講演情報
[14-O-A002-04]自主トレーニングに寄り添う介護士の変化について
*野崎 幸介1、小川 浩史1 (1. 神奈川県 医療法人光陽会 横浜磯子介護老人保健施設)
デイケアでの自主トレーニングに寄り添う介護士の取り組みと成果を向上させる為に情報共有と実施方法の改善に着手した結果、取り組みと評価結果に改善が表れた為、以下に報告する。方法は、リハビリスタッフと作成し直した自主トレ表を使用し、実施率と自主トレに対するアンケート評価を実施した。その結果、実施率は向上し、アンケートで高い評価が確認出来た。密な情報共有と安心出来る実施方法の確立が要因と考えられた。
【はじめに】当施設デイケアでは、昨年度の年間目標を介護士(以下、CW)全員で「ご利用者に寄り添う」と設定した。設定前と比較すると、ご利用者とコミュニケーションを図る機会は増えたものの、具体的な成果は限定的であった。この課題に対応する為、改めて「デイケア」の存在意義を見詰め直し、普段からご利用者から要望が多かった「運動」に焦点を当て、特に自主トレーニング(以下、自主トレ)の質の向上に取り組む事とした。現状の自主トレ実施状況を確認すると、その日の職員のマンパワーやCW個人の判断により実施の有無が決まり、かつ、実施方法も職員間での統一が図れていない事が浮き彫りになった。自主トレ内容もリハビリスタッフ(以下、リハスタッフ)からの口頭による伝達のみで、具体的な実施方法や介助方法が曖昧な場面が多く、介助するCWも不安となっており、目標として掲げていたご利用者に寄り添うサービを提供する状況とは言い難い状況であった。そこで、今回CWの取り組み方と成果を向上させるための情報共有と実施方法の改善に着手した結果、CWの自主トレに対する取り組み方とその取り組みを客観的に評価した数値に変化が表れた為、以下に報告する。
【目的・意義】本研究の目的は、リハスタッフとCW間の自主トレに関する情報共有の仕組みを見直し、誰もが同じ方法で実施出来るマニュアル化された自主トレ表を導入する事により、CWの自主トレに対する取り組み方がどの様に改善するのかを明らかにする事である。研究の意義としては、自主トレ表の活用により個々の判断に依存しない統一された実施方法が確立され、事故に対する不安も軽減し、安心して誘導から実施までが出来る様になる。結果的に質の高いサービスが提供できる様になり、ご利用者の日常生活活動(以下、ADL)向上に寄与し、CWもご利用者に合わせた自主トレメニューや環境の改善提案が可能になり、よりご利用者に寄り添った支援が期待できると考えた。
【方法】対象は、自主トレに関与しているデイケアCW5名(男性1名女性4名、平均経験年数9年)で、口頭と書面による説明を通じて研究への同意を得た。研究方法として、以下2点の方法を行った。1つ目は、リハスタッフとの協議を経て作成した自主トレ表に基づいてCWが実施し、実施有無を実施率として算出した。2つ目は、研究開始時と終了時にCW個々の自主トレに対する認識を評価する為のアンケートを実施した。質問内容は構造化選択回答形式の5項目を設定し、(1)「自主トレ内容の理解」、(2)「自主トレへの誘導」、(3)「リハスタッフとの情報共有」、(4)「歩行訓練の介助量」、(5)「介助方法への不安」をそれぞれ5件法にて評価した。この他、自主トレに対する実行度と満足度の自己評価を0から10までの数値で評価した。これらの評価結果を用いて開始時と終了時の変化を比較した。更に、自由記述形式にて個々の自主トレに関する意見を収集し、意見の変化も分析した。
【結果】実施率では、開始当初は50~60%台で不安定に推移していたが、研究終了時には平均89%と顕著に向上した。開始当初に散見されていた実施有無と未実施理由の記載漏れは、研究終了時には見当たらなくなっていた。(1)「自主トレ内容の理解」と(2)「自主トレへの誘導」、(3)「リハスタッフとの情報共有」は「どちらとも言えない」から「概ね出来ている」へと改善されたが、(4)「歩行訓練の介助量」に関しては前後で変化はなかった。(5) 「介助方法への不安」では、「時々ある」から「あまりない」へと大きく減少していた。実行度と満足度は、共に5から8へと改善し、特に経験の浅いCWほど顕著な改善が確認出来た。自由記述では、実施前は『情報共有の欠如』や『実施方法の不統一』、『介助方法への不安』等の否定的な意見が挙がっていたが、実施後は『より良い自主トレサービスの提供方法とは』や『業務の効率化』、『自主トレによってご利用者の心身両面に良い変化が感じられる』等の意見が多く挙がった。更に、CWの欠勤によるマンパワー不足に対してリハスタッフからの支援体制が構築されたこと、メニュー立案がリハスタッフとCW間での双方向的な協議に基づくものとなり、連携が改善された。
【考察】本研究にて、情報共有と実施方法は大きく改善した。研究開始時からデイケア会議にリハスタッフが参加し、CWの想いや介助方法への不安、疑問点を共有した。ここから多職種連携によって不安や疑問点を解消して進めた事で、双方向的である情報共有の仕組みが構築されたと考えた。実施方法では、具体的手法が記載された自主トレ表によってメニュー内容は明確化され、その結果、CW全員が共通の認識を持って誘導から実施までを一貫して行うことが可能になったと考えた。記載方法も、経験年数の浅い職員が理解しやすい手順の記載に配慮した。これらの要因がCWの行動変容につながり、特に経験年数の浅いCWの実行度と満足度の上昇に寄与していると推察した。行動だけでなく、CWの認識に着目すると、開始時に比べて積極的な意見が増加していた。この事は安心出来る実施方法が確立された事によって、CWがご利用者と向き合う機会が増えた事、自主トレに自信を持って取り組める様になった事が影響していると考えた。
【今後の展望】リハスタッフとの科学的根拠に基づいた自主トレの提供によって、高品質なサービス提供が期待出来る。高品質なサービス提供は、新たなご利用者の獲得に繋がる重要な強みになり、この強みがケアマネージャーや相談員に認識されることで、新たな依頼が増加する可能性がある。研究終了時には、CWからリハスタッフへの新たな提案が活発になっている事に加えて、今までメニューを設けていなかったご利用者から自主トレメニューの要望が増えていた。この声に真摯に耳を傾けて、これからもご利用者の想いに寄り添った良質のサービス提供を行っていく。
【目的・意義】本研究の目的は、リハスタッフとCW間の自主トレに関する情報共有の仕組みを見直し、誰もが同じ方法で実施出来るマニュアル化された自主トレ表を導入する事により、CWの自主トレに対する取り組み方がどの様に改善するのかを明らかにする事である。研究の意義としては、自主トレ表の活用により個々の判断に依存しない統一された実施方法が確立され、事故に対する不安も軽減し、安心して誘導から実施までが出来る様になる。結果的に質の高いサービスが提供できる様になり、ご利用者の日常生活活動(以下、ADL)向上に寄与し、CWもご利用者に合わせた自主トレメニューや環境の改善提案が可能になり、よりご利用者に寄り添った支援が期待できると考えた。
【方法】対象は、自主トレに関与しているデイケアCW5名(男性1名女性4名、平均経験年数9年)で、口頭と書面による説明を通じて研究への同意を得た。研究方法として、以下2点の方法を行った。1つ目は、リハスタッフとの協議を経て作成した自主トレ表に基づいてCWが実施し、実施有無を実施率として算出した。2つ目は、研究開始時と終了時にCW個々の自主トレに対する認識を評価する為のアンケートを実施した。質問内容は構造化選択回答形式の5項目を設定し、(1)「自主トレ内容の理解」、(2)「自主トレへの誘導」、(3)「リハスタッフとの情報共有」、(4)「歩行訓練の介助量」、(5)「介助方法への不安」をそれぞれ5件法にて評価した。この他、自主トレに対する実行度と満足度の自己評価を0から10までの数値で評価した。これらの評価結果を用いて開始時と終了時の変化を比較した。更に、自由記述形式にて個々の自主トレに関する意見を収集し、意見の変化も分析した。
【結果】実施率では、開始当初は50~60%台で不安定に推移していたが、研究終了時には平均89%と顕著に向上した。開始当初に散見されていた実施有無と未実施理由の記載漏れは、研究終了時には見当たらなくなっていた。(1)「自主トレ内容の理解」と(2)「自主トレへの誘導」、(3)「リハスタッフとの情報共有」は「どちらとも言えない」から「概ね出来ている」へと改善されたが、(4)「歩行訓練の介助量」に関しては前後で変化はなかった。(5) 「介助方法への不安」では、「時々ある」から「あまりない」へと大きく減少していた。実行度と満足度は、共に5から8へと改善し、特に経験の浅いCWほど顕著な改善が確認出来た。自由記述では、実施前は『情報共有の欠如』や『実施方法の不統一』、『介助方法への不安』等の否定的な意見が挙がっていたが、実施後は『より良い自主トレサービスの提供方法とは』や『業務の効率化』、『自主トレによってご利用者の心身両面に良い変化が感じられる』等の意見が多く挙がった。更に、CWの欠勤によるマンパワー不足に対してリハスタッフからの支援体制が構築されたこと、メニュー立案がリハスタッフとCW間での双方向的な協議に基づくものとなり、連携が改善された。
【考察】本研究にて、情報共有と実施方法は大きく改善した。研究開始時からデイケア会議にリハスタッフが参加し、CWの想いや介助方法への不安、疑問点を共有した。ここから多職種連携によって不安や疑問点を解消して進めた事で、双方向的である情報共有の仕組みが構築されたと考えた。実施方法では、具体的手法が記載された自主トレ表によってメニュー内容は明確化され、その結果、CW全員が共通の認識を持って誘導から実施までを一貫して行うことが可能になったと考えた。記載方法も、経験年数の浅い職員が理解しやすい手順の記載に配慮した。これらの要因がCWの行動変容につながり、特に経験年数の浅いCWの実行度と満足度の上昇に寄与していると推察した。行動だけでなく、CWの認識に着目すると、開始時に比べて積極的な意見が増加していた。この事は安心出来る実施方法が確立された事によって、CWがご利用者と向き合う機会が増えた事、自主トレに自信を持って取り組める様になった事が影響していると考えた。
【今後の展望】リハスタッフとの科学的根拠に基づいた自主トレの提供によって、高品質なサービス提供が期待出来る。高品質なサービス提供は、新たなご利用者の獲得に繋がる重要な強みになり、この強みがケアマネージャーや相談員に認識されることで、新たな依頼が増加する可能性がある。研究終了時には、CWからリハスタッフへの新たな提案が活発になっている事に加えて、今までメニューを設けていなかったご利用者から自主トレメニューの要望が増えていた。この声に真摯に耳を傾けて、これからもご利用者の想いに寄り添った良質のサービス提供を行っていく。