講演情報
[14-O-D001-04]ユマニチュード認証取得に向けた取り組みを通して
*中島 潔1 (1. 長崎県 介護老人保健施設 サン)
ユマニチュード認証制度のブロンズ認証を目指し、介護職員だけでなく、ユニット棟に関わる全職員で取り組み、ブロンズ認証を取得することができた。取得に至るまでの取り組み、経過と今後の課題について報告する
【はじめに】
ユマニチュードとは、「人間らしさを取り戻す」という意味を持つフランス語の造語で、相手の人間らしさを尊重し、自由、平等、友愛の精神をケアに用いる技法である。
当法人では認知症の患者、利用者が増加傾向にある中、平成27年9月から「ユマニチュード推進プロジェクト」を発足させ認知症ケアを充実させるために各病院施設において取り組んでいる。
今回、サンではユニット棟においてユマニチュード認証取得制度でのブロンズ取得を目指す事となった。全職員で取り組み、取得まで至った経過、効果、今後の課題を報告する。
【期間】
令和4年8月~令和5年12月
【活動内容】
ユニット棟の介護職員、他職種の職員へ説明
毎月の委員会にて進捗状況の確認
確認書類の準備
インストラクター、アクションリーダーによる定期的な巡回、シャドウイング指導、他者評価
ケアプラン、個別支援計画書の充実
【経過】
初めに、全職員へ認証取得を目指すにあたり説明を行ったが、膨大な書類の準備や、全職種対象の研修会を開催することにより通常業務以外の負担が増えるなどの反対の意見が多かった。順調なスタートを切ることができず、取り組みもなかなか浸透していかなかった。そこで委員会内の組織図の変更、審査に必要なユマニチュードの5原則、労働憲章については各項目に介護職員だけでなく、他職種も含め担当者を決め、毎月の会議内で進捗状況を報告するようにし協力体制を構築した。また、全職員に対して、定期的に他者評価を実施した。
介護職員については、インストラクター、アクションリーダーの巡回、シャドウイングを実施、定期的に座学も行う事で技術、知識の向上に努めてきた。
ケアプランについても検討を重ねた。例えば、ただ歩けるようになる。という目標を立てるのではなく、歩けるようになった先にどの様な事を望むのか、コミュニケーションシートなどのツールを活用し、利用者の真のニーズをプランに挙げるようにした。
迎えた認証審査当日は審査員が3名来所され、実際にフロアでの食事や入浴、ベッド上での排泄などのケアの様子の確認や利用者への聞き取り、書類に関する質疑などが一日を通して行われた。
【結果】
取得に向けた取り組みを行っていくことで利用者からは、ここに居られて嬉しい、いつも声を掛けてくれて嬉しい等の喜びの声も多く聞かれるようになってきた。
職員からも意識して目線を合わせるようになった。基礎や理論を理解することで折り合いがつくようになり、気持ちが楽になった、利用者と通じやすくなったとの意見があった。
審査の結果としては、大きく3点ほどの課題が挙げられたものの、気配りや温かさ溢れる雰囲気など、ユマニチュードケアの大切な部分が実践されている、との評価も頂き、ブロンズ認証を取得することができた。
【考察】
約8年間、ユマニチュードケアを行ってきていたが、今回の取り組みを実施していく中で、利用者一人一人の望む生活を支援していくことが大切だと改めて実感できた。どうしても認知症ケアというと現場で対応するものとされがちであるが、他職種含め、全職員で支援していくことで、利用者の望む生活が実現できるのだと考える。
一方で、(1)技術のベースにある哲学の再確認(2)プライバシーと個別性(3)個別支援計画の3点が課題として挙げられた。形式的な実践にとどまっている場面もあり、基本的な考え方の再確認が必要である。個別支援計画についても職員間で重要な情報がしっかりと共有、活用し着実にケアの質を高める体制づくりが必要である。今後は課題の3点を検討しながら改善させ、さらに良いケアを実施できるように努めていく。
【まとめ】
今後もユマニチュードの知識、技術の向上に努め、利用者、家族、職員共に、笑顔があふれるケア、より良い生活の場をユニット棟だけでなく、施設全体に浸透させ、サンの強みとしていきたい。
ユマニチュードとは、「人間らしさを取り戻す」という意味を持つフランス語の造語で、相手の人間らしさを尊重し、自由、平等、友愛の精神をケアに用いる技法である。
当法人では認知症の患者、利用者が増加傾向にある中、平成27年9月から「ユマニチュード推進プロジェクト」を発足させ認知症ケアを充実させるために各病院施設において取り組んでいる。
今回、サンではユニット棟においてユマニチュード認証取得制度でのブロンズ取得を目指す事となった。全職員で取り組み、取得まで至った経過、効果、今後の課題を報告する。
【期間】
令和4年8月~令和5年12月
【活動内容】
ユニット棟の介護職員、他職種の職員へ説明
毎月の委員会にて進捗状況の確認
確認書類の準備
インストラクター、アクションリーダーによる定期的な巡回、シャドウイング指導、他者評価
ケアプラン、個別支援計画書の充実
【経過】
初めに、全職員へ認証取得を目指すにあたり説明を行ったが、膨大な書類の準備や、全職種対象の研修会を開催することにより通常業務以外の負担が増えるなどの反対の意見が多かった。順調なスタートを切ることができず、取り組みもなかなか浸透していかなかった。そこで委員会内の組織図の変更、審査に必要なユマニチュードの5原則、労働憲章については各項目に介護職員だけでなく、他職種も含め担当者を決め、毎月の会議内で進捗状況を報告するようにし協力体制を構築した。また、全職員に対して、定期的に他者評価を実施した。
介護職員については、インストラクター、アクションリーダーの巡回、シャドウイングを実施、定期的に座学も行う事で技術、知識の向上に努めてきた。
ケアプランについても検討を重ねた。例えば、ただ歩けるようになる。という目標を立てるのではなく、歩けるようになった先にどの様な事を望むのか、コミュニケーションシートなどのツールを活用し、利用者の真のニーズをプランに挙げるようにした。
迎えた認証審査当日は審査員が3名来所され、実際にフロアでの食事や入浴、ベッド上での排泄などのケアの様子の確認や利用者への聞き取り、書類に関する質疑などが一日を通して行われた。
【結果】
取得に向けた取り組みを行っていくことで利用者からは、ここに居られて嬉しい、いつも声を掛けてくれて嬉しい等の喜びの声も多く聞かれるようになってきた。
職員からも意識して目線を合わせるようになった。基礎や理論を理解することで折り合いがつくようになり、気持ちが楽になった、利用者と通じやすくなったとの意見があった。
審査の結果としては、大きく3点ほどの課題が挙げられたものの、気配りや温かさ溢れる雰囲気など、ユマニチュードケアの大切な部分が実践されている、との評価も頂き、ブロンズ認証を取得することができた。
【考察】
約8年間、ユマニチュードケアを行ってきていたが、今回の取り組みを実施していく中で、利用者一人一人の望む生活を支援していくことが大切だと改めて実感できた。どうしても認知症ケアというと現場で対応するものとされがちであるが、他職種含め、全職員で支援していくことで、利用者の望む生活が実現できるのだと考える。
一方で、(1)技術のベースにある哲学の再確認(2)プライバシーと個別性(3)個別支援計画の3点が課題として挙げられた。形式的な実践にとどまっている場面もあり、基本的な考え方の再確認が必要である。個別支援計画についても職員間で重要な情報がしっかりと共有、活用し着実にケアの質を高める体制づくりが必要である。今後は課題の3点を検討しながら改善させ、さらに良いケアを実施できるように努めていく。
【まとめ】
今後もユマニチュードの知識、技術の向上に努め、利用者、家族、職員共に、笑顔があふれるケア、より良い生活の場をユニット棟だけでなく、施設全体に浸透させ、サンの強みとしていきたい。