講演情報

[14-O-P101-06]「見守り支援システム」導入後の職員の変化安全・安心な療養環境を目指してセンサーベッドの運用

*纐纈 里美1 (1. 岐阜県 さわやかリバーサイドビラ)
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令和3年6月導入しました「見守り支援システム」を活用することで、事故防止に繋げているだけでなく、治療への参考データなど利用者様への安全と快適、職員の安心と業務負担軽減等、さまざまなリスク軽減にも繋がり、「効率に見守りが出来る=利用者様にも職員にも安全で過ごしやすい環境」と考えます。また、導入後の職員の心境の変化を調査し、システムが活用出来ているのか、さらに有効に活用できないか検証しました。
【はじめに】当施設は開設から33年が過ぎました。時代が変わり、制度が変わり、働く人も変わり、施設も変わらなくてはなりません。令和3年6月より当施設は「見守り支援システム」なる設備を導入することになりました。どうしても施設は住み慣れた環境ではない為、落ち着かなかったり、様々な要因から影響が現れたりします。特に「睡眠」には如実に影響し、いわゆる昼夜逆転というものがそれの代表格です。「夜眠れないなら昼間寝れば良いじゃん」それは24時間遊び回れる若者の特権です。やはり、「お天道様がいる時間に起き、夜になれば眠る」これが自然であり、健康に繋がります。これが出来なくなると食欲が落ちたり、足下がふらつき、転倒の原因になったり、悪いことがいっぱい起きてしまいます。これまで我々の業界はそれを目視、または経験に頼って原因を予測していましたが、効果は薄いものでありました。そこで、「見守り支援システム」を活用することで、今まで予測出来なかったことが分かるようになり、利用者様の夜間の行動パターンも読み解けるようになってきました。
【目的】この「見守り支援システム」を活用することで、事故防止に繋げているだけでなく、治療への参考データ、健康、生活の安定化など、利用者様への安全と快適、職員の安心と業務負担軽減等、さまざまなリスク軽減にも繋がり、「効率に見守りが出来る=利用者様にも職員にも安全で過ごしやすい環境」と考えます。「見守り支援システム」導入後の職員の心境の変化を調査し、システムが活用出来ているのか、さらに有効に活用できないか検証しました。
【方法】1、アンケート期間:2024年3月~6月2、対象:夜勤勤務に従事している常勤職員3、アンケート収集方法:回収袋へ投函とする4、アンケート分析方法:感想内容の意味を変えないように要約する。5、倫理的配慮:対象職員に研究の目的・方法・プライバシーの保護・匿名性の厳守の説明と同意を得る。
【結果】アンケートを集計した結果、「睡眠状況が読み取れるようになってきている」「異常に早く気付ける様になった」「センサーを利用する事で、立ち上がる前に気付け転倒が防げている」「データ化されている安心感がある」等、好感触な反面、「定時の巡回が減るわけではなく、肉体的な負担は変わらない」「いつも気が張っていて、精神的に辛い」「導入しても業務は変わらない」との意見も聞かれました。当施設は、夜間は各フロア30人前後の利用者様を1人で対応しています。利用者様には2時間毎の巡回と、体位変換を定期的に行っていますが、夜勤職員の負担を軽減することと、利用者様に快適な睡眠を提供することを目的として、「見守り支援システム」を活用して5月より定時巡回を3時間毎に変更しました。その1か月後、追跡アンケートを実施し、アンケートを集計した結果、精神的、肉体的に負担が軽減された職員は100%で、「気持ち的、体力的に楽になった」「時間に追われることが無くなった」「他の作業時間が作れた」「不必要な行動が減った」との意見が聞かれました。利用者様が快適な睡眠が得られていると思う、と感じた職員は99%で、「眠りを妨げる事が減った」「巡回により起きてしまう方がみえた」「よく眠れていると感じる」との意見が聞かれました。巡回の時間が空いた事により、身体を休められる様になった職員は70%以上で、他に「ケアプランの作成等に時間を当てられる様になった」と、不必要な訪室を無くし、「見守り支援システム」で睡眠状況を確認し、利用者様の睡眠を妨げる事無くオムツ交換に入る事が可能となり、快適な睡眠を提供出来る様になりました。職員にとっても精神的・肉体的負担が軽減されました。
【まとめ】「眠りSCAN」で転倒事故などを全て防げるものではありませんが、利用者様の行動パターンやリスクを分析することで今後の、より良いケアやリスク軽減を図る為には欠かせない機器であることは間違いありません。介護に携わるスタッフが元気であってこそ利用者様により良いケアを提供出来るわけです。利用者様の危険を回避し、職員の負担軽減に繋がる試みは、これから更に必要と考えます。