講演情報
[14-O-A008-04]リスクマネージャーの役割~新たなシステム構築~
*市川 季子1 (1. 沖縄県 介護老人保健施設シルバーピアしきな)
私はリスクマネージャーの資格を令和5年9月に取得した。当施設のリスク委員会は転倒・転落等介護事故を防ぐ為の管理が一番の目的となる。今回、資格取得後の自分の取り組みを報告する。気づいた事は「インシデント」報告の少なさである。至急改善すべき事案であると認識し、改善策を話し合った。インシデント報告を活性化するために『記録は簡潔に!情報共有は迅速に!』システムの構築を見直し続けていきたい。
【はじめに】当施設は、沖縄県那覇市の小高い住宅密集地に位置し、開設32周年を迎えた。施設近くには2000年に世界文化遺産に登録された琉球庭園「識名園」があり自然も多く残る立地である。入所定員95名平均介護度は3.4である。全入所者9割が車椅子利用者である。私は未経験から就職し15年経過し、その間には介護福祉士を取得している。施設には複数の委員会が設置されており私は数年前よりリスク委員会に所属している。リスク委員会のメンバーには、先にリスクマネージャーの資格を取得しているスタッフがおり、資格取得前後での気づきや考え方、発言に変化があり、私もスキルアップしたいという意欲が湧き受講に至った。令和5年2月から受講開始し9月に資格取得する事ができた。今回、資格取得後の自分の取り組みを報告する。
【目的】リスクマネージャーは、全老健の認定資格である介護施設を取り巻く様々なリスクとして(1)介護事故(転倒・転落)(2)施設内感染 (3)ご利用者のプライバシーや個人情報保護 (4)メンタルヘルス (5)自然災害 ・・・など多岐に渡る。当施設のリスク委員会は転倒・転落等介護事故を防ぐ為の管理が一番の目的となる。
【経過】私が資格取得後、委員会を進めるにあたって気づいた事は「インシデント」つまりヒヤリハット報告の少なさである。リスクマネージャーの講義で、『ハインリッヒの法則』について学んだが、当施設では真逆の逆三角形となっていた。事故報告書の年間集計を調べてみると、前年度において2階・3階各フロア共に、インシデント1件・アクシデント30件を超えていた。アクシデントが多く、防ぐためのインシデント報告が無さすぎた。当時、インシデントの記録は、介護ソフト『I‐medic』の“AIレポート”に入力。これはアクシデントも同様のレポートである。レポート1・レポート2・レポート3を入力するが、レポート3においては“発見状況”“原因の分析” “対策”そして“家族連絡のコメント”の入力がある。記録が多いので、いつの間にかインシデント(ヒヤリハット)を上げなくなっていた。もちろん、申し送りでは、口頭報告と業務日誌への記載は行っている。些細な出来事、いわゆるインシデントをしっかり把握し対策すべき事こそが重大事故を防ぐ事に繋がるので、至急改善すべき事案であると認識し、改善策を話し合った。
◎AIレポートのインシデント入力を簡潔にする◎AIレポートをI -medicに入力するのではなくヒヤリハットノートを作り気軽に書けるようにし1週間申し送りで報告する◎ヒヤリハット一覧表を作り目につく場所に設置し気軽に書けるようにする◎朝の申し送りで情報共有しているので未然に防げている事からインシデントにも至らない事案ではないか。等様々な意見を得ることが出来た。
【結果】(令和6年4月~9月 上半期のデータ添付)上半期においてはインシデントがどんどん記入される様になり、アクシデントを最小限に抑えることが出来ている。
【考察】リスクマネージャー資格取得により、科学的根拠を意識する事で、物事のひとつひとつの必要性、視点が変わり、今まで気づかなかった事を感じる様になった。今回は、アクシデントを防ぐ為にはどうすべきか、インシデントをどんどんあげるにはどうすべきか、その報告書はどうすべきか!ひたすらに考えるきっかけとなった。日々、限られたスタッフで忙しい中、業務を遂行していかなければならない状況を考えると、日頃から「報告・連絡・相談」による、気軽に話し合える職場環境づくりも大切だと考える。インシデント報告を活性化するために『記録は簡潔に!情報共有は迅速に!』システムの構築を見直し続けていきたい。
【おわりに】リスクマネージャーの資格取得を通じて個人の危機管理能力が高まった。ご利用者、スタッフ、施設の安全を守り、できる限りダメージを最小限に抑え、もしもの事態が起きた時、あるいはもしもの事態にならないよう意識する様になった。リスクマネージャーの資格認定創設から約17年。老健施設で働くスタッフは、是非受講し、研鑽を積んでほしい。安心安全な施設を目指して、毎日のケアを怠らず、日々邁進していきたいと思う。ご清聴有難うございました。
【目的】リスクマネージャーは、全老健の認定資格である介護施設を取り巻く様々なリスクとして(1)介護事故(転倒・転落)(2)施設内感染 (3)ご利用者のプライバシーや個人情報保護 (4)メンタルヘルス (5)自然災害 ・・・など多岐に渡る。当施設のリスク委員会は転倒・転落等介護事故を防ぐ為の管理が一番の目的となる。
【経過】私が資格取得後、委員会を進めるにあたって気づいた事は「インシデント」つまりヒヤリハット報告の少なさである。リスクマネージャーの講義で、『ハインリッヒの法則』について学んだが、当施設では真逆の逆三角形となっていた。事故報告書の年間集計を調べてみると、前年度において2階・3階各フロア共に、インシデント1件・アクシデント30件を超えていた。アクシデントが多く、防ぐためのインシデント報告が無さすぎた。当時、インシデントの記録は、介護ソフト『I‐medic』の“AIレポート”に入力。これはアクシデントも同様のレポートである。レポート1・レポート2・レポート3を入力するが、レポート3においては“発見状況”“原因の分析” “対策”そして“家族連絡のコメント”の入力がある。記録が多いので、いつの間にかインシデント(ヒヤリハット)を上げなくなっていた。もちろん、申し送りでは、口頭報告と業務日誌への記載は行っている。些細な出来事、いわゆるインシデントをしっかり把握し対策すべき事こそが重大事故を防ぐ事に繋がるので、至急改善すべき事案であると認識し、改善策を話し合った。
◎AIレポートのインシデント入力を簡潔にする◎AIレポートをI -medicに入力するのではなくヒヤリハットノートを作り気軽に書けるようにし1週間申し送りで報告する◎ヒヤリハット一覧表を作り目につく場所に設置し気軽に書けるようにする◎朝の申し送りで情報共有しているので未然に防げている事からインシデントにも至らない事案ではないか。等様々な意見を得ることが出来た。
【結果】(令和6年4月~9月 上半期のデータ添付)上半期においてはインシデントがどんどん記入される様になり、アクシデントを最小限に抑えることが出来ている。
【考察】リスクマネージャー資格取得により、科学的根拠を意識する事で、物事のひとつひとつの必要性、視点が変わり、今まで気づかなかった事を感じる様になった。今回は、アクシデントを防ぐ為にはどうすべきか、インシデントをどんどんあげるにはどうすべきか、その報告書はどうすべきか!ひたすらに考えるきっかけとなった。日々、限られたスタッフで忙しい中、業務を遂行していかなければならない状況を考えると、日頃から「報告・連絡・相談」による、気軽に話し合える職場環境づくりも大切だと考える。インシデント報告を活性化するために『記録は簡潔に!情報共有は迅速に!』システムの構築を見直し続けていきたい。
【おわりに】リスクマネージャーの資格取得を通じて個人の危機管理能力が高まった。ご利用者、スタッフ、施設の安全を守り、できる限りダメージを最小限に抑え、もしもの事態が起きた時、あるいはもしもの事態にならないよう意識する様になった。リスクマネージャーの資格認定創設から約17年。老健施設で働くスタッフは、是非受講し、研鑽を積んでほしい。安心安全な施設を目指して、毎日のケアを怠らず、日々邁進していきたいと思う。ご清聴有難うございました。