講演情報
[14-O-O003-06]相互チェック表を用いたスタッフの接遇改善の試み
*古木 敬大1、佐竹 肇1、西薗 隆行1、西端 博美1、新行 明美1、松井 美千子1 (1. 大阪府 吹田徳洲苑)
当苑では2020年から始まったコロナウイルスの流行に伴い、2020年3月7日より面会の制限が行われました。家族は利用者に直接会えない。スタッフも家族の面会がないため接遇に対する意識の低下が認められました。接遇の改善として、「職員の身だしなみ」、「接遇」、「利用者の保清」の3つの項目に焦点を当て、接遇相互チェック表を作成し接遇改善に取り組み、接遇の改善が認められたので報告する。
【はじめに】
当苑では2020年から始まったコロナウイルスの流行に伴い、2020年3月7日より面会の制限が行われ、1年6ヶ月後の2021年10月からリモート面会の導入、2022年10月11日から予約制であり時間制限のある対面面会を開始した。家族は利用者に直接会えないことから、スタッフの家族の直接面会がないため人に見られないという意識が芽生え、スタッフの接遇に対する意識の低下が利用者への対応や自己の身だしなみ、利用者の保清という点で顕著にみられた。接遇の改善を目的として、2023年4月より苦情対策委員会で接遇相互チェック表を作成し、接遇改善に取り組んだので報告する。
【現状と問題点】
2023年度に入り苦情対策委員会にて、スタッフの就業態度や身だしなみが乱れており、利用者の保清も出来ていないときがあると指摘があった。これは面会制限のため家族にみられないとの意識がめばえ、接遇の意識低下が起きていると結論にいたった。対応策を話し合った結果、接遇への意識づけを目的に接遇チェックを、スタッフ間で相互に行うこととした。
【方法】
接遇相互チェック表の作成を他者評価の視点を導入し作成した。身だしなみ〔髪、顔、手、ユニフォーム、靴(靴下)〕。接遇〔1.お互いをあだ名や「~ちゃん」と呼んでいない。2.スタッフ同士の私語が目立っていない。3.大きな声で笑っていない。4.入退室の挨拶が出来ている。5.フロアを訪れた人に対し挨拶が出来ている。6.利用者にため口になっていない。7.利用者へ思いやりのない言葉かけを行っていない。8.利用者を「~ちゃん」と呼んでいない。9.利用者に援助を行うときに声掛けをしている。10.援助は丁寧に実施されている。11.ナースコール時「伺います」と対応している。12.ナースコールが頻回な時に「またか」と言っていない。13.日頃より笑顔で対応出来ている。14.スピーチロックを実施していない。〕。保清〔利用者の衣類、寝具の汚れの有無、利用者の爪の長さ、髭剃りの有無〕に分け、評価方法は出来ているか、出来ていないかのクローズドクエスチョン方式にて項目毎に回答した。内容記載はコメント欄を作成し、自由記載出来るようにした。また、項目以外で気になった点が記載出来る様に別欄を作成した。
当苑は施設フロアが3フロアにて構成されており、その他に事務室、リハビリフロアがあります。計5フロアを委員会の各フロアの代表者を中心に1グループ2名でペアを組み5グループ作成し、接遇相互チェック表を用いて毎月1フロアを対象にし、チェック期間のみを決めて5グループが抜き打ちという形で接遇チェックを行った。自己評価という視点も必要と考え、自分のフロアを評価する機会もあることとした。集計結果を苦情対策委員会で発表し、チェックを受けたフロアは自フロアスタッフに結果の周知を依頼した。年間で各フロアにチェックが2回行われ、データは各項目出来ている評価を1点とし、点数化。身だしなみ、接遇、保清の項目をそれぞれ5グループのチェック表を合計し、平均値化し満点を5点として算出。チェック評価の相違を見える形にした。
【結果】
取り組み当初は実施する側が方法に戸惑ってしまい、5グループ分の接遇相互チェック表が集まらないことがあり、まず当初の目的の意識づけを目的に継続実施した。結果をフロアへフィードバックすることで接遇を見られている、チェックされている意識を持ってもらった。全フロアの平均値が2023年前半(4月~8月)は身だしなみ:4.9点、接遇:4.0点、保清:4.1点、2023年後半(10月~2月)身だしなみ:4.9点、接遇:4.4点、保清:4.0点と接遇は改善が見受けられたが保清は逆に改善が必要という結果となった。今年の9月にデータが基準を満たすため各フロアの比較データが集まり正確な数値が報告出来る予定である。回数を重ねる毎にチェックする側も細かくチェックするようになり、接遇チェックが機能し始めた。チェックする側の意見も出始め、意欲向上の目的に良かった点が記載出来る様に別欄を作成する等の接遇チェック表の改善も行いました。
【考察】
接遇相互チェックリスト作成はスムーズに行えたが、チェックする側の環境調整や接遇をチェックするという意識が不十分であり、チェックリストの集計がスムーズにいかなかった。準備不足のため足並みがそろわず、初期段階のデータが参考値となった。実施していく中で、チェックする側のスタッフの意識や向上したため、現在はスムーズに提出もでき、コメントの活用も増え内容も充実している。比較対象データが揃うことで正確なデータ化も視野に入った。チェックリストをフロアスタッフにフィードバックすることで、自分たちの接遇が誰かにみられているという認識を得ることで意識の変化に繋がりやすかった。今後は比較データ等を用いて、更なる視点からの意識変化のきっかけ作りが出来るようにしていき、現状の改善と維持に努め、最終的には「見える化」に繋がるようにしていきたいと考えている。
【まとめ】
コロナウイルスの流行に伴い閉鎖的な環境になってしまい、他者に見られるという緊張感が薄まってしまった。そのため、スタッフの接遇に対する意識が徐々に低下することがおきた。医療や介護といった対人の仕事をするということは、利用者やその家族に常に評価をされる側ということであり、接遇は基本的に出来て当然とであり、今回原点に立ち戻ることを踏まえ、改めて接遇チェックという形で相互評価表を導入し他者に評価されることを再認識することで、当苑スタッフ全体の接遇に対する意識の向上が図ることが出来たと思われる。今後は継続し更なる向上に努めていく予定である。
当苑では2020年から始まったコロナウイルスの流行に伴い、2020年3月7日より面会の制限が行われ、1年6ヶ月後の2021年10月からリモート面会の導入、2022年10月11日から予約制であり時間制限のある対面面会を開始した。家族は利用者に直接会えないことから、スタッフの家族の直接面会がないため人に見られないという意識が芽生え、スタッフの接遇に対する意識の低下が利用者への対応や自己の身だしなみ、利用者の保清という点で顕著にみられた。接遇の改善を目的として、2023年4月より苦情対策委員会で接遇相互チェック表を作成し、接遇改善に取り組んだので報告する。
【現状と問題点】
2023年度に入り苦情対策委員会にて、スタッフの就業態度や身だしなみが乱れており、利用者の保清も出来ていないときがあると指摘があった。これは面会制限のため家族にみられないとの意識がめばえ、接遇の意識低下が起きていると結論にいたった。対応策を話し合った結果、接遇への意識づけを目的に接遇チェックを、スタッフ間で相互に行うこととした。
【方法】
接遇相互チェック表の作成を他者評価の視点を導入し作成した。身だしなみ〔髪、顔、手、ユニフォーム、靴(靴下)〕。接遇〔1.お互いをあだ名や「~ちゃん」と呼んでいない。2.スタッフ同士の私語が目立っていない。3.大きな声で笑っていない。4.入退室の挨拶が出来ている。5.フロアを訪れた人に対し挨拶が出来ている。6.利用者にため口になっていない。7.利用者へ思いやりのない言葉かけを行っていない。8.利用者を「~ちゃん」と呼んでいない。9.利用者に援助を行うときに声掛けをしている。10.援助は丁寧に実施されている。11.ナースコール時「伺います」と対応している。12.ナースコールが頻回な時に「またか」と言っていない。13.日頃より笑顔で対応出来ている。14.スピーチロックを実施していない。〕。保清〔利用者の衣類、寝具の汚れの有無、利用者の爪の長さ、髭剃りの有無〕に分け、評価方法は出来ているか、出来ていないかのクローズドクエスチョン方式にて項目毎に回答した。内容記載はコメント欄を作成し、自由記載出来るようにした。また、項目以外で気になった点が記載出来る様に別欄を作成した。
当苑は施設フロアが3フロアにて構成されており、その他に事務室、リハビリフロアがあります。計5フロアを委員会の各フロアの代表者を中心に1グループ2名でペアを組み5グループ作成し、接遇相互チェック表を用いて毎月1フロアを対象にし、チェック期間のみを決めて5グループが抜き打ちという形で接遇チェックを行った。自己評価という視点も必要と考え、自分のフロアを評価する機会もあることとした。集計結果を苦情対策委員会で発表し、チェックを受けたフロアは自フロアスタッフに結果の周知を依頼した。年間で各フロアにチェックが2回行われ、データは各項目出来ている評価を1点とし、点数化。身だしなみ、接遇、保清の項目をそれぞれ5グループのチェック表を合計し、平均値化し満点を5点として算出。チェック評価の相違を見える形にした。
【結果】
取り組み当初は実施する側が方法に戸惑ってしまい、5グループ分の接遇相互チェック表が集まらないことがあり、まず当初の目的の意識づけを目的に継続実施した。結果をフロアへフィードバックすることで接遇を見られている、チェックされている意識を持ってもらった。全フロアの平均値が2023年前半(4月~8月)は身だしなみ:4.9点、接遇:4.0点、保清:4.1点、2023年後半(10月~2月)身だしなみ:4.9点、接遇:4.4点、保清:4.0点と接遇は改善が見受けられたが保清は逆に改善が必要という結果となった。今年の9月にデータが基準を満たすため各フロアの比較データが集まり正確な数値が報告出来る予定である。回数を重ねる毎にチェックする側も細かくチェックするようになり、接遇チェックが機能し始めた。チェックする側の意見も出始め、意欲向上の目的に良かった点が記載出来る様に別欄を作成する等の接遇チェック表の改善も行いました。
【考察】
接遇相互チェックリスト作成はスムーズに行えたが、チェックする側の環境調整や接遇をチェックするという意識が不十分であり、チェックリストの集計がスムーズにいかなかった。準備不足のため足並みがそろわず、初期段階のデータが参考値となった。実施していく中で、チェックする側のスタッフの意識や向上したため、現在はスムーズに提出もでき、コメントの活用も増え内容も充実している。比較対象データが揃うことで正確なデータ化も視野に入った。チェックリストをフロアスタッフにフィードバックすることで、自分たちの接遇が誰かにみられているという認識を得ることで意識の変化に繋がりやすかった。今後は比較データ等を用いて、更なる視点からの意識変化のきっかけ作りが出来るようにしていき、現状の改善と維持に努め、最終的には「見える化」に繋がるようにしていきたいと考えている。
【まとめ】
コロナウイルスの流行に伴い閉鎖的な環境になってしまい、他者に見られるという緊張感が薄まってしまった。そのため、スタッフの接遇に対する意識が徐々に低下することがおきた。医療や介護といった対人の仕事をするということは、利用者やその家族に常に評価をされる側ということであり、接遇は基本的に出来て当然とであり、今回原点に立ち戻ることを踏まえ、改めて接遇チェックという形で相互評価表を導入し他者に評価されることを再認識することで、当苑スタッフ全体の接遇に対する意識の向上が図ることが出来たと思われる。今後は継続し更なる向上に努めていく予定である。