講演情報

[SY7-3]「OTC医薬品を活用した地域ヘルスケア推進」におけるEBM実践―頭痛のセルフメディケーションにおける薬剤師の役割―

児島 悠史 (Fizz-DI 代表)
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セルフメディケーションの推進は、地域の医療資源の有効活用や住民の健康リテラシー向上に寄与するものであり、人口減少・高度情報化社会を迎えるこれからの日本において、その重要性はますます高まっている。しかし、その中核となる“OTC医薬品”の活用は、決して単純ではない。特に、薬剤師が科学的根拠を軽視した情報提供や商品選択を行った場合、たとえそれが善意によって行われたものであったとてしも、結果的に国民へ身体的・経済的不利益をもたらす危険性を孕んでいる。そのため、セルフメディケーション領域においても、EBMの実践は必要不可欠である。
本シンポジウムでは、頭痛のセルフメディケーションを題材として、OTC医薬品販売におけるEBM実践の重要性について考察する。現在、市販されている頭痛薬の中には、ブロモバレリル尿素やアリルイソプロピルアセチル尿素といった催眠鎮静薬を配合した製品が少なくない。しかし、これらの成分の有効性については十分な科学的根拠があるとは言い難い一方、眠気を催すほか、依存や濫用、慢性中毒のリスクが指摘されていることから、日常的な使いに適した成分とは評価しにくい。
一方で、一般消費者がOTC医薬品を選択する際には、薬学的特性よりも、“よく効きそう”と感じさせる広告表現やパッケージデザインなど、非薬学的な情報の影響を強く受ける傾向がある。その結果、本来は慎重に扱うべき商品が安易に選択されてしまうという問題が生じている。こうしたOTC医薬品特有の販売環境を踏まえると、薬剤師には科学的根拠に基づいた適切な商品選択を支援する役割が強く求められる。
さらに、頭痛のなかには、セルフメディケーションよりも医療機関受診が望ましい病態も多く存在する。特に片頭痛では、OTC医薬品による対症療法を漫然と繰り返し、「より強い薬」を求め続けることが、薬物使用過多による頭痛(medication overuse headache:MOH)を招く要因にもなりうる。そのため、薬剤師には、症状や薬の使用状況を評価し、ときには「商品を販売せずに受診を勧める」という判断を行う専門性も求められる。
 本シンポジウムでは、セルフメディケーション領域における薬剤師の役割を、ただ商品を販売することではなく、消費者にとって本当に有益な選択を支援することとして、改めて考え直す時間となれば幸いである。


【略歴】
2009年 3月 京都薬科大学薬学部生物薬学科 卒業
2011年 3月 京都薬科大学大学院薬学研究科薬学専攻博士前期課程 修了
2011年 4月~2014年10月 株式会社ぼうしや薬局
2016年 1月 Fizz-DI創業
2016年10月 日本薬剤師会JPALS CL6認定薬剤師 取得
主な著書:薬の比較と使い分け100(羊土社)、OTC医薬品の比較と使い分け(羊土社)、服薬指導がちょっとだけ上手になる本(金芳堂)

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