講演情報

[14-O-D001-06]学習者51名のFAB/MMSEの推移で検証

*峯崎 理恵1 (1. 大分県 介護老人保健施設 和光園)
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学習療法導入後16年、通所学習者51名のアルツハイマー診断の有無と学習期間におけるFAB/MMSEの推移を検証。診断の有無に関わらず開始から3か月後は50名が改善。現在、診断のある方は緩やかな低下がみられ、診断の無い方は維持、改善している。コロナ感染等のアクシデント後にICFで分析すると、ご家族の支援(宿題)や学習開始時のペース配分等で、低下した機能の改善がみられた。
【はじめに】
当施設では学習療法を導入してから16年が経過し、現在51名の方が学習療法を行っている。今回アルツハイマーの診断有無と、学習期間におけるFAB/MMSEの推移から検証した。
診断有無に関わらず学習療法と機能訓練と生活リハビリの継続支援に相乗効果があった。又、コロナ感染等のアクシデント後、ご家族支援や学習支援のペース配分の必要性が確認できたので報告する。
【取り組み】
1) アルツハイマー病の診断名のある方の14名のFABとMMSEの測定推移と分析
<事例NO1>上記図より
*10年間学習療法実施11月に中止された事例 I様88歳女性/介護度5(開始時介護度2)
・障害自立度B2・アルツハイマー型認知症
・開始時FAB:16 MMSE2:2 3か月後FAB:17 MMSE:28 現在FAB:0 MMSE:0
・2013年学習開始 週5日利用⇒2020年認知症デイと併用し利用1回⇒2023年11月中止
・学習療法と機能訓練と生活リハビリを兼ねた梅干し作りや園芸療法を好んで実施
<事例NO2・NO6>
・開始時FAB:10・9 MMSE:21・16 3か月後FAB:12・6 MMSE:20・16 現在FAB:1・0 MMSE:5・6
*コロナ感染による長期の学習療法中止で再開時の測定低下が顕著
・週3~2回の学習療法+宿題
<事例NO4>
・開始時FAB:6 MMSE:10 3か月後FAB:10 MMSE:16 現在FAB:10 MMSE:21
*当施設のショートステイ利用中も、同一目標で学習支援している方で改善
・週3回の学習療法
<事例NO9>
・開始時FAB:16 MMSE:25 3か月後FAB:18 MMSE:30 現在FAB:18 MMSE:26
*趣味が踊りでコロナ禍になり練習に行けずMMSEが若干低下したがFABは維持
・週2回の学習療法と自宅学習
2)認知症の診断のない長期学習者2名の測定推移と分析
<事例1>
・S・S様96歳女性/介護度3(開始時支2)・障害自立度B1  
・開始時FAB:15 MMSE:28 3か月後 FAB:14 MMSE:30 現在FAB:16 MMSE:29
・2018年学習開始 週2回と自宅学習(7回) 
・認知症の診断はないが鍋焦がし等で利用開始
・2022年12月自宅で転倒し腰部骨折にて入院⇒2023年4月退院後学習再開し改善
<事例2>
・N・A様78歳女性/介護度1(5年間維持)・障害自立度A2  
・開始時FAB:8 MMSE:18 3か月後 FAB:14 MMSE:13 現在FAB:13 MMSE:26
・右脳梗塞(左不全片麻痺)杖歩行
・2018年学習開始 週5回 ・精神面の支援で利用開始後、継続学習で維持
【結果】
1)アルツハイマーの診断のある学習者の分析結果
・進行性であっても学習開始3か月後の測定結果では、MMSEのみの低下が2名で2つの測定低下者
はおらず、平均値も上がっていることから通所の機能にプラスした学習療法の効果はあった。し
かしコロナ感染等のアクシデントの再開後は、測定値のアップとADLの改善は困難であった。
2)診断はない長期学習者の分析結果
・骨折などのアクシデントや精神面でのムラで若干低下しても、学習療法の継続でFAB/MMSEの低
下なく、機能訓練と生活リハビリの相乗効果でADLも維持・改善ができている
【考察】
・コロナ感染での病状安定後、早期自宅学習等の提案で認知症の進行予防に努めたい
・通所とショートの併用利用は、定期の集中支援で心身と身体機能の維持が担保され、維持と改善
効果ができていると考える
・多職種協働(家族含)での活動、参加支援は認知症有無に関わらず通所の利用目的として実践し
ていきたい
・継続した学習支援は機能向上訓練と生活リハビリとの相乗効果と認知症予防に効果を示せたと考
える
・学習療法は、精神的ムラのある方へのコミュニケーションや、カウンセリング的活用に大変効果
があると考える