講演情報
[14-O-Q001-07]『業務の5Sの取り組みより~職員の意識改革~』
*大久保 洋子1、高岡 美幸1 (1. 茨城県 介護老人保健施設セントラル土浦)
セントラル土浦の設置主体である「社会医療法人若竹会 つくばセントラル病院」では、法人グループ全体で「5S活動」を取り入れている。5S活動を通して施設での工夫や取り組み・今後の課題を報告する。
~ねらい~
「業務の5S」の活動として、セントラル土浦全体の電気代削減を目標に活動を行い、その取り組みから、拡がった「老健経営を現場レベルで考える」につながっていくのではないかという取り組みや結果を報告する。
~本文~
【施設紹介】
2018年2月、茨城県土浦市に介護老人保健施設セントラル土浦は開設した。セントラル土浦の定員は入所100名、通所リハビリテーション20名の介護老人保健施設であり、土浦市に隣接する牛久市にある「社会医療法人 若竹会 つくばセントラル病院」が設置主体となっている。また2021年11月には、当施設に隣接する形で「土浦リハビリテーション病院 介護医療院」96床が開院し、土浦市の住民の皆様にも地域包括ケアシステムの一員として周知されてきている。
土浦市は茨城県南部に位置し、琵琶湖に次ぐ湖の面積としては国内第2位の霞ヶ浦がある。市内の人口は約14万人。65歳以上が約41,000人・65歳以上の高齢者率は約29.9%と、間もなく30%突破目前である。
【背景】
2013年4月1日から、セントラルグループ全体での5S活動が開始となった。この5S活動は、単なる美化活動ではなく、快適な職場環境の実現・業務効率の向上・安全性の確保をすることが目的であり、業務を実施する上での基盤となるものである。5Sには「整理」・「整頓」・「清掃」・「清潔」・「躾」の5つのSで始まる「物の5S」と「削除」・「統合」・「体系化」・「見える化」・「ミス削減」の5つの切り口を活用して業務改善を展開する「業務の5S」で構成されている。5S活動は、導入してすぐに効果が出るものではない。成功させる秘訣は、施設全体の活動として「全職員参加」が重要である。
セントラル土浦でも開設当初から5S活動に取り組んできたが、職員のほとんどが「5S」という言葉に馴染みがなく、5S委員会が中心となり、「5Sとは何か?」言葉の意味から学び「物の5S」について取り組んだ。現在、開設7年目にして職員全体に5S活動が定着し、ある程度の成果をあげてきている。次に「業務の5S」のなかの「削除」「見える化」の取り組みとして、高騰する電気代に着目。コスト削減に着目しセントラル土浦全体の「電気代削減」と「施設経営の中の経費・電気代からの意識改革」を目指し開始した。
【取組】
その具体的な取り組み方法はまず、
1・職員全体の意識を改革するために、「節電に対する標語」を募集。
2・エアコンのスイッチ脇に「夏・28度」「冬・20度」と表示をし、エレベーターのスイッチ脇に「できるかぎり階段を使いましょう」との案内表示をし、削減できる工夫を行った。
3・昼間は、間引き点灯、不在時のこまめな消灯。職員が一丸となり取り組み、エレベーターの使用回数の削減。夏のエアコンと扇風機の併用で電気代が削減できた。
【結果】
今回の5S活動を通して、誰でも目で見て分かるようにさまざまな表示の工夫、呼びかけにより、全職員が1年間を通して、節電を意識した結果、2022年4月~2023年3月と2023年4月~2024年3月の年間電気代合計が、3,046,464円削減。前年比21.2%削減。年間使用量合計は108,450kwh削減、前年比19.3%削減。また、2022年度の経費合計の中で電気代が占める割合は6.63%だったがたが2023年度は5.03%と-1.6%の削減に繋がった。この結果をみて、削減量の多さに驚いたのはもちろん5S活動を成功させるには「全職員参加」が如何に重要か学ぶことができた。
【考察】
施設経営をしていくうえで、経費削減は、経営基盤の強化、経営を安定的に持続化するためには必要不可欠である。しかし、経営安定のためには、経費削減だけでなく、現在よりも売り上げを上げることは重要である。何故ならば、収入とは関係なく毎月払わなければいけない固定費の比率が高いと、稼働率の低下などで収入が減少した時に、赤字に転落しやすくなってしまう。今回、電気代の削減を目標に
1・蛍光灯の日中間引き点灯
2・不在時のこまめな消灯
3・エアコンの温度設定し、夏場はエアコンと扇風機の併用
4・職員のエレベーターの使用回数の削減
出来ることから始めて電気代削減に成功し、日頃よりコツコツ積み重なると大きな削減に繋がることが証明でき、このコツコツ取り組んでいく意識改革をここで終わらせるわけにはいかない!と、私たちは、施設経営安定に向け、新たな取り組みを開始した。まず「一年間に掛かる経費」を「見える化」することで、経費に掛かる割合を把握・コントロールする事で「経営は変化する」のではないかと考え、2022年度と2023年度の経費データを収集し分析。これらの分析結果により、経費全体の約75%の割合が給食材料費・医療材料費、委託費など施設経営には必要不可欠な費用で削減はし辛い。残りの約25%が日用品費や光熱費、修繕費などである。小さな事でも積み重なれば大きな結果をもたらすことを証明できたことから、日常の物品の使用頻度や使用量をデータ化し、現場スタッフと分析した内容を共有し、全職員が経費削減と売り上げを上げることを意識することが出来る。修理の頻度が空くような取扱い説明のポスターにて注意喚起を行う等、稼働率の低下などで収入が減少した際に、施設経営に大きく影響が及ばないのではないかと考える。現在「施設経営安定に向けた意識改革」という名のもとで意識は継続し、日用品費等の削減できる部分の削減に動き出している。
【今後】
2023年度の1年間の取り組みを通し、小さな事の積み重ねが大きな結果を産むという大きな学びにより、常にコストを意識する取り組みを保持し、コスト削減はあくまでも施設経営の一部であるため、サービスの質が落ちるような削減方法になっていないか常に検証し確認しつつ、全職員が一丸となって施設経営の安定を目指すことのできるそんな施設を目指していきたい。
「業務の5S」の活動として、セントラル土浦全体の電気代削減を目標に活動を行い、その取り組みから、拡がった「老健経営を現場レベルで考える」につながっていくのではないかという取り組みや結果を報告する。
~本文~
【施設紹介】
2018年2月、茨城県土浦市に介護老人保健施設セントラル土浦は開設した。セントラル土浦の定員は入所100名、通所リハビリテーション20名の介護老人保健施設であり、土浦市に隣接する牛久市にある「社会医療法人 若竹会 つくばセントラル病院」が設置主体となっている。また2021年11月には、当施設に隣接する形で「土浦リハビリテーション病院 介護医療院」96床が開院し、土浦市の住民の皆様にも地域包括ケアシステムの一員として周知されてきている。
土浦市は茨城県南部に位置し、琵琶湖に次ぐ湖の面積としては国内第2位の霞ヶ浦がある。市内の人口は約14万人。65歳以上が約41,000人・65歳以上の高齢者率は約29.9%と、間もなく30%突破目前である。
【背景】
2013年4月1日から、セントラルグループ全体での5S活動が開始となった。この5S活動は、単なる美化活動ではなく、快適な職場環境の実現・業務効率の向上・安全性の確保をすることが目的であり、業務を実施する上での基盤となるものである。5Sには「整理」・「整頓」・「清掃」・「清潔」・「躾」の5つのSで始まる「物の5S」と「削除」・「統合」・「体系化」・「見える化」・「ミス削減」の5つの切り口を活用して業務改善を展開する「業務の5S」で構成されている。5S活動は、導入してすぐに効果が出るものではない。成功させる秘訣は、施設全体の活動として「全職員参加」が重要である。
セントラル土浦でも開設当初から5S活動に取り組んできたが、職員のほとんどが「5S」という言葉に馴染みがなく、5S委員会が中心となり、「5Sとは何か?」言葉の意味から学び「物の5S」について取り組んだ。現在、開設7年目にして職員全体に5S活動が定着し、ある程度の成果をあげてきている。次に「業務の5S」のなかの「削除」「見える化」の取り組みとして、高騰する電気代に着目。コスト削減に着目しセントラル土浦全体の「電気代削減」と「施設経営の中の経費・電気代からの意識改革」を目指し開始した。
【取組】
その具体的な取り組み方法はまず、
1・職員全体の意識を改革するために、「節電に対する標語」を募集。
2・エアコンのスイッチ脇に「夏・28度」「冬・20度」と表示をし、エレベーターのスイッチ脇に「できるかぎり階段を使いましょう」との案内表示をし、削減できる工夫を行った。
3・昼間は、間引き点灯、不在時のこまめな消灯。職員が一丸となり取り組み、エレベーターの使用回数の削減。夏のエアコンと扇風機の併用で電気代が削減できた。
【結果】
今回の5S活動を通して、誰でも目で見て分かるようにさまざまな表示の工夫、呼びかけにより、全職員が1年間を通して、節電を意識した結果、2022年4月~2023年3月と2023年4月~2024年3月の年間電気代合計が、3,046,464円削減。前年比21.2%削減。年間使用量合計は108,450kwh削減、前年比19.3%削減。また、2022年度の経費合計の中で電気代が占める割合は6.63%だったがたが2023年度は5.03%と-1.6%の削減に繋がった。この結果をみて、削減量の多さに驚いたのはもちろん5S活動を成功させるには「全職員参加」が如何に重要か学ぶことができた。
【考察】
施設経営をしていくうえで、経費削減は、経営基盤の強化、経営を安定的に持続化するためには必要不可欠である。しかし、経営安定のためには、経費削減だけでなく、現在よりも売り上げを上げることは重要である。何故ならば、収入とは関係なく毎月払わなければいけない固定費の比率が高いと、稼働率の低下などで収入が減少した時に、赤字に転落しやすくなってしまう。今回、電気代の削減を目標に
1・蛍光灯の日中間引き点灯
2・不在時のこまめな消灯
3・エアコンの温度設定し、夏場はエアコンと扇風機の併用
4・職員のエレベーターの使用回数の削減
出来ることから始めて電気代削減に成功し、日頃よりコツコツ積み重なると大きな削減に繋がることが証明でき、このコツコツ取り組んでいく意識改革をここで終わらせるわけにはいかない!と、私たちは、施設経営安定に向け、新たな取り組みを開始した。まず「一年間に掛かる経費」を「見える化」することで、経費に掛かる割合を把握・コントロールする事で「経営は変化する」のではないかと考え、2022年度と2023年度の経費データを収集し分析。これらの分析結果により、経費全体の約75%の割合が給食材料費・医療材料費、委託費など施設経営には必要不可欠な費用で削減はし辛い。残りの約25%が日用品費や光熱費、修繕費などである。小さな事でも積み重なれば大きな結果をもたらすことを証明できたことから、日常の物品の使用頻度や使用量をデータ化し、現場スタッフと分析した内容を共有し、全職員が経費削減と売り上げを上げることを意識することが出来る。修理の頻度が空くような取扱い説明のポスターにて注意喚起を行う等、稼働率の低下などで収入が減少した際に、施設経営に大きく影響が及ばないのではないかと考える。現在「施設経営安定に向けた意識改革」という名のもとで意識は継続し、日用品費等の削減できる部分の削減に動き出している。
【今後】
2023年度の1年間の取り組みを通し、小さな事の積み重ねが大きな結果を産むという大きな学びにより、常にコストを意識する取り組みを保持し、コスト削減はあくまでも施設経営の一部であるため、サービスの質が落ちるような削減方法になっていないか常に検証し確認しつつ、全職員が一丸となって施設経営の安定を目指すことのできるそんな施設を目指していきたい。