講演情報
[14-O-P103-01]残業するのが当たり前?~限られた資源の中でどう工夫するか~
*前田 和美1、堀田 理恵1 (1. 富山県 上市老人保健施設つるぎの庭)
マンパワー不足により、職員は肉体的、精神的負担が大きかった。この問題を解決する為、業務内容の改善に取り組んだ結果を報告する。利用者の入浴に着目し、ADLに合わせた入浴日設定に変更した結果、午後の入浴日を2日間減らすことが出来た。職員の負担が減る事により、利用者にとっても落ち着ける環境となり期待以上の成果があった。
【施設概要】
入所定員130床(うち認知症専門50床) 通所定員60名
職員約100名 (うち認知症専門棟職員22名、アシスタント2名)
【はじめに】
職員の退職、休職、病欠等のマンパワー不足により、朝食介助、口腔ケア、排泄介助と朝の日課が終了せず、入浴開始時間が遅れてしまう。その為、午後からの日課にも遅れが生じ、レクリエーション活動ができない、利用者と関わる時間が持てない、記録の時間がない、残業が多くなる等、職員は肉体的にも精神的にも負担が大きくなっていた。この問題を解決する為、特に入浴日の午後に人員不足となっていることに着目し、業務内容の見直しと改善に取り組んだ。
【方法】
見直し前は
・入浴は、月木(AM・PM)25名。火金(AM・PM)25名。
・AMは家庭浴槽。洗身介助に職員1名、着脱介助に職員2名。
・PMは、棟外のチェアー浴。洗身介助に職員1名、着脱介助に職員2名。
・AMは利用者19名程、PMは利用者6名程が入浴。
PMの入浴は棟外に移動する為、開始時間に遅れることが出来ず、昼食介助、口腔ケア、トイレ誘導が終わっていなくても3名の介護職員が入浴介助に入り、残った少ない職員で日課と見守りを行っていた。見守りを行う職員も、転倒リスクの高い利用者や不穏者等の対応に疲弊していた。そこで、PMからの入浴を週2回の火金のみに出来ないか検討した。まず、利用者のADLを見直した。結果、臥床浴・チェアー浴が全体で8~10名であった。入浴日は今まで居室ごとの曜日設定であったが、利用者のADLに合わせた曜日設定に変更し、月木は家庭浴のみ、火金はAM家庭浴と臥床浴・チェアー浴とし、人数調整を行った。また、月木は前半に男性利用者と浴槽への出入りに介助を要する利用者を、後半は女性利用者とし、なるべく同性介助できるようにも調整した。
次にアシスタント業務を見直し、入浴準備(タオル・衣類準備)を、業務に組み込んだ。
【結果】
月木のPM入浴がなくなったことで職員数が確保され、以前のような慌ただしさは無くなった。火金もPM入浴はあるが、職員数は確保された。レクリエーションの時間が持て、それ以外の余暇時間がとれるようになったことで利用者と関わる時間が増えた。今まで時間がなくてできなかった爪切り等の清潔保持にも時間を費やすことができた。
以前はケアプラン実行や記録等で残業をする職員が多かったが、残業する職員が殆どいなくなった。さらに、カンファレンス前の書類作成や各委員会の仕事ができるように職員に対し、月に1回フリーの日を設けることができるようになった。
【考察・まとめ】
業務改善を行ったことによって、入浴日の業務がスムーズになった。それだけではなく、利用者と関わる時間が増え、認知専門棟の特徴でもある夕暮れ症候群のような落ち着かない利用者への対応を、ストレスを感じずに職員同士交替しながら行えるようになった。
入浴日の業務改善を目的に始めたことではあったが、職員の負担が軽減し精神的にも期待以上の余裕ができた。
働く環境を良くするには、今まで当たり前にしてきたことを、こうあるべきと決めつけて考えるのではなく、限られた資源の中でどう工夫するかであり、その時その時で改善していくことが大切だと感じた。自分達の心の余裕は、利用者の不穏の軽減に繋がり、落ち着く環境となる。これからも、自分達で工夫しながらより良い環境づくりをしていきたい。
入所定員130床(うち認知症専門50床) 通所定員60名
職員約100名 (うち認知症専門棟職員22名、アシスタント2名)
【はじめに】
職員の退職、休職、病欠等のマンパワー不足により、朝食介助、口腔ケア、排泄介助と朝の日課が終了せず、入浴開始時間が遅れてしまう。その為、午後からの日課にも遅れが生じ、レクリエーション活動ができない、利用者と関わる時間が持てない、記録の時間がない、残業が多くなる等、職員は肉体的にも精神的にも負担が大きくなっていた。この問題を解決する為、特に入浴日の午後に人員不足となっていることに着目し、業務内容の見直しと改善に取り組んだ。
【方法】
見直し前は
・入浴は、月木(AM・PM)25名。火金(AM・PM)25名。
・AMは家庭浴槽。洗身介助に職員1名、着脱介助に職員2名。
・PMは、棟外のチェアー浴。洗身介助に職員1名、着脱介助に職員2名。
・AMは利用者19名程、PMは利用者6名程が入浴。
PMの入浴は棟外に移動する為、開始時間に遅れることが出来ず、昼食介助、口腔ケア、トイレ誘導が終わっていなくても3名の介護職員が入浴介助に入り、残った少ない職員で日課と見守りを行っていた。見守りを行う職員も、転倒リスクの高い利用者や不穏者等の対応に疲弊していた。そこで、PMからの入浴を週2回の火金のみに出来ないか検討した。まず、利用者のADLを見直した。結果、臥床浴・チェアー浴が全体で8~10名であった。入浴日は今まで居室ごとの曜日設定であったが、利用者のADLに合わせた曜日設定に変更し、月木は家庭浴のみ、火金はAM家庭浴と臥床浴・チェアー浴とし、人数調整を行った。また、月木は前半に男性利用者と浴槽への出入りに介助を要する利用者を、後半は女性利用者とし、なるべく同性介助できるようにも調整した。
次にアシスタント業務を見直し、入浴準備(タオル・衣類準備)を、業務に組み込んだ。
【結果】
月木のPM入浴がなくなったことで職員数が確保され、以前のような慌ただしさは無くなった。火金もPM入浴はあるが、職員数は確保された。レクリエーションの時間が持て、それ以外の余暇時間がとれるようになったことで利用者と関わる時間が増えた。今まで時間がなくてできなかった爪切り等の清潔保持にも時間を費やすことができた。
以前はケアプラン実行や記録等で残業をする職員が多かったが、残業する職員が殆どいなくなった。さらに、カンファレンス前の書類作成や各委員会の仕事ができるように職員に対し、月に1回フリーの日を設けることができるようになった。
【考察・まとめ】
業務改善を行ったことによって、入浴日の業務がスムーズになった。それだけではなく、利用者と関わる時間が増え、認知専門棟の特徴でもある夕暮れ症候群のような落ち着かない利用者への対応を、ストレスを感じずに職員同士交替しながら行えるようになった。
入浴日の業務改善を目的に始めたことではあったが、職員の負担が軽減し精神的にも期待以上の余裕ができた。
働く環境を良くするには、今まで当たり前にしてきたことを、こうあるべきと決めつけて考えるのではなく、限られた資源の中でどう工夫するかであり、その時その時で改善していくことが大切だと感じた。自分達の心の余裕は、利用者の不穏の軽減に繋がり、落ち着く環境となる。これからも、自分達で工夫しながらより良い環境づくりをしていきたい。