講演情報
[14-O-D003-01]ユマニチュードケアを実践して介護される側・する側への影響を検討する
*大濱 祐三1、菊地原 光治1、中野 隆造1、鈴木 伸明1 (1. 愛知県 岡崎老人保健施設 スクエアガーデン)
【目的】ユマニチュードケアを実践することで、入所者・スタッフ双方への影響を検証する。【方法】選定した4名に対し、BPSDQ13、認知症介護肯定感尺度を用いて、取り組み前後の変化を確認する。【結果】BPSDQ13の重症度・負担度ともに改善、介護肯定感においても改善傾向がみられた。【考察】認知症介護肯定感尺度については、個人差が大きかった。2か月という取り組み期間の為、関わる頻度が影響したと考えられる
【はじめに】
介護現場においてユマニチュードケアが取り入れられて久しい。各方面においてもその有用性は多数報告されている。当施設においても令和2年より定期的に勉強会を開催し導入を図っていたが、ユマニチュードの理解度・実践度においては個人差が大きく、全体への浸透には至っていなかった。そこで、今年度より当施設の活動目標に『ユマニチュードケアの実践』を掲げ、全スタッフ一丸となっての取り組みについて報告する。
【対象と方法】
全スタッフ(看護・介護・リハビリ)にアンケートを実施し、介護に苦慮している入所者を10名ピックアップした。その中から、ユマニチュードの実践にあたり、ある程度コミュニケーションがとれる軽症~中等度の認知症の入所者4名を選定した。
内訳は
症例1)91歳、男性、要介護1、障害高齢者の日常生活自立度 A2、認知症高齢者の日常生活自立度 IIb、困っている事:脱抑制・易怒性・介護拒否
症例2)78歳、男性、要介護5、B1、IIb、易怒性・アパシー、介護拒否
症例3)87歳、女性、要介護5、B1,IIIa、脱抑制・傾眠傾向
症例4)92歳、女性、要介護4、C1、IIIa、易怒性・傾眠傾向・介護拒否
ユマニチュードの4つの柱・5つのステップを用いて介護にあたり、毎日5分程度のユマニチュードケア・ミーティングを行った。ミーティングには介護だけでなく看護・リハビリスタッフも加わり実施した。様々な意見や情報を元に各利用者毎の活動テーマを1~2週間の間隔でアップデートし、それを実践していくことを継続した。実施前と2か月後に全スタッフに『BPSD13Q』と『認知症介護肯定感尺度(質問1から16で評価)』の指標を用いて各症例毎にアンケートを実施し評価した。
【結果】
4症例の平均値の変化
BPSD13Q 重症度 10.09⇒8.17 負担度 8.52⇒6.08
重症度・負担度においては、脱抑制・易怒性・傾眠傾向・介護拒否といった元々困っていた項目で大幅な改善がみられた。
認知症介護肯定感尺度 介護の意味付け(項目1~8)2.36⇒2.49、介護ができる自信(項目9~13)2.58⇒2.72、介護で得られた喜び(項目14~16)3.23⇒3.27
全ての項目で改善はみられたものの、小幅であった。
【考察】
今回の取り組みは、ユマニチュードケアの実践を全スタッフに浸透させる目的で実施した。認知症介護肯定感尺度の指標の変化は小さかったが、毎日行っていたユマニチュードミーティングでは実施期間中に大きな変化がみられた。当初は、中心メンバーが声掛けしないと始まらなかったミーティングは、後半では自主的に集合して意見を出し合うようになっていった。内容についても、前半は入所者の反応のみの報告が中心であったが、後半では「トイレの後、手を洗うようになった」「○○さん実は右手でスプーンが使えるんですよ」「最近は冗談を言ってくれるようになった」「前もって説明しておくと非常に受け入れが良かった」とより積極的な反応を引き出せた報告になってきた。この取り組みを継続することでユマニチュードケアを全スタッフに浸透させていきたい
介護現場においてユマニチュードケアが取り入れられて久しい。各方面においてもその有用性は多数報告されている。当施設においても令和2年より定期的に勉強会を開催し導入を図っていたが、ユマニチュードの理解度・実践度においては個人差が大きく、全体への浸透には至っていなかった。そこで、今年度より当施設の活動目標に『ユマニチュードケアの実践』を掲げ、全スタッフ一丸となっての取り組みについて報告する。
【対象と方法】
全スタッフ(看護・介護・リハビリ)にアンケートを実施し、介護に苦慮している入所者を10名ピックアップした。その中から、ユマニチュードの実践にあたり、ある程度コミュニケーションがとれる軽症~中等度の認知症の入所者4名を選定した。
内訳は
症例1)91歳、男性、要介護1、障害高齢者の日常生活自立度 A2、認知症高齢者の日常生活自立度 IIb、困っている事:脱抑制・易怒性・介護拒否
症例2)78歳、男性、要介護5、B1、IIb、易怒性・アパシー、介護拒否
症例3)87歳、女性、要介護5、B1,IIIa、脱抑制・傾眠傾向
症例4)92歳、女性、要介護4、C1、IIIa、易怒性・傾眠傾向・介護拒否
ユマニチュードの4つの柱・5つのステップを用いて介護にあたり、毎日5分程度のユマニチュードケア・ミーティングを行った。ミーティングには介護だけでなく看護・リハビリスタッフも加わり実施した。様々な意見や情報を元に各利用者毎の活動テーマを1~2週間の間隔でアップデートし、それを実践していくことを継続した。実施前と2か月後に全スタッフに『BPSD13Q』と『認知症介護肯定感尺度(質問1から16で評価)』の指標を用いて各症例毎にアンケートを実施し評価した。
【結果】
4症例の平均値の変化
BPSD13Q 重症度 10.09⇒8.17 負担度 8.52⇒6.08
重症度・負担度においては、脱抑制・易怒性・傾眠傾向・介護拒否といった元々困っていた項目で大幅な改善がみられた。
認知症介護肯定感尺度 介護の意味付け(項目1~8)2.36⇒2.49、介護ができる自信(項目9~13)2.58⇒2.72、介護で得られた喜び(項目14~16)3.23⇒3.27
全ての項目で改善はみられたものの、小幅であった。
【考察】
今回の取り組みは、ユマニチュードケアの実践を全スタッフに浸透させる目的で実施した。認知症介護肯定感尺度の指標の変化は小さかったが、毎日行っていたユマニチュードミーティングでは実施期間中に大きな変化がみられた。当初は、中心メンバーが声掛けしないと始まらなかったミーティングは、後半では自主的に集合して意見を出し合うようになっていった。内容についても、前半は入所者の反応のみの報告が中心であったが、後半では「トイレの後、手を洗うようになった」「○○さん実は右手でスプーンが使えるんですよ」「最近は冗談を言ってくれるようになった」「前もって説明しておくと非常に受け入れが良かった」とより積極的な反応を引き出せた報告になってきた。この取り組みを継続することでユマニチュードケアを全スタッフに浸透させていきたい