講演情報
[14-O-D004-01]認知症の方へのケア~西山ウエルケアとしての取り組み~
*城取 明音1、加藤 玲南1 (1. 静岡県 介護老人保健施設 西山ウエルケア)
当施設では認知症ケア専門士や認知症ケアについての研修を受講した職員を中心にカンファレンスの時間を使って認知症についての知識を深めケアについて学んできた。今回、帰宅願望の強かったアルツハイマー型認知症のある入所者に対して、環境調整や生活歴を取り入れたケアを実践し約半年で周辺症状の軽減が見られ、また職員対象のアンケートでは認知症ケアの効果についての意識の変化を実感したためここに報告する。
【はじめに】
入所当初、帰宅願望が強く離棟インシデントや介護拒否のみられた入所者に対し、入所者の状態をよく観察し、個別性を重視した対応を行なうことで認知症の周辺症状が落ち着くことがわかった。またこの事例を通して職員が認知症のある方の周辺症状に対し受容する意識に変化してきている事がアンケートの結果から実感できた。
【対象者】
A様(80歳代)
アルツハイマー型認知症
障害高齢者の日常生活自立度:A1
認知症高齢者の生活自立度:III
HDS-R:8点
【方法】
(1)A様の状態を観察し、周辺症状が起きる場面・時間・環境などを確認し原因を探す。
(2)認知症の周辺症状がなぜ起こるのかについて療養棟内の研修で学び、職員一人一人がA様の周辺症状がなぜ起きているのかを理解し、対応策を検討する。
(3)入所後からの本人の状況変化について職員アンケートを実施。アンケート対象者は療養棟職員(看護師・介護職員)36名。
【結果】
A様の周辺症状は新しい環境に対する不安が強く、言語コミュニケーションだけでは不安の改善や信頼関係は生まれないと判断した。その為、A様が安心できる環境づくりを行なうことにした。
まず療養棟からの離棟があったため、連絡通路や非常階段への視覚効果を考えた環境調整を実践し、併せて家族の協力を得て趣味・嗜好を考慮した生活環境を整え、家族を感じるよう写真を用意するといった対応を実践した。さらに自宅では長年専業主婦だったいう事から、施設でもタオルたたみや掃除などの役割を提供した。
その結果、入所半年後には症状の軽減がみられ、連絡通路や非常階段へ実施した対応は解除することができた。入所者自身にも笑顔が見られることが多くなった。以上の状況について職員アンケートを実施した結果、80%以上の職員が状況の改善を実感した。
【考察】
認知症ケア専門士等の介入により認知症への知識がこれまで以上に深まり、療養棟全体でも意識の向上や情報の共有ができた。それにより入所者への対応が職員全体で意識して行えるようになり、職員間でのコミュニケーション向上やスムーズなケアに繋がったと考えられる。結果、入所者の周辺症状の軽減にも繋がったと考えられる。
【結語】
職員全体の症状に対する理解や、入所者の生活背景・考えに寄り添うといった個別性の重要性を改めて感じる1例となった。今後も職員全体で入所者1人1人に合った関わりを意識しながら、よりよい生活が維持できるよう取り組んでいきたい。
入所当初、帰宅願望が強く離棟インシデントや介護拒否のみられた入所者に対し、入所者の状態をよく観察し、個別性を重視した対応を行なうことで認知症の周辺症状が落ち着くことがわかった。またこの事例を通して職員が認知症のある方の周辺症状に対し受容する意識に変化してきている事がアンケートの結果から実感できた。
【対象者】
A様(80歳代)
アルツハイマー型認知症
障害高齢者の日常生活自立度:A1
認知症高齢者の生活自立度:III
HDS-R:8点
【方法】
(1)A様の状態を観察し、周辺症状が起きる場面・時間・環境などを確認し原因を探す。
(2)認知症の周辺症状がなぜ起こるのかについて療養棟内の研修で学び、職員一人一人がA様の周辺症状がなぜ起きているのかを理解し、対応策を検討する。
(3)入所後からの本人の状況変化について職員アンケートを実施。アンケート対象者は療養棟職員(看護師・介護職員)36名。
【結果】
A様の周辺症状は新しい環境に対する不安が強く、言語コミュニケーションだけでは不安の改善や信頼関係は生まれないと判断した。その為、A様が安心できる環境づくりを行なうことにした。
まず療養棟からの離棟があったため、連絡通路や非常階段への視覚効果を考えた環境調整を実践し、併せて家族の協力を得て趣味・嗜好を考慮した生活環境を整え、家族を感じるよう写真を用意するといった対応を実践した。さらに自宅では長年専業主婦だったいう事から、施設でもタオルたたみや掃除などの役割を提供した。
その結果、入所半年後には症状の軽減がみられ、連絡通路や非常階段へ実施した対応は解除することができた。入所者自身にも笑顔が見られることが多くなった。以上の状況について職員アンケートを実施した結果、80%以上の職員が状況の改善を実感した。
【考察】
認知症ケア専門士等の介入により認知症への知識がこれまで以上に深まり、療養棟全体でも意識の向上や情報の共有ができた。それにより入所者への対応が職員全体で意識して行えるようになり、職員間でのコミュニケーション向上やスムーズなケアに繋がったと考えられる。結果、入所者の周辺症状の軽減にも繋がったと考えられる。
【結語】
職員全体の症状に対する理解や、入所者の生活背景・考えに寄り添うといった個別性の重要性を改めて感じる1例となった。今後も職員全体で入所者1人1人に合った関わりを意識しながら、よりよい生活が維持できるよう取り組んでいきたい。