講演情報

[14-O-P102-05]ICT活用による科学的介護推進体制加算II算定の効率化

*阿部 一樹1 (1. 宮城県 医療法人仁泉会 介護老人保健施設なとり)
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科学的介護推進体制加算II(LIFE)算定の条件である服薬情報の入力を簡略化させ、職員負担の軽減が図れたので報告する。定期処方と臨時処方において、紙媒体であった施設処方せんを電子媒体に変更する事で、必要期間の服薬情報を一括でLIFEに取り込める形にし、紙媒体からの情報取得を頓用薬に限定した。その結果、入力に所要していた時間が月平均8時間28分減少した。所要時間削減により目的であった職員負担の改善にも繋がった。
【目的】
令和3年度から始まったLIFEのうち科学的介護推進体制加算算定において上位加算である加算IIを取得するにあたり、疾病、服薬の状況等の情報を厚生労働省へ提出しなければならない。提出する情報のうち、服薬情報に関して、最大半月分、定期や臨時等の処方も含め全て、紙媒体である処方せんを遡り、薬剤一つ一つの処方年月日、薬剤名称(レセ電算コード含)用量、単位、調剤数量等の情報を整理し、入力を入所者ごと最大135名分、行っていた為、膨大な時間を有し、職員負担が大きい事が問題であった。その為、NDソフト(電子記録システム)を活用し、科学的介護推進体制加算IIの取得を簡略化させ、職員負担の軽減を図ることを目的とする。(当施設は従来型施設である為、各担当部署の入所者総人数が多く、提出漏れが懸念される為、最低提出頻度の半年に1度に入所者全員の科学的介護推進体制加算の提出を行っている)
【方法】
定期処方と臨時処方において、紙媒体であった施設処方せんを電子媒体に変更する事で、必要期間の服薬情報を一括でLIFEに取り込める形にし、紙媒体からの情報取得を頓用薬に限定した。
(1) 電子媒体に変更するにあたり、入力マニュアルを作成。3日に分け各担当職員へ理由と方法の講習会を行った。
(2) 紙媒体と電子媒体の併用期間を1ヶ月設ける。不明な点があれば都度、担当者が対応し、不安要素を取り除いていく。
(3) 紙媒体であった処方せんの記入をNDソフト(電子記録システム)にて電子媒体への入力に切り替える。
(4) 科学的介護推進体制加算提出時には、電子媒体から取り込みを行うだけで必要期間の服薬情報を一括で入力。その後、紙媒体から頓用薬のみ必要情報を入力する。
【結果】
令和4年1月~6月の提出状況にて、月平均入力者数42.3名であり、紙媒体時は1人あたり15分所要し、所要時間は月平均10時間35分必要であった。電子媒体後は1人あたり3分所要し、紙媒体時の入力人数と同様の人数から算出すると、所要時間は月平均2時間07分であり、改善時間は月平均8時間28分となった。そのことから職員の負担改善に繋がった。
【考察】
今研究で、ICTの活用により科学的介護推進体制加算II算定の効率化が図れ、入力時間の短縮が出来た事で、職員の負担軽減に繋がっていることが分かる。現在、介護業界では様々なICTが開発、導入しており、各々施設の環境に応じて柔軟に使いこなすことで、職員の負担軽減を図ると共に、加算の取得を容易なものと出来る。今後は一層ICTの活用に力をいれ、間接業務の短縮化を図り、直接業務への時間を増加させ、生産性の向上に努めると共に、様々な加算取得による施設全体の質の向上に努めていきたいと考える。