講演情報

[14-O-P103-06]当施設での経口維持加算算定の取り組み

*佐藤 敦子1 (1. 岐阜県 介護老人保健施設ハートケア松岡)
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多職種連携を行い、経口維持加算算定を円滑に行うことを目的にテンプレートの作成、導入を行い多職種連携会議の効率化と情報共有の円滑化が示唆されたため報告する。利用者様の基本情報や食事に関する情報を集約し、テンプレートを作成した。その結果、多職種連携会議の所要時間が半減。現在まで継続した情報収集を行うことができ、多職種連携の促進に繋がったと考えられた。
【はじめに】
当施設では令和2年より経口維持加算を算定しこれまでに至る。継続的に対象となる利用者様のリスク管理、嚥下機能障害の経過のモニタリングを行うため多職種連携を積極的に行っている。今回は当施設での経口維持加算に対しての継続的な取り組みについて報告する。
【経口維持加算算定の経緯】
当施設ではSTが在籍、また協力提携している歯科医院もあることから経口維持加算の算定基準を満たしていた。摂食嚥下障害及び食指不振や栄養状態の悪化などを抱える利用者様を対象に長期的に経過観察、積極的な状態改善を目指し、歯科医師の提案のもと経口維持加算を当施設で算定することとなった。
【当施設での経口維持加算への取り組み】
経口維持加算の算定の為には医師や歯科医師、管理栄養士、看護師、ケアマネ等が共同して情報共有を行うことが求められる。そのため当施設では1月に1度必ず多職種連携会議を実施している。また総合的多面的に限られた人員や時間内で情報共有が可能となるように、利用者様の栄養状態や食事の状況報告を管理栄養士、STから、口腔ケアや利用者様の口腔内の状況、咀嚼の様子などを歯科衛生士、介護士、STからそれぞれ情報提供を行い、各職種での情報共有はもちろん経口維持加算対象者以外にも注意が必要な利用者様の抽出に一役買っている。報告者は発足時からのメンバーだが、当初はその場で口頭で多職種が対象者に対しての申し送りを行い、提起された問題に対してチームで対策を検討するという流れで行われていた。しかしこれは非常に時間がかかり、慢性的な人手不足を抱える現場では好ましくなく、会議を円滑に行うことの課題となってきた。当施設ではIT活用が難しい職員が多く、ITを導入することは現実的ではない状態であり、紙ベースで情報共有の円滑化を行う為、情報を簡素にまとめることができるテンプレートの作成を試みた。PCで開発し実際の会議に用いた所、当初よりも半分程の時間で情報共有と対策を行うことができるようになった。またこのテンプレートを用いることで利用者様の基本的な情報がデータ化、一覧化できるようになり、会議当日ではなく事前に多職種への情報収集が容易となった。現在もこのテンプレートを活用し多職種でのチーム連携と対象となっている利用者様一人一人に合った対策を継続して行っている。
【結果】
経口維持加算算定当初は多職種での情報共有に時間を要していたがテンプレートの開発により、会議時間の短縮と円滑な情報共有を図れるようになった。会議前だけでなく、当日会議に出席できなかった職種に対しても現場にテンプレートを印刷して設置することで施設のケアマネ等と連携が図れ、多職種での情報共有の円滑化を強固にすることができた。またチームでの関わりや見守りにより食事摂取量や栄養状態の改善に伴うADLの改善や食事形態のUPに繋がった事例も多く見られた。
【まとめ】
当施設では経口維持加算を算定するにあたり当初は各職種ごとに戸惑いはあったが、回数を重ねるごとに問題点の発見ができるようになり、試行錯誤から現法へとシフトしていった。利用者様の状態改善、チームでの継続的なモニタリングを行うことができた。今後も法改正や御家族や利用者様の希望、ITやAIの導入など様々な変化や多様性が求められることになると想定されるが、今回の取り組みのようにチームで試行錯誤しより良い取り組みを行っていけるよう努力していきたい。