講演情報
[14-O-P102-07]5Sの要素を活用した情報整理掲示方法のルール化
*鑓水 裕貴1 (1. 福岡県 介護老人保健施設宗像アコール)
私が所属している一般棟では、いつもなんとなく「不便」と思っていた掲示板に限定して5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)に取り組み、「便利さ」を職員全体で体感し情報の共有・統一したケアにつなげ、今後も生産性の向上の一歩になる取り組みを報告する。
【はじめに】
宗像アコールは入所定員一般棟50名、認知症専門棟50名。在宅復帰率は昨年度平均46.5%であり、現在も超強化型を維持している。
私が所属している一般棟では情報収集手段としてミーティングとノート、介護ソフト「ほのぼの」以外で、ステーションに設置している掲示板に対応方法を貼り出す方法をとっているが、煩雑に掲示されているため使いづらく、整理整頓の必要性を感じていた。
私も情報を掲示した経験があるが、他スタッフに伝えたいことが正しく伝わらない、伝わっているかわからず、ケアが実施できているか不明という課題がある。
今回研修で学んだ5Sの要素を取り入れ、掲示物を整理整頓することで効率良く情報収集ができ、ケアの統一に繋げられるように取り組んだことを報告する。
【期間】
2024年2月1日~2024年6月30日
【意識調査(1)】
情報を整理整頓していくため、フロア職員(看護師6名介護職16名リハビリ3名)を対象とした意識調査を実施した。
まず「整理整頓は必要ですか?」という質問では「必要なこと」や「良い環境づくりに必要」という回答が93%を占めていた。
一方「整理整頓を継続するための課題は?」という質問に対して「業務優先」や「苦手」「続かない」といった回答が96%を占めていた。
意識調査を行ったことで、ほぼスタッフ全員が「整理整頓は必要である」という認識をもっているが、実際は取り組めておらず、掲示物の煩雑に繋がった結果、使いづらさを感じていたことがわかった。
【現状の把握】
次いで現状の把握を行うため各職員に聞き取りを行った結果
<1>委員会や利用者様の情報などの掲示物が多く重なっており確認しづらい。
<2>掲示場所が固定されておらず、書類が重なり合って掲示されるなど見た目も悪いことで、見落としが発生しやすい。
<3>スタッフが情報を共有出来ているかわからず、ケアが実践できていない。という課題が抽出できた。
【方法】
情報収集が出来る場所をステーションの掲示板に固定し、掲示物を周知しやすく、すぐに更新や整理整頓が出来るようにした。
掲示の方法を
<1>利用者様の情報と事務書類の掲示場所を区分けし、掲示場所も固定した。
<2>掲示物のルールを作成した。
(1)チェックシートを作成し情報を掲示した職員がそれを貼り付ける。
(2)掲示内容を確認した職員は、チェックシートの自身の名前を消す。
(3)書類には掲示期間を記入し、期間の過ぎた書類はファイリングする。
(4)ミーティングを活用してルールや情報の周知を行う。
(5)フロア業務の中に整理整頓を取り入れる。
<3>2種類のタグを作成し体調不良者と在宅復帰予定にブルータグ、事務所・委員会の情報にはオレンジタグを貼り付ける。
<4>上記実施後、5か月後に意識調査と聞き取りを実施した。
【意識調査(2)】
意識調査(1)と同じ内容で意識調査を実施した。
「整理整頓は必要ですか?」という質問では、「必要なこと」などの意見が93%から96%に上がり、「めんどくさい」などの否定的な意見は7%から4%に減少した。
次の「整理整頓を継続するための課題は?」という質問では「業務優先」「苦手」項目に減少がみられたが、「やらされ感」が7%から11%に上昇した。
以上の結果、スタッフに対して整理整頓の必要性を広めることが出来たが、実際の取り組みではフロア業務として整理整頓を行っており、スタッフの積極的な取り組みに繋げることは出来なかった。
【結果】
聞き取り調査では、書類を掲示する位置を固定・区分化した結果「仕切りが出来たことですっきりして見やすくなった」「項目ごとでわかれているので貼りやすくなった」「チェックやタグがあることでもっとわかりやすくなった」「掲示物が溜まらなくなり、掲示板が見やすくなった」という意見があった。
掲示板も継続して整えられており、整理整頓の習慣化、タグの活用、ルールを守った掲示物が増えているなど書類の整理整頓も出来ていた。
掲示板確認後チェックシートの名前を消す速度も早くなり、掲示した職員も周知できているか確認しやすくなった。
【掲示板活用例】
掲示板の活用例として、不穏やヒヤリハットが続いていたA氏に対してケアの統一を図るため、申し送りに参加できなくても確認できるよう対応方法を掲示しフロア全体で取り組んだ。
取り組み前は帰宅願望や混乱される様子があり、夜間帯もせん妄がみられ離設しそうになるなど落ち着いて過ごすことが出来なかった。
取り組み後は徐々に落ち着かれる様子がみられ、せん妄や離設リスク消失していくなど穏やかに過ごしていただけるようになった。
掲示板を整理整頓し、ルールに則った掲示を行ったことで情報収集が効率的になり、短期間でケアの統一に繋げられることが出来た。
【まとめ】
今回の取り組みでは掲示板の中で5S効果に取り組んだことで、情報収集や共有などの効率化、そしてケアの統一に対して効果を得ることが出来た。これらを定着・継続していくためには整理整頓で得た「便利さ」を体感することが重要で、徐々に「便利」な実感を部署全体、施設全体に増やし、生産性の向上に取り組んでいきたい。
宗像アコールは入所定員一般棟50名、認知症専門棟50名。在宅復帰率は昨年度平均46.5%であり、現在も超強化型を維持している。
私が所属している一般棟では情報収集手段としてミーティングとノート、介護ソフト「ほのぼの」以外で、ステーションに設置している掲示板に対応方法を貼り出す方法をとっているが、煩雑に掲示されているため使いづらく、整理整頓の必要性を感じていた。
私も情報を掲示した経験があるが、他スタッフに伝えたいことが正しく伝わらない、伝わっているかわからず、ケアが実施できているか不明という課題がある。
今回研修で学んだ5Sの要素を取り入れ、掲示物を整理整頓することで効率良く情報収集ができ、ケアの統一に繋げられるように取り組んだことを報告する。
【期間】
2024年2月1日~2024年6月30日
【意識調査(1)】
情報を整理整頓していくため、フロア職員(看護師6名介護職16名リハビリ3名)を対象とした意識調査を実施した。
まず「整理整頓は必要ですか?」という質問では「必要なこと」や「良い環境づくりに必要」という回答が93%を占めていた。
一方「整理整頓を継続するための課題は?」という質問に対して「業務優先」や「苦手」「続かない」といった回答が96%を占めていた。
意識調査を行ったことで、ほぼスタッフ全員が「整理整頓は必要である」という認識をもっているが、実際は取り組めておらず、掲示物の煩雑に繋がった結果、使いづらさを感じていたことがわかった。
【現状の把握】
次いで現状の把握を行うため各職員に聞き取りを行った結果
<1>委員会や利用者様の情報などの掲示物が多く重なっており確認しづらい。
<2>掲示場所が固定されておらず、書類が重なり合って掲示されるなど見た目も悪いことで、見落としが発生しやすい。
<3>スタッフが情報を共有出来ているかわからず、ケアが実践できていない。という課題が抽出できた。
【方法】
情報収集が出来る場所をステーションの掲示板に固定し、掲示物を周知しやすく、すぐに更新や整理整頓が出来るようにした。
掲示の方法を
<1>利用者様の情報と事務書類の掲示場所を区分けし、掲示場所も固定した。
<2>掲示物のルールを作成した。
(1)チェックシートを作成し情報を掲示した職員がそれを貼り付ける。
(2)掲示内容を確認した職員は、チェックシートの自身の名前を消す。
(3)書類には掲示期間を記入し、期間の過ぎた書類はファイリングする。
(4)ミーティングを活用してルールや情報の周知を行う。
(5)フロア業務の中に整理整頓を取り入れる。
<3>2種類のタグを作成し体調不良者と在宅復帰予定にブルータグ、事務所・委員会の情報にはオレンジタグを貼り付ける。
<4>上記実施後、5か月後に意識調査と聞き取りを実施した。
【意識調査(2)】
意識調査(1)と同じ内容で意識調査を実施した。
「整理整頓は必要ですか?」という質問では、「必要なこと」などの意見が93%から96%に上がり、「めんどくさい」などの否定的な意見は7%から4%に減少した。
次の「整理整頓を継続するための課題は?」という質問では「業務優先」「苦手」項目に減少がみられたが、「やらされ感」が7%から11%に上昇した。
以上の結果、スタッフに対して整理整頓の必要性を広めることが出来たが、実際の取り組みではフロア業務として整理整頓を行っており、スタッフの積極的な取り組みに繋げることは出来なかった。
【結果】
聞き取り調査では、書類を掲示する位置を固定・区分化した結果「仕切りが出来たことですっきりして見やすくなった」「項目ごとでわかれているので貼りやすくなった」「チェックやタグがあることでもっとわかりやすくなった」「掲示物が溜まらなくなり、掲示板が見やすくなった」という意見があった。
掲示板も継続して整えられており、整理整頓の習慣化、タグの活用、ルールを守った掲示物が増えているなど書類の整理整頓も出来ていた。
掲示板確認後チェックシートの名前を消す速度も早くなり、掲示した職員も周知できているか確認しやすくなった。
【掲示板活用例】
掲示板の活用例として、不穏やヒヤリハットが続いていたA氏に対してケアの統一を図るため、申し送りに参加できなくても確認できるよう対応方法を掲示しフロア全体で取り組んだ。
取り組み前は帰宅願望や混乱される様子があり、夜間帯もせん妄がみられ離設しそうになるなど落ち着いて過ごすことが出来なかった。
取り組み後は徐々に落ち着かれる様子がみられ、せん妄や離設リスク消失していくなど穏やかに過ごしていただけるようになった。
掲示板を整理整頓し、ルールに則った掲示を行ったことで情報収集が効率的になり、短期間でケアの統一に繋げられることが出来た。
【まとめ】
今回の取り組みでは掲示板の中で5S効果に取り組んだことで、情報収集や共有などの効率化、そしてケアの統一に対して効果を得ることが出来た。これらを定着・継続していくためには整理整頓で得た「便利さ」を体感することが重要で、徐々に「便利」な実感を部署全体、施設全体に増やし、生産性の向上に取り組んでいきたい。