講演情報
[14-O-A006-07]多職種連携の重要性在宅復帰に向けた取り組みを通して
*北舘 芽衣1、荒谷 みゆき1 (1. 岩手県 介護老人保健施設ほほえみの里)
今回、回復期にあたり、状態が変わりやすい利用者様の在宅復帰に向けて、職員間で連携し、取り組みを行った。在宅復帰前に特別養護老人施設入所が決まり、目標自体は未達となってしまったが、大幅なADLの改善が見られた。利用者様が回復期にあり比較的状態が好転しやすい時期にあった事も大きいが、その重要な時期に連携が密に取れ、適切な対応が出来たことで回復期の向上につながったと考えられる。
【はじめに】当施設では、利用者様の自立支援に向けて、職種ごとのアプローチは出来ているのではあるが、多職種・チームとしてのアプローチはなかなか容易には出来ずにいた。そこで、情報交換や役割を明確にし、コミュニケーションを円滑にすることで、多職種連携を促進させた結果、利用者様に対して、適切なアプローチを適切な時期に行う事が出来た事で、利用者様のADLの改善が大幅に見られたので報告する。
【ケース紹介】A様 80代 女性
現病歴:X年7月に、右膝人工関節置換術実施。8月にリハビリ目的にて転院するも、38度台の熱発が続き、身体機能低下・経口摂取困難の為、経鼻経管栄養へ移行。その状態にて、12月当施設入所となる。
既往歴:くも膜下出血/脳梗塞後後遺症/右膝複雑骨折/統合失調症/左ラクナ梗塞/糖尿病/高血圧症/右大腿骨骨折/鉄欠乏症貧血/慢性便秘症
【状態像】入所時は、バーセルインデックス評価で食事、移乗、整容、トイレ動作、入浴、平地歩行、階段昇降、更衣、排便、排尿の全項目に対して全介助で0であった。移動にはリクライニング車椅子使用し、食事面では経鼻経管栄養であった。尿意、便意なくオムツ対応で失禁が多く見られ、ADLは全介助レベル、経鼻経管栄養の為介助量が多く、独居での在宅生活は困難と判断した。
【方法】約5か月の間に状態が大きく変化した為、適切なケア・リハビリ内容の変更を可能な限りタイムリーに行う為に、エクセルを使用した時系列での状態変化の記録、月1度のメンバー会議、これらを共有データ化し、共通認識としての本人様の状態像把握を図るようにした。また、相談員へ状態変化を報告し、家族がどの程度のレベルであれば在宅介護が可能か聞き取りし目標設定を行った。
【連携方法】
〇食事動作での連携例:介護、様子観察からの経口摂取提案→看護、管理栄養士アセスメント、食形態の調整→介護、経口摂取介助→リハビリ、食事姿勢のリハビリ→歯科衛生士、管理栄養士アセスメント(義歯作成)→家族、相談員、義歯作成支援。成果⇒食事形態も義歯作成したことで、常食を召し上がることが出来るようになった。
〇トイレ動作での連携例:相談員、家族要望の確認→相談員、リハビリ、介護目標の設定→リハビリ、訓練内容の強化、調整(体力強化)→介護、夕方の訓練相談→リハビリ、訓練内容指導(動画で情報共有)→介護、夕方の訓練開始→移乗動作向上→リハビリ、アセスメント、リハ内容調整。成果⇒介助にてトイレでの排泄実施となった。
この他にも、安定した排泄を目指し、介護では排泄パターンの把握を行い、学習療法も取り入れた。学習療法はマンツーマンで算数や国語を行い、自身の意思を他者に伝える事を目的とした。このような連携を毎回集まって相談することは出来ない為、エクセルを使って時系列で利用者様の状態を日々入力し共有した。
【結果】X年12月中旬入所時は全項目に対し全介助であったが、入所後1年5カ月後には、全項目自立もしくは軽介助まで機能が向上、バーセルインデックスでは0→45と大幅な改善が見られた。介護量が減少したことで、自宅復帰も目指せるレベルとなり、また、趣味の塗り絵や読書も出来るようになり、他者との意思疎通も可能となった。
【考察】今回の利用者様のように回復が早く、日々の変化に合わせたケアを行う為に、エクセルを使用した情報共有は有効であった。多職種連携する事で、各職種の専門性や質の高いケアに繋がり、自宅復帰可能な状態のレベルになったと考える。また、介護支援ソフトだけではなく、必要に応じたエクセルやワード、動画データを作り共有する事で、統一したケアを情報共有し利用者様に細かなケアを行い、また職員間のフォローにもなったとも考える。その一方で、全利用者に対し今回のようなケアを実施することは困難であり、違う形や、簡略化した連携の方法を模索することも必要であると感じた。また、研究以外で多職種の働きかけや、情報発信も少ないことから、今後、積極的に情報の発信が必要だと感じた。今回の研究を通して、利用者様に対する細やかなケア、適切なケアをタイムリーに行う事で確実に改善に繋がることを実感出来た。研究で得られたものを日々の業務に還元するよう努めていきたい。
【ケース紹介】A様 80代 女性
現病歴:X年7月に、右膝人工関節置換術実施。8月にリハビリ目的にて転院するも、38度台の熱発が続き、身体機能低下・経口摂取困難の為、経鼻経管栄養へ移行。その状態にて、12月当施設入所となる。
既往歴:くも膜下出血/脳梗塞後後遺症/右膝複雑骨折/統合失調症/左ラクナ梗塞/糖尿病/高血圧症/右大腿骨骨折/鉄欠乏症貧血/慢性便秘症
【状態像】入所時は、バーセルインデックス評価で食事、移乗、整容、トイレ動作、入浴、平地歩行、階段昇降、更衣、排便、排尿の全項目に対して全介助で0であった。移動にはリクライニング車椅子使用し、食事面では経鼻経管栄養であった。尿意、便意なくオムツ対応で失禁が多く見られ、ADLは全介助レベル、経鼻経管栄養の為介助量が多く、独居での在宅生活は困難と判断した。
【方法】約5か月の間に状態が大きく変化した為、適切なケア・リハビリ内容の変更を可能な限りタイムリーに行う為に、エクセルを使用した時系列での状態変化の記録、月1度のメンバー会議、これらを共有データ化し、共通認識としての本人様の状態像把握を図るようにした。また、相談員へ状態変化を報告し、家族がどの程度のレベルであれば在宅介護が可能か聞き取りし目標設定を行った。
【連携方法】
〇食事動作での連携例:介護、様子観察からの経口摂取提案→看護、管理栄養士アセスメント、食形態の調整→介護、経口摂取介助→リハビリ、食事姿勢のリハビリ→歯科衛生士、管理栄養士アセスメント(義歯作成)→家族、相談員、義歯作成支援。成果⇒食事形態も義歯作成したことで、常食を召し上がることが出来るようになった。
〇トイレ動作での連携例:相談員、家族要望の確認→相談員、リハビリ、介護目標の設定→リハビリ、訓練内容の強化、調整(体力強化)→介護、夕方の訓練相談→リハビリ、訓練内容指導(動画で情報共有)→介護、夕方の訓練開始→移乗動作向上→リハビリ、アセスメント、リハ内容調整。成果⇒介助にてトイレでの排泄実施となった。
この他にも、安定した排泄を目指し、介護では排泄パターンの把握を行い、学習療法も取り入れた。学習療法はマンツーマンで算数や国語を行い、自身の意思を他者に伝える事を目的とした。このような連携を毎回集まって相談することは出来ない為、エクセルを使って時系列で利用者様の状態を日々入力し共有した。
【結果】X年12月中旬入所時は全項目に対し全介助であったが、入所後1年5カ月後には、全項目自立もしくは軽介助まで機能が向上、バーセルインデックスでは0→45と大幅な改善が見られた。介護量が減少したことで、自宅復帰も目指せるレベルとなり、また、趣味の塗り絵や読書も出来るようになり、他者との意思疎通も可能となった。
【考察】今回の利用者様のように回復が早く、日々の変化に合わせたケアを行う為に、エクセルを使用した情報共有は有効であった。多職種連携する事で、各職種の専門性や質の高いケアに繋がり、自宅復帰可能な状態のレベルになったと考える。また、介護支援ソフトだけではなく、必要に応じたエクセルやワード、動画データを作り共有する事で、統一したケアを情報共有し利用者様に細かなケアを行い、また職員間のフォローにもなったとも考える。その一方で、全利用者に対し今回のようなケアを実施することは困難であり、違う形や、簡略化した連携の方法を模索することも必要であると感じた。また、研究以外で多職種の働きかけや、情報発信も少ないことから、今後、積極的に情報の発信が必要だと感じた。今回の研究を通して、利用者様に対する細やかなケア、適切なケアをタイムリーに行う事で確実に改善に繋がることを実感出来た。研究で得られたものを日々の業務に還元するよう努めていきたい。