講演情報
[14-O-P101-07]通所リハ念願の稼働計画達成!目標を一に多職種協働の取組み&ケアマネへアプローチ
*村上 直哉1、安部 昌彦1、山住 恵1、村井 大也1、面谷 知一1 (1. 大阪府 松下介護老人保健施設はーとぴあ)
通所リハでは、2017年以降1度も稼働計画を達成できていなかった。そこで、要因を分析し多職種協働で目標の共有化と数値の見える化に取組み、ケアマネジャーに対し新たに導入した取組みを紹介するなど、積極的なPR活動を行った。その結果、体験利用者数やケアマネジャーからの紹介件数、体験利用者の成約率が増え、2023年11月稼働計画を達成した。現場の一体感を高め、ケアマネジャーとの信頼関係を構築したことが達成に繋がった。
【はじめに】
当施設の通所リハビリテーション(以下 「通所リハ」 という)は定員89人で運営している。2017年度以降、稼働計画を70.0人/日以上としたが1度も達成することができていなかった。その要因は、通所リハ職員間で目標の共有ができておらず数字への意識が低かったこと、稼働が上がらない分析が不十分だったこと、ケアマネジャーとあまり顔が見える関係で関わりを持てていなかったこと、また、最近では気持ちのどこかでコロナ禍だから仕方がないと思い込んでいたことが要因だと考えられた。そこで、2022年度下期に通所リハとしてやるべき目標を決め、その目標を朝会や各種ミーティングで繰り返し共有化し様々な取組みを行ってきた結果、ケアマネジャーとの信頼関係が構築され稼働計画達成に繋がったので報告する。
【取組み】
1.ケアマネジャーへ地道なアプローチ
・ケアマネジャーを対象に2023年3月までに認知機能低下予防勉強会(以下 「勉強会」 という)を4回、通所リハ施設見学会(以下 「見学会」 という)を4回開催し、認知症ケアの対応強化として2022年9月に導入した脳で考え、同時に体を動かすデュアルタスク効果が期待できるプログラム「シナプソロジー」を体験してもらえる機会を作った。
・毎月5~10件ケアマネジャーの事業所を訪問。紹介の窓口拡大として同年11月に導入した短時間サービス(2~3時間のサービス提供)開始の説明を直接ケアマネジャーに行った。
・より多くのケアマネジャーと関わりを持ち、「シナプソロジー」「短時間サービス」「リハビリ機器」「認知症ケアとして実施しているくもん学習療法・おとなの学校」など、はーとぴあの特徴や最新情報を具体的に知ってもらうことに注力した。
・通所リハの検討会では、同事業所のケアマネジャーを含めた多職種で通所リハの業務内容だけでなく、リハビリ会議の内容など幅広く検討した。
2.体験利用者対応の見直し
体験利用者の受入れ人数や体験時の受入れ体制の見直しを行った。
・体験利用者の受入れを1日1人から2人に増員
・ウェルカムボードを体験利用者毎に作成しテーブルに設置
・当日対応する担当を決め、リハビリ職員、介護職員、支援相談員がそれぞれの役割で関わり、他の職員も自己紹介や声掛けを行うなど、全職員が関われる体制に変更
・体験利用後は、当日中にケアマネジャーと家族へ利用状況の報告
・体験利用の翌日、遅くても3日以内にケアマネジャーに連絡し感想を確認。初回利用時の対応に反映させた
3.目標の共有化と数値の見える化
2022年度は70.5人/日、2023年度は72.0人/日を稼働計画とし、2023年度は稼働計画の数値は換算値で分かりにくいとの意見があったため実際に利用している1日の利用者数80.0人とする目標と、体験利用者の成約率を上げる意識を持つため体験利用者の成約率75%とする目標も立てた。
そこで、目標数値の進捗が見える仕組みづくりを行うため、目標達成に必要な新規利用者数や体験利用者の成約率の推移表を作成した。登録者や暫く休みの増減、調整中の新規や中止の利用者など、状況の可視化と数値の見える化に取組んだ。見える化した数値データは、月末の見通しとともに毎週メールで通所リハ職員全員へ報告し共有を図った。
【結果】
1.勉強会には31事業所48人、見学会には26事業所54人のケアマネジャーの参加があり、通所リハの取組みを具体的にPRすることができた。また、リハビリ会議の開催回数を戦略的に増やし、かつ充実した内容のフィードバックが行えるようになった。ケアマネジャーとの関わりが増え、既存のケアマネジャーとの関係は強化され、新たなケアマネジャーとの関係構築にも繋がり、ケアマネジャーからの紹介も、2022年度は142件だったが2023年度は186件と44件の増加に繋がった。
2.体験利用者への関りは密になり、一つひとつのサービスもスムーズに案内できるようになった。体験利用終了時には、継続して利用を希望する利用者が増え、成約率向上に繋がった。
3.1日の利用者数の目標数値を実数にした事で稼働計画の指標としてわかりやすくなり、2023年11月(取組み開始約1年後)念願の稼働計画を達成できた。(計画72.0人/日 実績72.3人/日)
以降、稼働計画72.0人/日以上を維持し、2024年4月には74.0人/日まで稼働を伸ばすことができた。体験利用者も2022年度は89人だったが2023年度は117人と28人の増加に繋がり、成約率も目標の75%を達成することができた。また、通所リハ関係者から「稼働計画達成には新規利用者や体験利用者が何人必要なのか?」など数値を意識した発言が出るようになった。
【考察】
ケアマネジャーを対象とした定期的な勉強会や体験型見学会の開催と同時に、支援相談員が事業所を訪問し最新情報や多職種で取組んだ内容を報告するなどして、顔が見える関係づくりを行った。
このように、地道にケアマネジャーへのアプローチを継続したことが通所リハの理解を深め、紹介件数の増加に繋がったと考えられる。また、職員一人ひとりの意識を変えられたことも通所リハの一体感を高め、職員間の連携強化に繋がったと考えらえる。
稼働計画達成は、通所リハの取組みやサービス内容、ケアマネジャーが紹介した利用者の満足度を地道に伝え続ける仕組みを作ったことが一番の近道だったと考える。
【おわりに】
稼働計画達成までの道のりは果てしなく、稼働が伸びないのは「なぜ?」、取組みは間違っていないかなど、何度も考える日々だった。しかし、多職種協働で目標を決め、通所リハ職員全員の気持ちがひとつになった瞬間、心強く、自信を持って取組みの案内や毎月の訪問ができるようになった。毎月、地道に行動し続けた結果、稼働計画達成に繋がることを学んだ今、これからも多職種協働で決めたことを素早くケアマネジャーに発信し、さらなる信頼関係の強化に繋げていきたい。
当施設の通所リハビリテーション(以下 「通所リハ」 という)は定員89人で運営している。2017年度以降、稼働計画を70.0人/日以上としたが1度も達成することができていなかった。その要因は、通所リハ職員間で目標の共有ができておらず数字への意識が低かったこと、稼働が上がらない分析が不十分だったこと、ケアマネジャーとあまり顔が見える関係で関わりを持てていなかったこと、また、最近では気持ちのどこかでコロナ禍だから仕方がないと思い込んでいたことが要因だと考えられた。そこで、2022年度下期に通所リハとしてやるべき目標を決め、その目標を朝会や各種ミーティングで繰り返し共有化し様々な取組みを行ってきた結果、ケアマネジャーとの信頼関係が構築され稼働計画達成に繋がったので報告する。
【取組み】
1.ケアマネジャーへ地道なアプローチ
・ケアマネジャーを対象に2023年3月までに認知機能低下予防勉強会(以下 「勉強会」 という)を4回、通所リハ施設見学会(以下 「見学会」 という)を4回開催し、認知症ケアの対応強化として2022年9月に導入した脳で考え、同時に体を動かすデュアルタスク効果が期待できるプログラム「シナプソロジー」を体験してもらえる機会を作った。
・毎月5~10件ケアマネジャーの事業所を訪問。紹介の窓口拡大として同年11月に導入した短時間サービス(2~3時間のサービス提供)開始の説明を直接ケアマネジャーに行った。
・より多くのケアマネジャーと関わりを持ち、「シナプソロジー」「短時間サービス」「リハビリ機器」「認知症ケアとして実施しているくもん学習療法・おとなの学校」など、はーとぴあの特徴や最新情報を具体的に知ってもらうことに注力した。
・通所リハの検討会では、同事業所のケアマネジャーを含めた多職種で通所リハの業務内容だけでなく、リハビリ会議の内容など幅広く検討した。
2.体験利用者対応の見直し
体験利用者の受入れ人数や体験時の受入れ体制の見直しを行った。
・体験利用者の受入れを1日1人から2人に増員
・ウェルカムボードを体験利用者毎に作成しテーブルに設置
・当日対応する担当を決め、リハビリ職員、介護職員、支援相談員がそれぞれの役割で関わり、他の職員も自己紹介や声掛けを行うなど、全職員が関われる体制に変更
・体験利用後は、当日中にケアマネジャーと家族へ利用状況の報告
・体験利用の翌日、遅くても3日以内にケアマネジャーに連絡し感想を確認。初回利用時の対応に反映させた
3.目標の共有化と数値の見える化
2022年度は70.5人/日、2023年度は72.0人/日を稼働計画とし、2023年度は稼働計画の数値は換算値で分かりにくいとの意見があったため実際に利用している1日の利用者数80.0人とする目標と、体験利用者の成約率を上げる意識を持つため体験利用者の成約率75%とする目標も立てた。
そこで、目標数値の進捗が見える仕組みづくりを行うため、目標達成に必要な新規利用者数や体験利用者の成約率の推移表を作成した。登録者や暫く休みの増減、調整中の新規や中止の利用者など、状況の可視化と数値の見える化に取組んだ。見える化した数値データは、月末の見通しとともに毎週メールで通所リハ職員全員へ報告し共有を図った。
【結果】
1.勉強会には31事業所48人、見学会には26事業所54人のケアマネジャーの参加があり、通所リハの取組みを具体的にPRすることができた。また、リハビリ会議の開催回数を戦略的に増やし、かつ充実した内容のフィードバックが行えるようになった。ケアマネジャーとの関わりが増え、既存のケアマネジャーとの関係は強化され、新たなケアマネジャーとの関係構築にも繋がり、ケアマネジャーからの紹介も、2022年度は142件だったが2023年度は186件と44件の増加に繋がった。
2.体験利用者への関りは密になり、一つひとつのサービスもスムーズに案内できるようになった。体験利用終了時には、継続して利用を希望する利用者が増え、成約率向上に繋がった。
3.1日の利用者数の目標数値を実数にした事で稼働計画の指標としてわかりやすくなり、2023年11月(取組み開始約1年後)念願の稼働計画を達成できた。(計画72.0人/日 実績72.3人/日)
以降、稼働計画72.0人/日以上を維持し、2024年4月には74.0人/日まで稼働を伸ばすことができた。体験利用者も2022年度は89人だったが2023年度は117人と28人の増加に繋がり、成約率も目標の75%を達成することができた。また、通所リハ関係者から「稼働計画達成には新規利用者や体験利用者が何人必要なのか?」など数値を意識した発言が出るようになった。
【考察】
ケアマネジャーを対象とした定期的な勉強会や体験型見学会の開催と同時に、支援相談員が事業所を訪問し最新情報や多職種で取組んだ内容を報告するなどして、顔が見える関係づくりを行った。
このように、地道にケアマネジャーへのアプローチを継続したことが通所リハの理解を深め、紹介件数の増加に繋がったと考えられる。また、職員一人ひとりの意識を変えられたことも通所リハの一体感を高め、職員間の連携強化に繋がったと考えらえる。
稼働計画達成は、通所リハの取組みやサービス内容、ケアマネジャーが紹介した利用者の満足度を地道に伝え続ける仕組みを作ったことが一番の近道だったと考える。
【おわりに】
稼働計画達成までの道のりは果てしなく、稼働が伸びないのは「なぜ?」、取組みは間違っていないかなど、何度も考える日々だった。しかし、多職種協働で目標を決め、通所リハ職員全員の気持ちがひとつになった瞬間、心強く、自信を持って取組みの案内や毎月の訪問ができるようになった。毎月、地道に行動し続けた結果、稼働計画達成に繋がることを学んだ今、これからも多職種協働で決めたことを素早くケアマネジャーに発信し、さらなる信頼関係の強化に繋げていきたい。