講演情報
[14-O-D004-05]老健での美容と心のケアエステサロンKOMEの取り組み
*山岸 真弓1、細井 果林1 (1. 新潟県 介護老人保健施設サンクス米山)
認知機能、BPSDの改善目的で、施設内にエステサロンを開設した。サロンでは、アロマテラピーとエステを施行し、BPSD+Q/BPSD25Qによる評価と介護職員へのアンケート調査を行った。その結果BPSDの軽減が確認され、一定の有効性が示唆された。さらにBPSDの軽減だけでなく、エステやアロマテラピーを介した利用者を中心とした関りが、他職種連携を促進し、職員のモチベーション向上にも繋がった。
【はじめに】「自分を大切にしてゆったりとした時間を過ごしてほしい」「癒しの場を作りたい」という職員の思いから看護師とリハビリ職員によるエステサロンを開設した。取り組みを通して、認知症のBPSDの改善や職員のモチベーション向上等、一定の効果が認められた。その内容について以下の通り報告する。
【目的】認知機能の低下、BPSDが認められた利用者に対し、症状の改善を目的に施設内でエステサロンを開設した。エステサロンのような非日常の空間で施術を体験することで、施設の利用者としてではなく、特別な空間で、一人の人として「自分を大切にする時間」を味わって頂けるよう工夫した。さらにアロマを活用することで、アロマテラピー(植物から採取されるピュアーな精油を使った芳香療法)としての効果(認知・精神機能の維持・向上)が現れるようサロン内の環境を整えた。また、このような活動が職員に与える影響について、アンケート調査を実施した。
【取り組み内容・対象】
1.対象
認知機能の低下、BPSDが認められた利用者4名
2.内容
施設内のクローズドスペースで月1回、1人1時間を目安に「手浴・足浴・オイルマッサージ・ネイル・メイク・整容」を行った。
3.評価方法
利用者に対しはBPSD+Q/BPSD25Qを使用した。職員に対してSemantic Differential法を用いてアンケート調査を行った。介入期間は令和6年2月1日~令和6年6月27日
【結果】
1.BPSD(夜間の不眠や、声出し、不安症状など)が出現している利用者の令和6年2月1日(エステ参加前)~6月27日(約4か月後)のBPSD+Q/BPSD25Qは以下の結果となった。
利用者A:BPSD25Q 重症度44点 負担度41点 →重症度12点 負担度11点
BPSD+Q 重症度46点 負担度44点 →重症度13点 負担度12点
利用者B:BPSD25Q 重症度52点 負担度52点→重症度27点 負担度26点
BPSD+Q 重症度54点 負担度54点→重症度27点 負担度26点
利用者C:BPSD25Q 重症度31点 負担度31点 →重症度11点 負担度11点
BPSD+Q 重症度31点 負担度31点→重症度11点 負担度11点
利用者D:BPSD25Q 重症度19点 負担度17点 →重症度2点 負担度1点
BPSD+Q 重症度21点 負担度19点→重症度2点 負担度1点
2.職員23名(介護職員、看護職員、リハビリ職員)に対して、Semantic Differentialを用いたアンケート調査を行った。
(1)開始前と比較し利用者様の精神状態の変化がある。(声出し・夜間の睡眠状況など)
1)ある 3名 2)どちらかといえばある 6名 3)どちらともいえない 12名 4)どちらかといえばない 1名 5)ない 1名
(2)開始前と比較し利用者様の表情や言動の変化がある。
1)ある 6名 2)どちらかといえばある 12名 3)どちらともいえない 4名 4)どちらかといえばない 1名 5)ない 0名
【考察】
利用者4名について、BPSD+Q/BPSD25Qの数値に改善が見られた。エステサロンのような空間の中で、自分自身のための時間を過ごすこと、また時間をかけて利用者の思いを傾聴しながら、アロマを用いてマッサージを行い、嗅覚等の五感を通して脳を刺激することで、精神状態の安定に繋がったと考えられる。さらに、エステサロンでの体験の記憶を長期的に保持している利用者も多かったため、快刺激の効果が記憶の残存に影響を与えていたことが示唆された。
また、エステ以外の時間でも職員や他利用者から「また綺麗になったね」「素敵なネイルですね」「私もやってみたいわ」などの声掛けがあり、エステ以外の時間における声掛けや関わり方の変化が、改善に大きく影響していたのではないかと考えられる。今後も活動を継続していく中で、エステサロンでの活動や日常の関わり方の変化が利用者にどのような影響を与えているのか、その効果を検証していく必要がある。
【終わりに】
面会・外出が限られている中、エステサロンを開設したことで日常の受け身の介護から張り合いのある生活に変わり「自分を大切にする時間」の確保ができ利用者様の精神的安定に繋がったと考えられる。
活動を始めてみて笑顔を間近で見たり、感謝の言葉を直接いただくことで、職員の働きがいやモチベーションの向上にもつながった。また看護師とリハビリ職員が中心に行い、介護職員にも協力を頂くことで、他職種連携にも繋がった。活動の中では、利用者様から直接日々の業務では聞けないお話しを聞くことも多く、利用者だけでなく職員も楽しい時間を過ごすきっかけになっている。
現在、週に1度の活動だが、人員体制を整え、周囲の協力を得ながら、今後も活動の継続、拡大を図っていきたい。
【目的】認知機能の低下、BPSDが認められた利用者に対し、症状の改善を目的に施設内でエステサロンを開設した。エステサロンのような非日常の空間で施術を体験することで、施設の利用者としてではなく、特別な空間で、一人の人として「自分を大切にする時間」を味わって頂けるよう工夫した。さらにアロマを活用することで、アロマテラピー(植物から採取されるピュアーな精油を使った芳香療法)としての効果(認知・精神機能の維持・向上)が現れるようサロン内の環境を整えた。また、このような活動が職員に与える影響について、アンケート調査を実施した。
【取り組み内容・対象】
1.対象
認知機能の低下、BPSDが認められた利用者4名
2.内容
施設内のクローズドスペースで月1回、1人1時間を目安に「手浴・足浴・オイルマッサージ・ネイル・メイク・整容」を行った。
3.評価方法
利用者に対しはBPSD+Q/BPSD25Qを使用した。職員に対してSemantic Differential法を用いてアンケート調査を行った。介入期間は令和6年2月1日~令和6年6月27日
【結果】
1.BPSD(夜間の不眠や、声出し、不安症状など)が出現している利用者の令和6年2月1日(エステ参加前)~6月27日(約4か月後)のBPSD+Q/BPSD25Qは以下の結果となった。
利用者A:BPSD25Q 重症度44点 負担度41点 →重症度12点 負担度11点
BPSD+Q 重症度46点 負担度44点 →重症度13点 負担度12点
利用者B:BPSD25Q 重症度52点 負担度52点→重症度27点 負担度26点
BPSD+Q 重症度54点 負担度54点→重症度27点 負担度26点
利用者C:BPSD25Q 重症度31点 負担度31点 →重症度11点 負担度11点
BPSD+Q 重症度31点 負担度31点→重症度11点 負担度11点
利用者D:BPSD25Q 重症度19点 負担度17点 →重症度2点 負担度1点
BPSD+Q 重症度21点 負担度19点→重症度2点 負担度1点
2.職員23名(介護職員、看護職員、リハビリ職員)に対して、Semantic Differentialを用いたアンケート調査を行った。
(1)開始前と比較し利用者様の精神状態の変化がある。(声出し・夜間の睡眠状況など)
1)ある 3名 2)どちらかといえばある 6名 3)どちらともいえない 12名 4)どちらかといえばない 1名 5)ない 1名
(2)開始前と比較し利用者様の表情や言動の変化がある。
1)ある 6名 2)どちらかといえばある 12名 3)どちらともいえない 4名 4)どちらかといえばない 1名 5)ない 0名
【考察】
利用者4名について、BPSD+Q/BPSD25Qの数値に改善が見られた。エステサロンのような空間の中で、自分自身のための時間を過ごすこと、また時間をかけて利用者の思いを傾聴しながら、アロマを用いてマッサージを行い、嗅覚等の五感を通して脳を刺激することで、精神状態の安定に繋がったと考えられる。さらに、エステサロンでの体験の記憶を長期的に保持している利用者も多かったため、快刺激の効果が記憶の残存に影響を与えていたことが示唆された。
また、エステ以外の時間でも職員や他利用者から「また綺麗になったね」「素敵なネイルですね」「私もやってみたいわ」などの声掛けがあり、エステ以外の時間における声掛けや関わり方の変化が、改善に大きく影響していたのではないかと考えられる。今後も活動を継続していく中で、エステサロンでの活動や日常の関わり方の変化が利用者にどのような影響を与えているのか、その効果を検証していく必要がある。
【終わりに】
面会・外出が限られている中、エステサロンを開設したことで日常の受け身の介護から張り合いのある生活に変わり「自分を大切にする時間」の確保ができ利用者様の精神的安定に繋がったと考えられる。
活動を始めてみて笑顔を間近で見たり、感謝の言葉を直接いただくことで、職員の働きがいやモチベーションの向上にもつながった。また看護師とリハビリ職員が中心に行い、介護職員にも協力を頂くことで、他職種連携にも繋がった。活動の中では、利用者様から直接日々の業務では聞けないお話しを聞くことも多く、利用者だけでなく職員も楽しい時間を過ごすきっかけになっている。
現在、週に1度の活動だが、人員体制を整え、周囲の協力を得ながら、今後も活動の継続、拡大を図っていきたい。