講演情報
[14-O-Q001-01]施設運営における補助金申請の効果
*金原 正馬1 (1. 長野県 介護老人保健施設かりんの里)
行政などの補助金事業を活用し、施設運営で課題となっている人材不足の対策として記録システム化に伴うネット環境整備と施設老朽化に伴う、設備や備品への投資を行った。生産性の向上や残業の削減、情報共有方法の改善と設備更新による電力量削減などの効果を示した事例について報告をする。
【目的】
介護業界全体での問題であると考えるが、当施設においても介護職員の人材不足や施設設備の老朽化が大きな課題であった。そこで民間、行政を問わず補助金事業を行っている機関から活用できる事業を調査し、これらの課題を改善出来るよう検討を行い、実行を行った中で効果を示すことができた事例を報告する。
【方法】
建物管理業者などの修繕計画より設備修繕の優先度を確認する。各部署から要望のある設備、需要品をリストアップする。これらの投資案件に対してネットや業者からの補助金事業に関する情報収集をし、該当するかの検討と申請可能かの判断を行う。申請可能と判断したものについては費用対効果と予算支出可否の検討を行い、導入していく。
【結果】
人材不足問題に対してはICTの導入による効果を期待し、施設のWi-Fi設置、記録システム導入、PCやタブレットを各フロアに設置する等のシステム化を行った。バイタルなどの転記作業、重複業務削減となった。申し送り事項の全体朝礼の廃止や部署内報告の時間削減効果を期待し、システム掲示板の利用で職員が閲覧することにより情報共有と周知を行うような仕組みとした。また、システム掲示板の利用により書類回覧を削減したことで情報伝達のスピード化向上、ペーパー類削減など多くの改善効果を示せた。誤字脱字の減少や書類が見やすくなり、家族や外部へ提出する書類の添削作業時間減少の効果も示せた。入所者(定員100名)フロア職員数が昨年比で常勤換算2.4名減少したのにも関わらず、残業代が4.8%減少した。また、記録システム化は令和6年度介護報酬改定で新設された「生産性向上推進体制加算(2)」の取得も可能となり、年24万円の収入増が見込める。これらの導入のために用いたのは県の事業で「新型コロナウイルス感染症に係るサービス継続支援事業費補助金」10割補助、「ICT・介護ロボット導入補助金」対象費用3/4補助で導入することができた。
次に施設老朽化に対しては「2050ゼロカーボン」実現に向けた政策として省エネルギー効果の高い設備を更新する補助事業「社会福祉施設等エネルギーコスト削減促進事業補助金」を活用した。老朽化の激しい厨房冷蔵庫や居室ルームエアコンを3/4補助を受けて更新。厨房冷蔵庫は20年近く使用していたもので、冷媒ガスの修繕など使用していく維持費も多額を要したものを交換した。エアコンはルーバー、リモコンの故障が多発していた。集中管理システムと合わせて更新した。施設全体の電力使用量は前年比で2.5%減少となり、大きく改善となった。当事業は県の予算の都合上、前年事業決定を行った事業所は当年で申請出来ないなどのルールができ、導入のスケジュールが難しい点もあった。計画を立て直し、導入計画を策定する必要が出てきた。
他、民間補助事業の申請も行ったが採択率が20%~40%となかなか厳しい所がある。しかしながら毎年補助金予算額の向上をしているので今後、採択の可能性に期待できる。
【結論】
ソフトやハードの導入、更新は生産性向上効果があることはもちろんであるが、いかに少額で効果があるものを選択出来るかが肝要である。そのためには介護現場の業務遂行上で苦慮していること、施設設備の状況を把握した上で補助金要件を検証し、的確に投資の提案を行えるよう努めることが重要である。当施設での課題解決のためにロボットやICTの活用をしていきたいが投資原資がない為、補助金活用をしなければ導入出来ないのが実態である。今後の人材難、人材確保と人件費高騰で運営はさらに厳しいものになることが予想される。現在の人件費比率は60%台。事業所によっては70%を超えるところも出てきている。経費をどんなに削減しても施設事業は人件費がかなりの割合を占めているので運営が難航していく。いかに人材に代わる業務をICTやロボットで担っていくかに発想転換していくためにも、このような補助事業の予算拡充を切にお願いしたい。行政の補助金事業は国の施策であっても自治体で予算と事業開始のスピードが大きく違う。都市圏の設備・備品対象範囲や予算は手厚いが当法人があるような地方ではかなり少ないのが実態である。
今後このような補助事業が進んでいくとさらに生産性向上が期待でき、働きやすい職場となり離職率の低下にもつながる。
当施設はもちろん、介護業界全体の課題解決に向けて効果を示す事例を作り、発信していきたい。
介護業界全体での問題であると考えるが、当施設においても介護職員の人材不足や施設設備の老朽化が大きな課題であった。そこで民間、行政を問わず補助金事業を行っている機関から活用できる事業を調査し、これらの課題を改善出来るよう検討を行い、実行を行った中で効果を示すことができた事例を報告する。
【方法】
建物管理業者などの修繕計画より設備修繕の優先度を確認する。各部署から要望のある設備、需要品をリストアップする。これらの投資案件に対してネットや業者からの補助金事業に関する情報収集をし、該当するかの検討と申請可能かの判断を行う。申請可能と判断したものについては費用対効果と予算支出可否の検討を行い、導入していく。
【結果】
人材不足問題に対してはICTの導入による効果を期待し、施設のWi-Fi設置、記録システム導入、PCやタブレットを各フロアに設置する等のシステム化を行った。バイタルなどの転記作業、重複業務削減となった。申し送り事項の全体朝礼の廃止や部署内報告の時間削減効果を期待し、システム掲示板の利用で職員が閲覧することにより情報共有と周知を行うような仕組みとした。また、システム掲示板の利用により書類回覧を削減したことで情報伝達のスピード化向上、ペーパー類削減など多くの改善効果を示せた。誤字脱字の減少や書類が見やすくなり、家族や外部へ提出する書類の添削作業時間減少の効果も示せた。入所者(定員100名)フロア職員数が昨年比で常勤換算2.4名減少したのにも関わらず、残業代が4.8%減少した。また、記録システム化は令和6年度介護報酬改定で新設された「生産性向上推進体制加算(2)」の取得も可能となり、年24万円の収入増が見込める。これらの導入のために用いたのは県の事業で「新型コロナウイルス感染症に係るサービス継続支援事業費補助金」10割補助、「ICT・介護ロボット導入補助金」対象費用3/4補助で導入することができた。
次に施設老朽化に対しては「2050ゼロカーボン」実現に向けた政策として省エネルギー効果の高い設備を更新する補助事業「社会福祉施設等エネルギーコスト削減促進事業補助金」を活用した。老朽化の激しい厨房冷蔵庫や居室ルームエアコンを3/4補助を受けて更新。厨房冷蔵庫は20年近く使用していたもので、冷媒ガスの修繕など使用していく維持費も多額を要したものを交換した。エアコンはルーバー、リモコンの故障が多発していた。集中管理システムと合わせて更新した。施設全体の電力使用量は前年比で2.5%減少となり、大きく改善となった。当事業は県の予算の都合上、前年事業決定を行った事業所は当年で申請出来ないなどのルールができ、導入のスケジュールが難しい点もあった。計画を立て直し、導入計画を策定する必要が出てきた。
他、民間補助事業の申請も行ったが採択率が20%~40%となかなか厳しい所がある。しかしながら毎年補助金予算額の向上をしているので今後、採択の可能性に期待できる。
【結論】
ソフトやハードの導入、更新は生産性向上効果があることはもちろんであるが、いかに少額で効果があるものを選択出来るかが肝要である。そのためには介護現場の業務遂行上で苦慮していること、施設設備の状況を把握した上で補助金要件を検証し、的確に投資の提案を行えるよう努めることが重要である。当施設での課題解決のためにロボットやICTの活用をしていきたいが投資原資がない為、補助金活用をしなければ導入出来ないのが実態である。今後の人材難、人材確保と人件費高騰で運営はさらに厳しいものになることが予想される。現在の人件費比率は60%台。事業所によっては70%を超えるところも出てきている。経費をどんなに削減しても施設事業は人件費がかなりの割合を占めているので運営が難航していく。いかに人材に代わる業務をICTやロボットで担っていくかに発想転換していくためにも、このような補助事業の予算拡充を切にお願いしたい。行政の補助金事業は国の施策であっても自治体で予算と事業開始のスピードが大きく違う。都市圏の設備・備品対象範囲や予算は手厚いが当法人があるような地方ではかなり少ないのが実態である。
今後このような補助事業が進んでいくとさらに生産性向上が期待でき、働きやすい職場となり離職率の低下にもつながる。
当施設はもちろん、介護業界全体の課題解決に向けて効果を示す事例を作り、発信していきたい。