講演情報
[14-O-A008-06]“和む”を形にするケア~チームケアを利用した和み棟の取り組み~
*関根 萌子1 (1. 群馬県 介護老人保健施設 和光園)
チームケアによるサービスとQOLの向上に向けた取り組みを行った結果、職場風土の改善にも繋がったため報告する。和み棟で4つのチームを作り、それぞれ環境整備や整容、レクリエーションなどの活動を行った。その結果、利用者様への質の高いサービスの提供やQOL向上に繋げることができた。また、一つの目標に向かって話し合い協力し合うことで、職員同士の結束が強まり、職場風土の改善に繋がった。
【はじめに】
和光園一般棟(和み棟)では、部署内の職員をA~Dの4つのチームに分け、令和4年10月より作品展に出展する掲示物の作成を、令和5年8月よりサービスとQOLの向上に向けた取り組みを行っている。
今回、サービスとQOLの向上に向けた取り組みを行った結果、利用者様に対し良い影響があっただけでなく、職場風土の改善にも繋がったためここに報告する。
【目的】
チームケアを通して職員間で情報や知識・技術の伝達を行い、サービスとQOLの向上を目指す。
【方法】
1)Aチーム
利用者様の個別対応と業務の効率化をテーマに、利用者様が見やすい場所に入浴日を記載し、口腔ケア用品の保管方法を検討した。
2)Bチーム
環境整備をテーマに、ベッドの清掃と居室の壁の清掃を行った。施設内のほぼ全ての居室とベッドの清掃が完了したため、令和6年6月から外気浴と個別レクリエーションをテーマとして活動を開始した。
3)Cチーム
整容をテーマに、髪を整え利用者様の好みに合った髪型にすることで清潔感を与え気分転換を図った。令和5年11月からはテーマを看取りケアとし、療養室の環境整備や看取りケアについての資料作成を行った。令和6年7月からは車椅子清掃活動を開始した。
4)Dチーム
整容をテーマに、利用者様の身なりを整えることを意識し活動した。令和5年11月からはテーマを口腔体操・レクリエーションに変更し、集団・個別レクリエーションを行った。
【結果】
1)Aチーム
ベッドボードに入浴日を表示したことで、利用者様が自身の入浴日を確認しやすくなった。また職員が臥床、離床介助時にその場で入浴日の確認ができることで、業務の時間短縮となり利用者様とのコミュニケーションの時間が増えた。
歯ブラシとコップに氏名のテープを貼り、専用の棚を作成したことで、利用者様が自分のものを見つけやすくなった。以前は歯ブラシとコップを自室へ持ち帰ってしまう利用者様がいたが、見やすい場所に棚を作ったことで、歯磨き後に歯ブラシとコップを棚に戻してもらえるようになった。
2)Bチーム
環境整備の活動開始前は、業務が多忙で清掃が行き届かないことがあったが、活動開始後は各メンバーが意識して清掃を行うようになった。利用者様からは「ベッドきれいにしてくれたの?ありがとうね」との言葉が聞かれ、他チームの職員からは「居室の壁が明るくなった気がする」との声があがった。メンバーによって活動への参加状況に差が生じていたため、どのメンバーも参加できるように声掛けをしていくことが必要だと感じた。
外気浴や個別レクリエーションを行うことで、利用者様との1対1でのコミュニケーションの時間が増えた。
3)Cチーム
整容や看取りケアに関してチーム内での話し合いが進まず、通常業務などに追われて活動が中途半端になってしまった。チームリーダーが粘り強くまとめていかないと、時間だけが進んでしまうと感じた。
このままではいけないと思い、チーム内で話し合いを行いテーマを決め直した。車椅子清掃という新たなテーマで活動が進んでいる。チームのメンバーも1人増え、意見を出してもらう機会が増えた。
4)Dチーム
鏡を見て会話をしながら整容を行うことで、利用者様の表情が和らぎコミュニケーションの機会が増えた。しかし、通常業務が多忙で思うように時間が取れず、時間配分を工夫しないと継続したケアが出来ないという意見があがった。
レクリエーション活動を開始してからは、利用者様とのコミュニケーションや関わりをもつ時間が増えた。利用者様や他チームの職員にも分かりやすいように月間スケジュールを掲示し、空き時間に様々なレクリエーションを行った。利用者様の表情が穏やかになり、「今日は何かしないの?」などとレクリエーションを楽しみにされている様子があった。体操やダンスを行うことで利用者様の身体機能の維持・向上にも繋がった。
【考察】
今回、チームケアという取り組みを通して職員それぞれが当事者意識をもって活動に参加することができ、より質の高いサービスの提供に繋がった。また、新型コロナウイルス感染症の流行以降、職員間でのコミュニケーションの時間が減少してしまっていたが、チームケアを開始したことで、利用者様との関わりだけでなく、職員同士が話し合う機会が増えた。職員からは「他者の意見を聞き新たな気づきや発見があった」「皆同じことで悩んでいるのだと分かり安心した」といった声があがり、一つの目標に向かって話し合うことで仲間意識が生まれ、職員同士の結束が強まったと考える。
一方で、「忙しくて声をかけづらい職員がいた」「何をすればいいのかが曖昧で負担に感じた」などの意見もあがった。
そこで、各チームのリーダーでミーティングを行い、お互いの進捗状況や行き詰っている点について情報を共有した。様々な意見から、チーム内での話し合いが重要であることや、チームメンバーに役割を振り、メンバーとしての意識を高めることが重要であると再確認した。また、リーダーとしての役割についても再確認でき、「リーダーとしての役割や責任を果たすことで、業務やケアへのやりがいや楽しみに繋がった」との感想が聞かれ、リーダーの成長の機会となった。
職員自らが自己の役割を考えて行動することによって、成長の機会が増え、自律的な行動に繋がったと考える。
【結論】
チームケアを行うことによって、利用者様に質の高いサービスを提供し、利用者様のQOL向上に繋げることができた。また、職員同士のコミュニケーションの機会が増え、職場風土の改善に繋がった。
今後も職員同士で話し合い、お互いを助け合いながらチームケアを続けていきたい。
和光園一般棟(和み棟)では、部署内の職員をA~Dの4つのチームに分け、令和4年10月より作品展に出展する掲示物の作成を、令和5年8月よりサービスとQOLの向上に向けた取り組みを行っている。
今回、サービスとQOLの向上に向けた取り組みを行った結果、利用者様に対し良い影響があっただけでなく、職場風土の改善にも繋がったためここに報告する。
【目的】
チームケアを通して職員間で情報や知識・技術の伝達を行い、サービスとQOLの向上を目指す。
【方法】
1)Aチーム
利用者様の個別対応と業務の効率化をテーマに、利用者様が見やすい場所に入浴日を記載し、口腔ケア用品の保管方法を検討した。
2)Bチーム
環境整備をテーマに、ベッドの清掃と居室の壁の清掃を行った。施設内のほぼ全ての居室とベッドの清掃が完了したため、令和6年6月から外気浴と個別レクリエーションをテーマとして活動を開始した。
3)Cチーム
整容をテーマに、髪を整え利用者様の好みに合った髪型にすることで清潔感を与え気分転換を図った。令和5年11月からはテーマを看取りケアとし、療養室の環境整備や看取りケアについての資料作成を行った。令和6年7月からは車椅子清掃活動を開始した。
4)Dチーム
整容をテーマに、利用者様の身なりを整えることを意識し活動した。令和5年11月からはテーマを口腔体操・レクリエーションに変更し、集団・個別レクリエーションを行った。
【結果】
1)Aチーム
ベッドボードに入浴日を表示したことで、利用者様が自身の入浴日を確認しやすくなった。また職員が臥床、離床介助時にその場で入浴日の確認ができることで、業務の時間短縮となり利用者様とのコミュニケーションの時間が増えた。
歯ブラシとコップに氏名のテープを貼り、専用の棚を作成したことで、利用者様が自分のものを見つけやすくなった。以前は歯ブラシとコップを自室へ持ち帰ってしまう利用者様がいたが、見やすい場所に棚を作ったことで、歯磨き後に歯ブラシとコップを棚に戻してもらえるようになった。
2)Bチーム
環境整備の活動開始前は、業務が多忙で清掃が行き届かないことがあったが、活動開始後は各メンバーが意識して清掃を行うようになった。利用者様からは「ベッドきれいにしてくれたの?ありがとうね」との言葉が聞かれ、他チームの職員からは「居室の壁が明るくなった気がする」との声があがった。メンバーによって活動への参加状況に差が生じていたため、どのメンバーも参加できるように声掛けをしていくことが必要だと感じた。
外気浴や個別レクリエーションを行うことで、利用者様との1対1でのコミュニケーションの時間が増えた。
3)Cチーム
整容や看取りケアに関してチーム内での話し合いが進まず、通常業務などに追われて活動が中途半端になってしまった。チームリーダーが粘り強くまとめていかないと、時間だけが進んでしまうと感じた。
このままではいけないと思い、チーム内で話し合いを行いテーマを決め直した。車椅子清掃という新たなテーマで活動が進んでいる。チームのメンバーも1人増え、意見を出してもらう機会が増えた。
4)Dチーム
鏡を見て会話をしながら整容を行うことで、利用者様の表情が和らぎコミュニケーションの機会が増えた。しかし、通常業務が多忙で思うように時間が取れず、時間配分を工夫しないと継続したケアが出来ないという意見があがった。
レクリエーション活動を開始してからは、利用者様とのコミュニケーションや関わりをもつ時間が増えた。利用者様や他チームの職員にも分かりやすいように月間スケジュールを掲示し、空き時間に様々なレクリエーションを行った。利用者様の表情が穏やかになり、「今日は何かしないの?」などとレクリエーションを楽しみにされている様子があった。体操やダンスを行うことで利用者様の身体機能の維持・向上にも繋がった。
【考察】
今回、チームケアという取り組みを通して職員それぞれが当事者意識をもって活動に参加することができ、より質の高いサービスの提供に繋がった。また、新型コロナウイルス感染症の流行以降、職員間でのコミュニケーションの時間が減少してしまっていたが、チームケアを開始したことで、利用者様との関わりだけでなく、職員同士が話し合う機会が増えた。職員からは「他者の意見を聞き新たな気づきや発見があった」「皆同じことで悩んでいるのだと分かり安心した」といった声があがり、一つの目標に向かって話し合うことで仲間意識が生まれ、職員同士の結束が強まったと考える。
一方で、「忙しくて声をかけづらい職員がいた」「何をすればいいのかが曖昧で負担に感じた」などの意見もあがった。
そこで、各チームのリーダーでミーティングを行い、お互いの進捗状況や行き詰っている点について情報を共有した。様々な意見から、チーム内での話し合いが重要であることや、チームメンバーに役割を振り、メンバーとしての意識を高めることが重要であると再確認した。また、リーダーとしての役割についても再確認でき、「リーダーとしての役割や責任を果たすことで、業務やケアへのやりがいや楽しみに繋がった」との感想が聞かれ、リーダーの成長の機会となった。
職員自らが自己の役割を考えて行動することによって、成長の機会が増え、自律的な行動に繋がったと考える。
【結論】
チームケアを行うことによって、利用者様に質の高いサービスを提供し、利用者様のQOL向上に繋げることができた。また、職員同士のコミュニケーションの機会が増え、職場風土の改善に繋がった。
今後も職員同士で話し合い、お互いを助け合いながらチームケアを続けていきたい。