講演情報
[14-O-A001-01]在宅生活維持に向けた介護士が行うフロアリハビリ
*浅野 友美1、西口 俊子1、栗山 翼1、東 憲太郎1 (1. 三重県 医療法人 緑の風 介護老人保健施設いこいの森)
当通所リハビリテーションでは、在宅生活を維持する為、セラピストによるリハビリテーションに加え、利用者の課題に沿った活動量の向上を目的として、介護士が行うフロアリハビリを提供している。利用者のニーズに合わせ、多職種が連携を取り介護士がフロアリハビリを行った結果、ADL、IADL、QOLの向上が見られた。今回症例を通して報告する。
【はじめに】
通所リハビリテーション(以下 通所リハビリ)では、在宅生活を維持する為、身体機能の維持以外にも、家庭環境や家族構成等で異なる課題に対応する必要がある。当施設ではリハビリスタッフによる個別リハビリ以外に、介護士がリハビリスタッフから指導を受け、多職種と連携を取り、フロアリハビリを行っている。運動への意欲向上、QOLの向上、家族の介護負担軽減を目的としたのである。通所リハビリの利用者のうち、セラピストによるリハビリだけでは十分な活動量が得られないと思われ、かつ身体機能やADLの改善の見込みがある方が対象である。利用者の生活機能を適切に評価し、家庭環境や家族の介護力を考慮し、多職種と連携を取った上でフロアリハビリの内容を検討している。全ての介護士が適切にフロアリハビリを実施できるよう、情報を共有し安全な環境で提供している。フロアリハビリを実施している時間は随時モニタリングを行い、必要に応じて内容の変更か自主訓練へ移行していく。又、目標を達成した場合はフロアリハビリの終了となる。
【症例1】
70代女性、脳梗塞、白内障、右上下肢麻痺、プラスチック短下肢装具使用、週3回利用。
フロアでのADLは車椅子。個別リハビリでは、可動域訓練、麻痺側の機能訓練、歩行訓練等を行っている。4点杖歩行は可能であるが、不安定で恐怖心もある。普段の関わりの中から、自宅内の安定した4点杖歩行、見守り程度での勝手口階段を使用した昇降動作を行いたいというニーズが聞かれた。歩行の機会をより多く確保する為に、個別リハビリに加え、フロアリハビリの開始となった。
フロアリハビリでは利用日に、介護士と30mの4点杖歩行を約7分間実施した。フロアリハビリ開始から4か月後には、患側下肢の引っ掛かりも無くなり、歩行が安定した。歩行が安定した事で、恐怖心も消失した為、自主訓練に移行となった。自主訓練の獲得に伴い活動量も向上した。在宅においても、見守りで勝手口階段の昇降が行えるようになった。立位の安定性も向上した事で、洗い物や簡単な料理もできるようになった。
【症例2】
90代女性、第7胸椎椎体骨折、硬性コルセット着用、前屈困難、歩行器歩行、週2回利用。骨折後の耐久性の低下が見られ、杖歩行は可能であったが、施設内では歩行器歩行を行っていた。自宅内では伝い歩きをしていた。
個別リハビリでは、下肢、体幹の筋力訓練、バランス訓練、屋内外の歩行訓練を行っていた。
普段の関わりの中から、自宅内を杖で歩きたい、以前行っていた老人会に参加したいとのニーズが聞かれた。個別リハビリに加え、骨折後の筋力の向上を図る為、フロアリハビリの開始となった。
フロアリハビリでは耐久性の向上を目的として、歩行器歩行による5分間の連続歩行を介護士の付き添いで行った。
フロアリハビリを継続していく事で、徐々に下肢筋力が向上し、フロアリハビリ開始から6か月後には終日杖歩行となり、フロアリハビリを終了した。在宅でも終日歩行となり、近所に散歩に行くなど、活動量が更に向上し、希望していた老人会にも参加することが出来た。フロアリハビリ開始から10か月後には要介護1から要支援となり、通所リハビリの利用終了となった。
【結果】
課題達成の為に多職種と連携し、適切な評価とフロアリハビリの実施を繰り返す事で、目標達成が得られた。個別リハビリにフロアリハビリが加わる事で、利用者の活動量の向上が見られ、ADL、IADLの課題を達成することが出来た。
【考察】
フロアリハビリを行った後、利用者の「出来た!」と喜びの声を聞くことができ、自信もつく事で、QOLや意欲向上が得られたと考えられる。
各職種で得た情報を共有する事で、より利用者のニーズに合ったサービスを提供できると考える。今後は利用者とかかわる時間の拡大を課題とし、オーダーメイドのケアを目指していきたい。
通所リハビリテーション(以下 通所リハビリ)では、在宅生活を維持する為、身体機能の維持以外にも、家庭環境や家族構成等で異なる課題に対応する必要がある。当施設ではリハビリスタッフによる個別リハビリ以外に、介護士がリハビリスタッフから指導を受け、多職種と連携を取り、フロアリハビリを行っている。運動への意欲向上、QOLの向上、家族の介護負担軽減を目的としたのである。通所リハビリの利用者のうち、セラピストによるリハビリだけでは十分な活動量が得られないと思われ、かつ身体機能やADLの改善の見込みがある方が対象である。利用者の生活機能を適切に評価し、家庭環境や家族の介護力を考慮し、多職種と連携を取った上でフロアリハビリの内容を検討している。全ての介護士が適切にフロアリハビリを実施できるよう、情報を共有し安全な環境で提供している。フロアリハビリを実施している時間は随時モニタリングを行い、必要に応じて内容の変更か自主訓練へ移行していく。又、目標を達成した場合はフロアリハビリの終了となる。
【症例1】
70代女性、脳梗塞、白内障、右上下肢麻痺、プラスチック短下肢装具使用、週3回利用。
フロアでのADLは車椅子。個別リハビリでは、可動域訓練、麻痺側の機能訓練、歩行訓練等を行っている。4点杖歩行は可能であるが、不安定で恐怖心もある。普段の関わりの中から、自宅内の安定した4点杖歩行、見守り程度での勝手口階段を使用した昇降動作を行いたいというニーズが聞かれた。歩行の機会をより多く確保する為に、個別リハビリに加え、フロアリハビリの開始となった。
フロアリハビリでは利用日に、介護士と30mの4点杖歩行を約7分間実施した。フロアリハビリ開始から4か月後には、患側下肢の引っ掛かりも無くなり、歩行が安定した。歩行が安定した事で、恐怖心も消失した為、自主訓練に移行となった。自主訓練の獲得に伴い活動量も向上した。在宅においても、見守りで勝手口階段の昇降が行えるようになった。立位の安定性も向上した事で、洗い物や簡単な料理もできるようになった。
【症例2】
90代女性、第7胸椎椎体骨折、硬性コルセット着用、前屈困難、歩行器歩行、週2回利用。骨折後の耐久性の低下が見られ、杖歩行は可能であったが、施設内では歩行器歩行を行っていた。自宅内では伝い歩きをしていた。
個別リハビリでは、下肢、体幹の筋力訓練、バランス訓練、屋内外の歩行訓練を行っていた。
普段の関わりの中から、自宅内を杖で歩きたい、以前行っていた老人会に参加したいとのニーズが聞かれた。個別リハビリに加え、骨折後の筋力の向上を図る為、フロアリハビリの開始となった。
フロアリハビリでは耐久性の向上を目的として、歩行器歩行による5分間の連続歩行を介護士の付き添いで行った。
フロアリハビリを継続していく事で、徐々に下肢筋力が向上し、フロアリハビリ開始から6か月後には終日杖歩行となり、フロアリハビリを終了した。在宅でも終日歩行となり、近所に散歩に行くなど、活動量が更に向上し、希望していた老人会にも参加することが出来た。フロアリハビリ開始から10か月後には要介護1から要支援となり、通所リハビリの利用終了となった。
【結果】
課題達成の為に多職種と連携し、適切な評価とフロアリハビリの実施を繰り返す事で、目標達成が得られた。個別リハビリにフロアリハビリが加わる事で、利用者の活動量の向上が見られ、ADL、IADLの課題を達成することが出来た。
【考察】
フロアリハビリを行った後、利用者の「出来た!」と喜びの声を聞くことができ、自信もつく事で、QOLや意欲向上が得られたと考えられる。
各職種で得た情報を共有する事で、より利用者のニーズに合ったサービスを提供できると考える。今後は利用者とかかわる時間の拡大を課題とし、オーダーメイドのケアを目指していきたい。