講演情報
[14-O-A002-01]リハ特化型の通所リハ移行への取り組み地域のリハ拠点を目指して
*村上 新之助1 (1. 大阪府 介護老人保健施設 永寿ケアセンター)
通所リハビリテーションは、専門的なリハビリテーションの提供を行なうことが特徴である。しかしながら当施設の実情として入浴が主な利用目的となっているケースが多くあった。本来の役割を果たし地域のリハビリテーションの拠点となるべく、リハビリテーション特化型の通所リハビリテーションへの移行の取り組みを行なったので報告する。
【はじめに】
通所リハビリテーションの役割の最も大きな特徴は、医師の指示のもとリハ専門職による理学療法・作業療法・言語療法に取り組み身体機能の維持や回復を図っていくことにある。しかしながら、居宅支援事業所からの依頼は入浴が出来て、リハビリもしたいというものが非常に多く、当施設においても入浴が主目的となっている利用者が多数となっている状況である。本来の役割であるリハビリテーションに重点を置いたサービスを地域に対して提供していくことが社会資源として重要であると考え、令和5年5月より当施設の通所リハビリテーションをリハ特化型に移行していくための取り組みを行なったので報告する。
【取り組み前の状況】
取り組み前の状況として5~6時間利用で入浴サービスを行なっている利用者の割合は全体の79.3%だった。多くの介護士が入浴介助に携わることでデイルームが手薄になるため、介護士により提供できるリハビリテーションは集団体操が中心となっていた。そのため、リハビリテーションに取り組みたいという利用者の要望に十分に応えることが難しい状況だった。
【リハ特化型への移行】
リハ特化型としてのイメージとしては5~6時間(入浴あり・昼食あり)利用の割合を徐々に減らしていきながら2~3時間(入浴なし・昼食なし)・3~4時間(入浴なし・昼食あり)の短時間の割合を増やしていくというものである。また、短時間利用については午前・午後の2部制とすることでリハビリテーションに取り組みやすい環境を提供することを目指した。
入浴については、大浴場やチェア浴といった自宅での入浴を目指すものではない環境であった。そのため、湯船に浸かるという入浴から清潔保持を行なうことを目的とするためシャワーオールという機器を導入した。また、週3回までの入浴機会の提供から2回へと変更した。このことにより、入浴にかかる人手と時間を最小限とすることを目指した。この取り組みにより役割分担としてトレーニング担当の介護士を配置できるようになった。例外として、自宅での入浴を目的とした訓練を希望される場合には入浴介助加算iiを算定し、個浴での入浴訓練を実施した。
リハビリテーションについては、理学療法士の個別訓練に加えて介護士による個別のトレーニングプログラムを実施することで、リハビリテーション目的での利用者の希望に応えると共に生活課題の改善に取り組むという明確な施設の目的を地域に発信した。介護士によるトレーニングプログラムの内容としては、屋外歩行訓練及び屋内歩行訓練・パワリハ機器(全4種)を用いた筋力トレーニング・自転車エルゴメーターを用いた持久力訓練・階段昇降訓練・ストレッチ体操・認知機能訓練などがある。また、装着型サイボーグHAL腰タイプ・単関節タイプを用いたトレーニングも提供している。
【リハ特化型への移行の取り組み結果】
取り組み開始後は、入浴形態の変更や回数の減少により、入浴が主目的であった利用者約20名が他の通所介護などへ移られることとなった。しかしながら、居宅介護支援事業所へリハ特化型への移行を伝える営業活動に注力することで、少しずつではあるが短時間でのリハビリテーション目的の利用者が増える状況がみられた。令和5年5月に79.3%であった入浴サービス有りの割合が、令和6年2月には58.2%となった。サービス状況の変化も非常に大きく、以前は入浴までの待ち時間に特に何もすることがないという状況もあったが、現在ではトレーニング担当の介護士を配置することでトレーニングを行なったり、認知機能訓練を行なったりとお一人お一人が何かしらに取り組むことでデイルーム全体として活気が出てきたと感じられた。また、以前と比べて歩行訓練に取り組む場面やトイレへの移動を手押し車歩行や歩行器歩行等で行なう場面も格段に多くなった。その他の効果として、居宅サービス計画における課題に対してのトレーニングプログラムを理学療法士と介護士が共同で考えることにより、介護場面での課題共有や身体機能・動作能力及びその変化についての情報共有を頻繁に行なうようになったということでの連係強化に繋がったと考える。
【おわりに】
現段階としてまだまだ移行期であり、目標とする短時間での午前・午後の2部制には至っていない状況であるため、これからも通所リハビリテーションとしての役割を果たすと共に老健入所・短期入所療養介護・訪問リハビリテーションも含めて地域にとってのリハビリテーションの拠点となることを目標として取り組みを続けていきたい。
通所リハビリテーションの役割の最も大きな特徴は、医師の指示のもとリハ専門職による理学療法・作業療法・言語療法に取り組み身体機能の維持や回復を図っていくことにある。しかしながら、居宅支援事業所からの依頼は入浴が出来て、リハビリもしたいというものが非常に多く、当施設においても入浴が主目的となっている利用者が多数となっている状況である。本来の役割であるリハビリテーションに重点を置いたサービスを地域に対して提供していくことが社会資源として重要であると考え、令和5年5月より当施設の通所リハビリテーションをリハ特化型に移行していくための取り組みを行なったので報告する。
【取り組み前の状況】
取り組み前の状況として5~6時間利用で入浴サービスを行なっている利用者の割合は全体の79.3%だった。多くの介護士が入浴介助に携わることでデイルームが手薄になるため、介護士により提供できるリハビリテーションは集団体操が中心となっていた。そのため、リハビリテーションに取り組みたいという利用者の要望に十分に応えることが難しい状況だった。
【リハ特化型への移行】
リハ特化型としてのイメージとしては5~6時間(入浴あり・昼食あり)利用の割合を徐々に減らしていきながら2~3時間(入浴なし・昼食なし)・3~4時間(入浴なし・昼食あり)の短時間の割合を増やしていくというものである。また、短時間利用については午前・午後の2部制とすることでリハビリテーションに取り組みやすい環境を提供することを目指した。
入浴については、大浴場やチェア浴といった自宅での入浴を目指すものではない環境であった。そのため、湯船に浸かるという入浴から清潔保持を行なうことを目的とするためシャワーオールという機器を導入した。また、週3回までの入浴機会の提供から2回へと変更した。このことにより、入浴にかかる人手と時間を最小限とすることを目指した。この取り組みにより役割分担としてトレーニング担当の介護士を配置できるようになった。例外として、自宅での入浴を目的とした訓練を希望される場合には入浴介助加算iiを算定し、個浴での入浴訓練を実施した。
リハビリテーションについては、理学療法士の個別訓練に加えて介護士による個別のトレーニングプログラムを実施することで、リハビリテーション目的での利用者の希望に応えると共に生活課題の改善に取り組むという明確な施設の目的を地域に発信した。介護士によるトレーニングプログラムの内容としては、屋外歩行訓練及び屋内歩行訓練・パワリハ機器(全4種)を用いた筋力トレーニング・自転車エルゴメーターを用いた持久力訓練・階段昇降訓練・ストレッチ体操・認知機能訓練などがある。また、装着型サイボーグHAL腰タイプ・単関節タイプを用いたトレーニングも提供している。
【リハ特化型への移行の取り組み結果】
取り組み開始後は、入浴形態の変更や回数の減少により、入浴が主目的であった利用者約20名が他の通所介護などへ移られることとなった。しかしながら、居宅介護支援事業所へリハ特化型への移行を伝える営業活動に注力することで、少しずつではあるが短時間でのリハビリテーション目的の利用者が増える状況がみられた。令和5年5月に79.3%であった入浴サービス有りの割合が、令和6年2月には58.2%となった。サービス状況の変化も非常に大きく、以前は入浴までの待ち時間に特に何もすることがないという状況もあったが、現在ではトレーニング担当の介護士を配置することでトレーニングを行なったり、認知機能訓練を行なったりとお一人お一人が何かしらに取り組むことでデイルーム全体として活気が出てきたと感じられた。また、以前と比べて歩行訓練に取り組む場面やトイレへの移動を手押し車歩行や歩行器歩行等で行なう場面も格段に多くなった。その他の効果として、居宅サービス計画における課題に対してのトレーニングプログラムを理学療法士と介護士が共同で考えることにより、介護場面での課題共有や身体機能・動作能力及びその変化についての情報共有を頻繁に行なうようになったということでの連係強化に繋がったと考える。
【おわりに】
現段階としてまだまだ移行期であり、目標とする短時間での午前・午後の2部制には至っていない状況であるため、これからも通所リハビリテーションとしての役割を果たすと共に老健入所・短期入所療養介護・訪問リハビリテーションも含めて地域にとってのリハビリテーションの拠点となることを目標として取り組みを続けていきたい。