講演情報
[14-O-A004-04]選ばれるデイケアへ~ブランディング向上への取り組み~
*山口 あゆみ1、鈴木 重統1、和田 涼汰1、橋本 亜矢子1、川村 勇大1 (1. 北海道 介護老人保健施設ゆう)
近年は介護サービス事業所の進出が著しく、競合他社との差別化が必須となり、利用者から選ばれる事業所を目指していかなくてはならない。そこで、リハビリテーションとアクティビティの両面を見直し、当通所リハのブランディングの向上に取り組んだ。取り組みの過程において成果と課題が明確となり、今後のサービス向上へ向けた対応策の指針が得られた。
【はじめに】
当施設は、道央圏に位置する人口7,700人(高齢化率35%)の南幌町にある、利用定員75名(実質受入れ上限60名を基準)の通所リハビリテーション(以下、通所リハ)である。当通所リハは1日平均55名が利用する大規模事業所であり、町内に限らず近隣地域から広く利用者を受け入れている。近年は介護サービス事業所の進出が著しく、競合他社との差別化が必須となり、利用者から選ばれる事業所を目指しサービスの提供や運営の見直しを開始した。以下にその取り組みについて報告を行う。
【目的】
サービスとして近隣には多くの選択肢がある中、利用者から選ばれるよう、当通所リハの強みでもあるリハビリテーション(以下、リハビリ)とアクティビティの両面を見直し、アウターブランディング(利用者様やご家族、更にはケアマネが施設に持つイメージ)の向上に繋げる。
【取り組み内容】
当通所リハは、基本方針としてリハビリとアクティビティの両面を充実させ利用者を飽きさせないように様々なプログラムを企画・実施してきたが、各内容をより充実させるよう以下について見直した。
1)自主訓練スペースの新設
リハビリ意欲の高い利用者への対応として、基本のリハビリ以外でも自由に身体を動かせられるよう、14種類の自主訓練メニューを用意。運動の方法などの説明を掲示し、平行棒やセラバンド、バランスボールなど自由に使えるようにした。また、運動を継続的に自宅でも行えるよう自主トレプログラムの配布に努めた。
2)社会との繋がりの再開
コロナ禍による感染予防を主軸とした対応から活動の規制を徐々に緩和。これまで規制していた外部の編み物や運動指導のボランティアや保育園などとの交流会を再開し、地域の社会資源を活用しながら社会交流を促進させた。
3)活動の受動的参加から能動的参加への転換
活動の内容によっては、受動的に参加している利用者も見られることから、能動的に参加していただけることに重点を置いた。具体的には、他者の役に立ちたい・貢献したいという人の持つ自然な心情を動機として、例えば能登半島地震被災者への励ましの絵手紙の作成や慰問者への返礼品の作成などの活動へ結びつけた。
4)体験利用者へのアプローチの工夫
体験利用の満足度の向上がケアマネへの信頼に繋がると考え、体験利用者への対応について、初めて大人数の場に来た方でも馴染みやすいようにする為、来所・帰所までの一連のプログラムをコーディネートする職員を配置。控えめな方への他者との会話の橋渡しや各プログラムなどへの誘い出しに努め、安心感やアクティビティへの円滑な参加を進めた。コーディネーターが帰所時に一連のプログラムの感想や希望・要望などを聴取し、新規利用に際しても不安がないよう配慮した。
【取り組みの効果・結果】
これまで実施してきたリハビリやアクティビティに加えて、上記の取り組みを行った事で、前年半期(1月~6月)との比較で新規は月平均2.2件増加し、体験利用は同様に3.3件増加した。このことから当通所リハのプログラムが機能し、サービス利用の動機づけに繋がったと考える。また、平均介護度においては0.24ポイントの低下となり、これはQOLに紐づけた各プログラムの実施の成果であると推察する。
【課題と対策】
今回の取り組みからは新規利用件数の増加など一定の効果は得られたと考えるが、若年層の利用者(65歳以下)については、体験利用をしても新規に繋がらないケースや、サービスを開始しても継続期間が短いという課題が残った。
主な要因としては、高齢者と一緒に活動に参加することへの抵抗感や、リハビリ時間が短いなどとなっており、若年層はリハビリのニーズが強く回復意欲が高いことを改めて理解した。このことから、今後は、通常のリハビリメニューに加え、マシンや物理療法、エルゴメーターなど機能回復のリハビリテーションを重点に置き、個別の運動プログラムにて十分に運動する機会を提供することに取り組んでいきたい。
【考察とまとめ】
利用者や家族が持つ通所リハのイメージは、病院のリハビリ(回復期)と混同したりなど必ずしも正しく認識されているとは言えない。通所リハの持つ機能を理解してもらうためには、リハビリだけではなく、アクティビティによるQOLの向上を支援する場であることを標榜し、取り組みを推進する必要がある。その第一歩として、今回はリハビリとアクティビティの見直しを行い、利用者や家族、ケアマネージャーへ取り組みの一端を示してきた。プログラムの見直しは始めたばかりではあるが、変化する利用者のニーズや要望に即し、提供するサービスを繰り返し更新することは結果として利用者の満足度を高めることになる。そして家族やケアマネの評価にも繋がり新たな顧客を呼び込むことになると考える。今後も利用者のQOLの向上に紐づいたリハビリやアクティビティプログラムを考案し、地域から求められる通所リハとしてブランディング化を確立し、通所リハと言えば「老健ゆう」と言っていただけるよう、更なるサービスの質の向上に努めていきたい。
当施設は、道央圏に位置する人口7,700人(高齢化率35%)の南幌町にある、利用定員75名(実質受入れ上限60名を基準)の通所リハビリテーション(以下、通所リハ)である。当通所リハは1日平均55名が利用する大規模事業所であり、町内に限らず近隣地域から広く利用者を受け入れている。近年は介護サービス事業所の進出が著しく、競合他社との差別化が必須となり、利用者から選ばれる事業所を目指しサービスの提供や運営の見直しを開始した。以下にその取り組みについて報告を行う。
【目的】
サービスとして近隣には多くの選択肢がある中、利用者から選ばれるよう、当通所リハの強みでもあるリハビリテーション(以下、リハビリ)とアクティビティの両面を見直し、アウターブランディング(利用者様やご家族、更にはケアマネが施設に持つイメージ)の向上に繋げる。
【取り組み内容】
当通所リハは、基本方針としてリハビリとアクティビティの両面を充実させ利用者を飽きさせないように様々なプログラムを企画・実施してきたが、各内容をより充実させるよう以下について見直した。
1)自主訓練スペースの新設
リハビリ意欲の高い利用者への対応として、基本のリハビリ以外でも自由に身体を動かせられるよう、14種類の自主訓練メニューを用意。運動の方法などの説明を掲示し、平行棒やセラバンド、バランスボールなど自由に使えるようにした。また、運動を継続的に自宅でも行えるよう自主トレプログラムの配布に努めた。
2)社会との繋がりの再開
コロナ禍による感染予防を主軸とした対応から活動の規制を徐々に緩和。これまで規制していた外部の編み物や運動指導のボランティアや保育園などとの交流会を再開し、地域の社会資源を活用しながら社会交流を促進させた。
3)活動の受動的参加から能動的参加への転換
活動の内容によっては、受動的に参加している利用者も見られることから、能動的に参加していただけることに重点を置いた。具体的には、他者の役に立ちたい・貢献したいという人の持つ自然な心情を動機として、例えば能登半島地震被災者への励ましの絵手紙の作成や慰問者への返礼品の作成などの活動へ結びつけた。
4)体験利用者へのアプローチの工夫
体験利用の満足度の向上がケアマネへの信頼に繋がると考え、体験利用者への対応について、初めて大人数の場に来た方でも馴染みやすいようにする為、来所・帰所までの一連のプログラムをコーディネートする職員を配置。控えめな方への他者との会話の橋渡しや各プログラムなどへの誘い出しに努め、安心感やアクティビティへの円滑な参加を進めた。コーディネーターが帰所時に一連のプログラムの感想や希望・要望などを聴取し、新規利用に際しても不安がないよう配慮した。
【取り組みの効果・結果】
これまで実施してきたリハビリやアクティビティに加えて、上記の取り組みを行った事で、前年半期(1月~6月)との比較で新規は月平均2.2件増加し、体験利用は同様に3.3件増加した。このことから当通所リハのプログラムが機能し、サービス利用の動機づけに繋がったと考える。また、平均介護度においては0.24ポイントの低下となり、これはQOLに紐づけた各プログラムの実施の成果であると推察する。
【課題と対策】
今回の取り組みからは新規利用件数の増加など一定の効果は得られたと考えるが、若年層の利用者(65歳以下)については、体験利用をしても新規に繋がらないケースや、サービスを開始しても継続期間が短いという課題が残った。
主な要因としては、高齢者と一緒に活動に参加することへの抵抗感や、リハビリ時間が短いなどとなっており、若年層はリハビリのニーズが強く回復意欲が高いことを改めて理解した。このことから、今後は、通常のリハビリメニューに加え、マシンや物理療法、エルゴメーターなど機能回復のリハビリテーションを重点に置き、個別の運動プログラムにて十分に運動する機会を提供することに取り組んでいきたい。
【考察とまとめ】
利用者や家族が持つ通所リハのイメージは、病院のリハビリ(回復期)と混同したりなど必ずしも正しく認識されているとは言えない。通所リハの持つ機能を理解してもらうためには、リハビリだけではなく、アクティビティによるQOLの向上を支援する場であることを標榜し、取り組みを推進する必要がある。その第一歩として、今回はリハビリとアクティビティの見直しを行い、利用者や家族、ケアマネージャーへ取り組みの一端を示してきた。プログラムの見直しは始めたばかりではあるが、変化する利用者のニーズや要望に即し、提供するサービスを繰り返し更新することは結果として利用者の満足度を高めることになる。そして家族やケアマネの評価にも繋がり新たな顧客を呼び込むことになると考える。今後も利用者のQOLの向上に紐づいたリハビリやアクティビティプログラムを考案し、地域から求められる通所リハとしてブランディング化を確立し、通所リハと言えば「老健ゆう」と言っていただけるよう、更なるサービスの質の向上に努めていきたい。