講演情報
[14-O-D004-04]アロママッサージで良質な睡眠を
*田中 憲一1、小栗 志織1 (1. 岐阜県 セイ・ウインド大垣)
現在当施設では、約3割の入所者が眠前薬として睡眠導入剤・安定剤の定期内服及び追加の内服を行っている。それでも夜間不眠を訴える方は一定数存在し、夜間の十分な睡眠時間の確保は常に課題の一つである。 今回アロママッサージの効果として、良質な睡眠の確保ができるかの検証を行いその結果、今後の課題を報告する。
【はじめに】 当施設は現在約3割の入所者が、眠前薬として睡眠導入剤・安定剤の定期内服や追加で内服をしているが、夜間入眠困難の訴えや中途覚醒を繰り返して不眠を訴える入所者は一定数おり、夜間の十分な睡眠時間の確保は、夜間の徘徊による転倒事故予防、昼夜逆転予防等の入所者の健康面からも常に課題の一つである。 当施設併設のデイケアでアロママッサージを行った結果、利用者アンケートではほぼ全員が「気持ちよかった」「体がすっきりした」とあるなか約半数の方が「夜ぐっすり眠れた」との声があった。この「夜ぐっすり眠れた」という点に注目し、入所者特に夜間不眠の訴えある方に絞ってアロママッサージを実施しその効果について検証・今後の課題の検討を行った。【方法】・夜間十分な睡眠がとれていない方に限定し、午後の時間にアロママッサージを行う。・週に1回10分実施した時、週に4~5回10分ずつ実施した時の比較を行ってみる。 ・初回はパッチテストを行う ・肩首頭・手腕・足の中からお好きな部位を選んで頂く ・肌の状態考慮しパッチテスト不可の場合アロマは匂いを嗅いでもらい、ワセリンでマッサージを行う。・パーテーションで仕切りプライベート空間を作り、ベッド上仰臥位または車いす上にて安楽な肢位で行う【結果】・A様:集中的に行うことで痒み訴え聞かれず夜間良眠できた。・H様:夜間の訴え導入開始から激減し、夜間良眠できた。・M様:中途覚醒は見られたが、頻度は減少みられた。本人は「よく眠れるようになった」と熟睡感あり。・K様:トイレ覚醒あるが、トイレ後はすぐ入眠。良眠されていた。・H様:夜間良眠された。「マッサージしてもらうとよく眠れる」との発言みられた。・S様:マッサージに拒否感強く、身体に触れられることを拒絶。マッサージ中止した。【考察・まとめ】 アロママッサージを行うことで、夜間の睡眠状況が改善した場面が多くみられた。特に対象の熟睡感は高く、速やかな入眠。継続した睡眠に効果があったと考えられる。 二次的な効果として、マッサージ中の1対1の対話で入所者が抱えている問題(痛み、痒み、排せつの悩み等)を打ち明けやすい状況を作り出し、悩みを吐き出せたことで心理的負担を減少させ、入所者に良質な睡眠の提供を図れたこともこの効果の一因といえる。 今回は眠前薬の不使用・減薬するまでには至らなかったが、対象の良質な睡眠を提供するための補助的役割を果たせると感じられた。今後も睡眠時間の確保が難しい療養者への対応策の一つとしてこのアロママッサージを実施していきたい。