講演情報
[14-O-A006-05]介護現場におけるアンガーマネジメントの取り組み
*園山 香奈子1、嘉儀 美智雄1 (1. 島根県 介護老人保健施設出雲徳洲苑)
アンガーマネジメントとは、感情コントロールトレーニングを行い、怒りや衝動的な言動、行動等を穏やかにする事を目的とした心理療法プログラムである。私達が働く介護現場は、精神的負担が大きく感情コントロールは常に必要とされる。アンガーマネジメントのスキルを身につける事で、職員ストレスの軽減や職場全体の円滑なコミュニケーション、より良い雰囲気作りへと繋げていくことができるのではないかと考え取り組みを行った。
<はじめに>出雲徳洲苑は、入所者数80名、平均介護度3.18の病院併設型の施設である。介護現場は認知症を初めとし、様々な利用層との個別の関りが必要となる。その為職員の精神的負担は大きく、感情のコントロールは必要不可欠である。アンガーマネジメントのスキルを身につけ、自分の気持ちを客観視できることで、職員同士の関係性や、施設全体の雰囲気が良くなる事を目的とした取り組みを行ったのでここに報告する。
<方法>
1 全職員へアンガーマネジメントについて勉強会を開催
2 看護・介護職員を対象にアンケートとタイプ別診断(点数化)を実施
3 タイプ別を診断結果より高得点者4名を「取り組み実施職員」として選出
男性A:公明正大タイプ・・・正義感が強くルールや規則に従わない人に対して怒りがわきやすい
女性B:博学多才タイプ・・・向上心が高く前向きなタイプ。自分にも他人にも厳しい傾向
女性C:外柔内剛タイプ・・・自分の信条を持っているが、それに合わない事を行うのが苦手
女性D:用心堅固タイプ・・・真面目な性格。周りに頼るのが苦手でストレスが溜まる事が多い
4 取り組みの実施(期間:令和5年6月19日から7月3日)
(取り組み内容)
・各タイプ別に「意識の必要な点」を伝え日常的に意識を促す
・怒りを感じた際は記録(メモ)をする
・6秒ルール、深呼吸、その場を離れる
5 選出者4名に対し取り組み終了後のアンケートの実施
<取り組み結果>
「取り組み実施後のアンケート結果より、4名中3名の職員が自分の中で変化を感じ、1名は変化を感じなかったと回答があった。変化を感じた点については、「大した事ではないのにイライラするのは止めようと思った」「一呼吸してから対応するようにした」等の回答があった。また、取り組む上で意識した事として、怒りを感じた時にその場を離れる、6秒ルールの取り入れ、深呼吸をするなど個々に具体的な対処を行えていた。また、今回の取り組み後、自分が何に対して怒りを感じたのか客観的に考えることができたとの回答があり、共通点としては、多忙時等自分の気持ちに余裕が無い時に苛立ちが態度に出てしまう傾向があった。変化を感じなかった職員については、今回の取り組みを通じてアンガーマネジメントを知る機会となり、今後も意識していきたいと思えたと振り返っている。他意見として、怒りを感じた際に記録を行う事は業務多忙である中で大変だった、それがストレスだった、怒りがよみがえったとの回答があった。
<考察>
アンケート結果より、変化を感じた職員は、アンガーマネジメントを日常に取り入れる事で、自分の苛立ちや怒りを客観視し、感情をコントロールする事に繋がったと考える。また、自分を客観視する事で「6秒ルール」や「その場を離れる」「深呼吸する」等の自分に必要な対策を選択する事ができたのではないか。変化を感じられなかったと回答があった職員については、感情コントロールが必要な場合であっても、自分を客観視できていない場合や、認めることができていない可能性があるのではないか。また、同様のタイプの職員は一定数存在しているのではないか。そのような場合、自分を客観視できるよう周囲からの助言やサポートを行い、アンガーマネジメントの必要性を理解することが大切ではないか。アンケート結果からは、怒りを感じた際にメモを取る事へのストレス、怒りのよみがえりを感じていたとの回答が得られた。現場は多忙であるため、都度筆記でメモを取ることは困難でストレスとなる可能性は大きく、ボイスメモ等、簡易にメモのできるツールの活用等の代替え策は必要だと感じた。今回の取り組みは2週間実施し、取り組み終了後の意識は薄くなっていると感じる。職員の意識付けのきっかけにはなったが、個々の職員に根付くことが必要となり、今後は組織全体で活動を推奨することも必要ではないか。全職種に対し組織的、継続的に取り組む事で、職員のストレス軽減、施設全体の雰囲気が良くなる事へ繋がっていくと考える。また、老人保健施設のリスクマネジメントにおいて、職員満足度は利用者満足度と直結しており、職員満足度が低い場合、利用者満足度が高くなることはないとされている。職員のストレス軽減は職員の心のゆとりや笑顔に繋がり、そこから利用者への良質なサービス提供に繋がっていくのではないか。
<まとめ>
介護職として働いていると、職員同士や利用者との関わりの中で、苛立ちや怒りの感情を持つ事がある。感情的になってしまう時があるからこそ、自分の傾向を知り、意識するポイントを踏まえた上で長期的にアンガーマネジメントに取り組んでいくことが重要なのではないかと感じた。精神的負担が大きい介護現場において、個々が少しでも働きやすくするためには、まずは自分の気持ちを客観視する事が大切だと感じた。また怒りや苛立ちは不適切なケアや虐待に繋がるリスクも高い。そのようなリスクを軽減するためにも、怒りの原因を整理し、コントロールしていくことで精神的に余裕を持つ事が大切で、そのような職員が増えることで雰囲気の良い職場環境に繋がっていくのではないかと思う。
<方法>
1 全職員へアンガーマネジメントについて勉強会を開催
2 看護・介護職員を対象にアンケートとタイプ別診断(点数化)を実施
3 タイプ別を診断結果より高得点者4名を「取り組み実施職員」として選出
男性A:公明正大タイプ・・・正義感が強くルールや規則に従わない人に対して怒りがわきやすい
女性B:博学多才タイプ・・・向上心が高く前向きなタイプ。自分にも他人にも厳しい傾向
女性C:外柔内剛タイプ・・・自分の信条を持っているが、それに合わない事を行うのが苦手
女性D:用心堅固タイプ・・・真面目な性格。周りに頼るのが苦手でストレスが溜まる事が多い
4 取り組みの実施(期間:令和5年6月19日から7月3日)
(取り組み内容)
・各タイプ別に「意識の必要な点」を伝え日常的に意識を促す
・怒りを感じた際は記録(メモ)をする
・6秒ルール、深呼吸、その場を離れる
5 選出者4名に対し取り組み終了後のアンケートの実施
<取り組み結果>
「取り組み実施後のアンケート結果より、4名中3名の職員が自分の中で変化を感じ、1名は変化を感じなかったと回答があった。変化を感じた点については、「大した事ではないのにイライラするのは止めようと思った」「一呼吸してから対応するようにした」等の回答があった。また、取り組む上で意識した事として、怒りを感じた時にその場を離れる、6秒ルールの取り入れ、深呼吸をするなど個々に具体的な対処を行えていた。また、今回の取り組み後、自分が何に対して怒りを感じたのか客観的に考えることができたとの回答があり、共通点としては、多忙時等自分の気持ちに余裕が無い時に苛立ちが態度に出てしまう傾向があった。変化を感じなかった職員については、今回の取り組みを通じてアンガーマネジメントを知る機会となり、今後も意識していきたいと思えたと振り返っている。他意見として、怒りを感じた際に記録を行う事は業務多忙である中で大変だった、それがストレスだった、怒りがよみがえったとの回答があった。
<考察>
アンケート結果より、変化を感じた職員は、アンガーマネジメントを日常に取り入れる事で、自分の苛立ちや怒りを客観視し、感情をコントロールする事に繋がったと考える。また、自分を客観視する事で「6秒ルール」や「その場を離れる」「深呼吸する」等の自分に必要な対策を選択する事ができたのではないか。変化を感じられなかったと回答があった職員については、感情コントロールが必要な場合であっても、自分を客観視できていない場合や、認めることができていない可能性があるのではないか。また、同様のタイプの職員は一定数存在しているのではないか。そのような場合、自分を客観視できるよう周囲からの助言やサポートを行い、アンガーマネジメントの必要性を理解することが大切ではないか。アンケート結果からは、怒りを感じた際にメモを取る事へのストレス、怒りのよみがえりを感じていたとの回答が得られた。現場は多忙であるため、都度筆記でメモを取ることは困難でストレスとなる可能性は大きく、ボイスメモ等、簡易にメモのできるツールの活用等の代替え策は必要だと感じた。今回の取り組みは2週間実施し、取り組み終了後の意識は薄くなっていると感じる。職員の意識付けのきっかけにはなったが、個々の職員に根付くことが必要となり、今後は組織全体で活動を推奨することも必要ではないか。全職種に対し組織的、継続的に取り組む事で、職員のストレス軽減、施設全体の雰囲気が良くなる事へ繋がっていくと考える。また、老人保健施設のリスクマネジメントにおいて、職員満足度は利用者満足度と直結しており、職員満足度が低い場合、利用者満足度が高くなることはないとされている。職員のストレス軽減は職員の心のゆとりや笑顔に繋がり、そこから利用者への良質なサービス提供に繋がっていくのではないか。
<まとめ>
介護職として働いていると、職員同士や利用者との関わりの中で、苛立ちや怒りの感情を持つ事がある。感情的になってしまう時があるからこそ、自分の傾向を知り、意識するポイントを踏まえた上で長期的にアンガーマネジメントに取り組んでいくことが重要なのではないかと感じた。精神的負担が大きい介護現場において、個々が少しでも働きやすくするためには、まずは自分の気持ちを客観視する事が大切だと感じた。また怒りや苛立ちは不適切なケアや虐待に繋がるリスクも高い。そのようなリスクを軽減するためにも、怒りの原因を整理し、コントロールしていくことで精神的に余裕を持つ事が大切で、そのような職員が増えることで雰囲気の良い職場環境に繋がっていくのではないかと思う。