講演情報
[14-O-A001-02]全世代から選ばれる通所リハビリテーションを目指して増えゆく前期高齢者に向けての取り組み
*吉田 直樹1 (1. 北海道 介護老人保健施設友愛ナーシングホーム)
前期高齢にあたる利用者が増えてきているが、後期高齢にあたる利用者と馴染めずに利用満足度が低い方にアプローチをかけた取組みを報告する。アンケートや聞き取り調査を行ったうえで、抽出された課題に対してアプローチをかけた。その結果、活動意欲や満足度の向上に繋がった。前期高齢にあたる利用者は若いからこそ人に頼られる事で、自分の存在価値を改めて感じる事ができ、QOLや意欲向上に繋がっていくと考えられた。
【はじめに】
前期高齢にあたる利用者が増えている。利用時の様子を観察すると後期高齢にあたる利用者の輪に馴染めず、孤立されている方も見受けられた。今後も増加が予測される中で、今現在利用されている前期高齢にあたる利用者の満足度を高めること、また、今後利用される利用者も気兼ねなく利用できるような体制作りを行えるのではないかと考えた取組みを報告する。
【実施方法】
74歳までの前期高齢者の方々を対象として、現在の満足度や想いを汲み取れる様にアンケートを作成、日常的なコミュニケーションを通しての聞き取り調査。抽出された課題に対してアプローチをかけていく。
【事例紹介】
A様72歳、介護度は要支援1。外部との交流は好まず、介護認定を受ける前は日常的にバスを利用して温泉や買い物に出かけていたが、入院により下肢筋力低下がみられ外出の頻度が減り通所リハビリテーションを利用。利用時の様子は他利用者との交流は無くプリント問題に黙々と取組まれており、一人で過ごされている事がほとんど。
【実施・結果】
アンケート、日常的なコミュニケーションを通しての聞き取り調査の結果、「他者とのコミュニケーションを増やしたい」、「活動で行事に合わせて何か作ってみたい」との話があった。アプローチ方法としてコミュニケーションと作品作りが得意な後期高齢にあたる利用者B様を意図的に同じ座席に配置。活動時間には折り紙でのコスモス作りを提供。初めはお断りされるもB様のコスモス作りに興味を示され、折り方をすぐに習得される。その様子を見て他利用者から「若いからすぐに折り方を覚えられるんだね」、「指先が器用で簡単に折っていて凄い」と称賛されると共に、「もう一回折り方を教えて」と頼られている様子も伺えており、A様からは満足そうな様子が見られた。そんな中、A様自ら「昔はよく自転車で買い物に行っていたからもう一度自転車に乗りたい」と話があった為、療法士と連携。自主訓練運動としてエルゴメーターによるトレーニング提供を行う。実際に自転車に乗るという所までは実現しなかったが、トレーニングに対しても意欲的な様子が見られた。途中で1ヵ月程入院され、退院後は意欲低下が見られ他利用者との交流が再び無くなってしまったが、再度アプローチをかける事で活動とトレーニングが再開された。再開後はご本人からエルゴメーターの時間を延ばしたいとの希望があり、更なる意欲の向上が見受けられた。
【まとめ・考察】
今回アプローチを行ったことで他利用者から頼られる事や感心された事、コミュニケーションが取れた事への喜び、また、活動への意欲向上が見られるようになった。今回の事例のように、若いからこそ人に頼られることで、自分の存在価値を改めて感じる事ができ、心が豊かになりQOLの向上や意欲向上に繋がっていくのではないかと学ぶことが出来た。現在の日本では徐々に平均寿命が延びてきており、「人生100年時代」に近づきつつあるその中で若いご利用者は現在の機能を維持し長く在宅生活を続け、これから先長く生きていく上でどのように楽しんで暮らしていけるかが重要になってくると思われる。私たち介護職員はご利用者が出来ない部分をサポートしながらその楽しむ要素を引き出していく事、また存在価値を高められる様な支援をしていく必要性を認識することができた。今後も継続して、若いご利用者がQOLや意欲向上に繋がっていける様な環境や支援を提供していけたらと考える。
前期高齢にあたる利用者が増えている。利用時の様子を観察すると後期高齢にあたる利用者の輪に馴染めず、孤立されている方も見受けられた。今後も増加が予測される中で、今現在利用されている前期高齢にあたる利用者の満足度を高めること、また、今後利用される利用者も気兼ねなく利用できるような体制作りを行えるのではないかと考えた取組みを報告する。
【実施方法】
74歳までの前期高齢者の方々を対象として、現在の満足度や想いを汲み取れる様にアンケートを作成、日常的なコミュニケーションを通しての聞き取り調査。抽出された課題に対してアプローチをかけていく。
【事例紹介】
A様72歳、介護度は要支援1。外部との交流は好まず、介護認定を受ける前は日常的にバスを利用して温泉や買い物に出かけていたが、入院により下肢筋力低下がみられ外出の頻度が減り通所リハビリテーションを利用。利用時の様子は他利用者との交流は無くプリント問題に黙々と取組まれており、一人で過ごされている事がほとんど。
【実施・結果】
アンケート、日常的なコミュニケーションを通しての聞き取り調査の結果、「他者とのコミュニケーションを増やしたい」、「活動で行事に合わせて何か作ってみたい」との話があった。アプローチ方法としてコミュニケーションと作品作りが得意な後期高齢にあたる利用者B様を意図的に同じ座席に配置。活動時間には折り紙でのコスモス作りを提供。初めはお断りされるもB様のコスモス作りに興味を示され、折り方をすぐに習得される。その様子を見て他利用者から「若いからすぐに折り方を覚えられるんだね」、「指先が器用で簡単に折っていて凄い」と称賛されると共に、「もう一回折り方を教えて」と頼られている様子も伺えており、A様からは満足そうな様子が見られた。そんな中、A様自ら「昔はよく自転車で買い物に行っていたからもう一度自転車に乗りたい」と話があった為、療法士と連携。自主訓練運動としてエルゴメーターによるトレーニング提供を行う。実際に自転車に乗るという所までは実現しなかったが、トレーニングに対しても意欲的な様子が見られた。途中で1ヵ月程入院され、退院後は意欲低下が見られ他利用者との交流が再び無くなってしまったが、再度アプローチをかける事で活動とトレーニングが再開された。再開後はご本人からエルゴメーターの時間を延ばしたいとの希望があり、更なる意欲の向上が見受けられた。
【まとめ・考察】
今回アプローチを行ったことで他利用者から頼られる事や感心された事、コミュニケーションが取れた事への喜び、また、活動への意欲向上が見られるようになった。今回の事例のように、若いからこそ人に頼られることで、自分の存在価値を改めて感じる事ができ、心が豊かになりQOLの向上や意欲向上に繋がっていくのではないかと学ぶことが出来た。現在の日本では徐々に平均寿命が延びてきており、「人生100年時代」に近づきつつあるその中で若いご利用者は現在の機能を維持し長く在宅生活を続け、これから先長く生きていく上でどのように楽しんで暮らしていけるかが重要になってくると思われる。私たち介護職員はご利用者が出来ない部分をサポートしながらその楽しむ要素を引き出していく事、また存在価値を高められる様な支援をしていく必要性を認識することができた。今後も継続して、若いご利用者がQOLや意欲向上に繋がっていける様な環境や支援を提供していけたらと考える。