021年 帝京大学大学院 公衆衛生学研究科 修了
2024年 和歌山県立医科大学大学院 医学薬学総合研究科 入学
【職歴】
2006年 阪神調剤薬局株式会社 入社
2023年 日本保険薬局協会 出向
2026年 スギホールディングス株式会社 在職中
コメント
コメントの閲覧・投稿にはログインが必要です。ログイン
