講演情報
[14-O-I002-03]『よかにせ・よかおごじょ』でよかあんべ~整容・身だしなみで気分は前向きちょっとそこまで~
*土岐 香織1、前田 さとみ1、東園 美幸1、藤田 千賀子1、山下 美由樹1 (1. 鹿児島県 ろうけん青空)
母の日の行事時に整容と軽いメイクをしたことでご利用者が明るい表情で楽しまれた事をきっかけに特別ではなく普段から整容・身だしなみケアの必要性を感じた。
自分では積極的に出来なかったことをまた何となく後回しにしてきたケアを
業務の中に取り入れていくことで気持ちが前向きになり良い効果が表れた。
今後も継続していく。
自分では積極的に出来なかったことをまた何となく後回しにしてきたケアを
業務の中に取り入れていくことで気持ちが前向きになり良い効果が表れた。
今後も継続していく。
【はじめに】
誰でも自立して生活していた頃は当たり前のように行っていた整容・身だしなみだが、介護施設に入り室内やベッドで生活する時間が長くなると、身だしなみを整える機会も減少し整容に関する意識が低下する傾向がある。今回、母の日の行事の際に、眉を整えて軽いメイクを行った。ご利用者様がメイクブラシを持ち、真剣に鏡に向かい化粧をされている姿を見て「いつまでも、綺麗でいたい」と思われているような気持ちが現れた瞬間が印象的であり、特別ではなく、普段から整容・身だしなみのケアの必要性を感じた。介護の基本となる整容・身だしなみについて改めて振り返り、業務に入れ込みケアを続ける事で良い効果が表れたので報告する。
【取り組み内容】
《取り組み前》
・朝髪を梳く・蒸しタオルで顔を拭く・男性は髭剃り・入浴後に爪切り
《取り組み後》
(1)実施期間:R6.5.12~6.15
実施内容:洗面台(鏡の前)で眉整え・口周りうぶ毛剃り・鼻毛カット
(2)実施期間:R6.6.15~現在継続中
実施内容:眉整え・口周りうぶ毛剃りは入浴時へ変更
(3)アンケート実施・ご利用者、ご家族へ、感想と今後の希望について
・スタッフへ、業務に入れ込み実施した結果についての感想
(4)フットケア(巻き爪や爪肥厚でスタッフが対応できないケースに対して外部委託)
【結果】
ご利用者様の反応は最初「じじいはせんでよか」「昔はしていたけど、この頃はできなくなった」「気にはなっていたけれど誰もしてくれない」と遠慮がちな発言が聞かれていたが、徐々に「スッキリした」「最高だよ」「ありがとう」と明るく笑顔で喜ばれ「こんなにべっぴんさんになって」「天文館に行かないといけない」と前向きな声が聞かれた。反対に「眉毛は自然がいい」「自分でしますからいいです」と、もともと美意識が高く、自分で眉を整え口紅をさす方は、たとえ眉を整えるだけでも触って欲しくないという発言もあり、考えは個々で様々であり、その方がどのくらいご自分でできるのかを捉えて、その方に応じたケアも必要であると解った。また、それ以外の気づきとして、舌を上手く使えず、口ふくらましができない事、寝たきりでオムツ交換時は身体が緊張されるが、「きれいにしますね」と声をかけて、眉を整えると緊張が見られずじっとされていたことや、普段怒りっぽく気にいらないと直ぐに暴言やスタッフをつかんだりされる方も嫌がられる様子なくできた事から、ご自分から意思表示の難しい方も、喜ばれているのではないかと感じることができた。取り組む前は、入浴後に爪切りのみ行い、部屋の洗面台の前で眉を整え、口周りのうぶ毛剃りを行ったが、スタッフより入浴時の方がきれいにしやすいとの意見があり、途中からは女性ご利用者様は定期的に入浴時に行うようになった。爪に関しては巻き爪で痛みがある方、爪が肥厚して普通の爪切りでは対応できない場合は、巻き爪矯正認定技術をもつ専門の方に依頼した。施術後は巻き爪の方は痛みを感じなくなり、あれほどの肥厚した爪がきれいに薄くなった変化に、ご本人は勿論、ご家族、スタッフも感動を覚える位満足されていた。
スタッフの反応は、ケアの回数が増える毎に、直接利用者様が喜ばれる様子をみたり、礼を言われると、スタッフ自身も喜びと自信に変わり、外出等の取り組みを積極的にするようになった。参考意見として、入浴にかかる時間が増えてきたと、負担感も見られた。
【考察】
第1に、ご利用者自身、どこにも行かないからきれいにしなくてもいい、気になっていたけど自分ではできないしねと、今までは気にかけていた整容と言うよりは身だしなみを諦めていたことが解りました。女性はほんの少しだけ、口髭や眉毛を整えることでこんなにも、気分が晴れ、出かけたいとまで前向きになることも分かった。このことは生活の質を上げる要素でもある。ちょっとそこまで散歩や買い物に出かける機会を増やしていきたいと思う。
第2に、スタッフはケア時直接触れ合うことで、1対1でのコミユニケーションが図れ、ご利用者の嬉しい様子を直接見聞きすることで、仕事に対するモチベーションが上がっていったと考えられる。しかし、業務に組み入れたことで時間がかかり、負担感が増した事に対しては特定のスタッフに集中しない様に配慮して予定を組み入れていく必要があると思われる。
第3に、意外にも舌を上手く使えず、口ふくらましができなかったことは、口腔機能の低下も予測される発見だった。現在、毎食前に口腔体操を実施しているが、ただ声かけをするだけではなく、スタッフ全員でもっと工夫した取り組みにする重要性を改めて感じた。最後にご自分自身でのこだわり、意思がある場合は尊重していく必要がある。ケアする事だけに止まらず、その方の機能面を見極めて、できることはして頂くことも、さらに自分への関心と前向きな気分を高めることにつながったと考える。
【まとめ】
はじめは母の日行事の整容・身だしなみケアをしたことが取り組みのきっかけであったが、こんなにも喜んでいただき、外出の機会が増えていくことにまで繋がることができた事。スタッフのやりがいにまで発展した事を、今後も継続して取り組むことが大切であると感じている。自分だったらこうしてほしいと思う事はケアに生かそう。さらに専門職としてチームで取り組み、いつまでも生き生きと、こざっぱりしてよかにせ、よかおごじょでよかあんべで過ごせるように取り組んでいきたと思う。
誰でも自立して生活していた頃は当たり前のように行っていた整容・身だしなみだが、介護施設に入り室内やベッドで生活する時間が長くなると、身だしなみを整える機会も減少し整容に関する意識が低下する傾向がある。今回、母の日の行事の際に、眉を整えて軽いメイクを行った。ご利用者様がメイクブラシを持ち、真剣に鏡に向かい化粧をされている姿を見て「いつまでも、綺麗でいたい」と思われているような気持ちが現れた瞬間が印象的であり、特別ではなく、普段から整容・身だしなみのケアの必要性を感じた。介護の基本となる整容・身だしなみについて改めて振り返り、業務に入れ込みケアを続ける事で良い効果が表れたので報告する。
【取り組み内容】
《取り組み前》
・朝髪を梳く・蒸しタオルで顔を拭く・男性は髭剃り・入浴後に爪切り
《取り組み後》
(1)実施期間:R6.5.12~6.15
実施内容:洗面台(鏡の前)で眉整え・口周りうぶ毛剃り・鼻毛カット
(2)実施期間:R6.6.15~現在継続中
実施内容:眉整え・口周りうぶ毛剃りは入浴時へ変更
(3)アンケート実施・ご利用者、ご家族へ、感想と今後の希望について
・スタッフへ、業務に入れ込み実施した結果についての感想
(4)フットケア(巻き爪や爪肥厚でスタッフが対応できないケースに対して外部委託)
【結果】
ご利用者様の反応は最初「じじいはせんでよか」「昔はしていたけど、この頃はできなくなった」「気にはなっていたけれど誰もしてくれない」と遠慮がちな発言が聞かれていたが、徐々に「スッキリした」「最高だよ」「ありがとう」と明るく笑顔で喜ばれ「こんなにべっぴんさんになって」「天文館に行かないといけない」と前向きな声が聞かれた。反対に「眉毛は自然がいい」「自分でしますからいいです」と、もともと美意識が高く、自分で眉を整え口紅をさす方は、たとえ眉を整えるだけでも触って欲しくないという発言もあり、考えは個々で様々であり、その方がどのくらいご自分でできるのかを捉えて、その方に応じたケアも必要であると解った。また、それ以外の気づきとして、舌を上手く使えず、口ふくらましができない事、寝たきりでオムツ交換時は身体が緊張されるが、「きれいにしますね」と声をかけて、眉を整えると緊張が見られずじっとされていたことや、普段怒りっぽく気にいらないと直ぐに暴言やスタッフをつかんだりされる方も嫌がられる様子なくできた事から、ご自分から意思表示の難しい方も、喜ばれているのではないかと感じることができた。取り組む前は、入浴後に爪切りのみ行い、部屋の洗面台の前で眉を整え、口周りのうぶ毛剃りを行ったが、スタッフより入浴時の方がきれいにしやすいとの意見があり、途中からは女性ご利用者様は定期的に入浴時に行うようになった。爪に関しては巻き爪で痛みがある方、爪が肥厚して普通の爪切りでは対応できない場合は、巻き爪矯正認定技術をもつ専門の方に依頼した。施術後は巻き爪の方は痛みを感じなくなり、あれほどの肥厚した爪がきれいに薄くなった変化に、ご本人は勿論、ご家族、スタッフも感動を覚える位満足されていた。
スタッフの反応は、ケアの回数が増える毎に、直接利用者様が喜ばれる様子をみたり、礼を言われると、スタッフ自身も喜びと自信に変わり、外出等の取り組みを積極的にするようになった。参考意見として、入浴にかかる時間が増えてきたと、負担感も見られた。
【考察】
第1に、ご利用者自身、どこにも行かないからきれいにしなくてもいい、気になっていたけど自分ではできないしねと、今までは気にかけていた整容と言うよりは身だしなみを諦めていたことが解りました。女性はほんの少しだけ、口髭や眉毛を整えることでこんなにも、気分が晴れ、出かけたいとまで前向きになることも分かった。このことは生活の質を上げる要素でもある。ちょっとそこまで散歩や買い物に出かける機会を増やしていきたいと思う。
第2に、スタッフはケア時直接触れ合うことで、1対1でのコミユニケーションが図れ、ご利用者の嬉しい様子を直接見聞きすることで、仕事に対するモチベーションが上がっていったと考えられる。しかし、業務に組み入れたことで時間がかかり、負担感が増した事に対しては特定のスタッフに集中しない様に配慮して予定を組み入れていく必要があると思われる。
第3に、意外にも舌を上手く使えず、口ふくらましができなかったことは、口腔機能の低下も予測される発見だった。現在、毎食前に口腔体操を実施しているが、ただ声かけをするだけではなく、スタッフ全員でもっと工夫した取り組みにする重要性を改めて感じた。最後にご自分自身でのこだわり、意思がある場合は尊重していく必要がある。ケアする事だけに止まらず、その方の機能面を見極めて、できることはして頂くことも、さらに自分への関心と前向きな気分を高めることにつながったと考える。
【まとめ】
はじめは母の日行事の整容・身だしなみケアをしたことが取り組みのきっかけであったが、こんなにも喜んでいただき、外出の機会が増えていくことにまで繋がることができた事。スタッフのやりがいにまで発展した事を、今後も継続して取り組むことが大切であると感じている。自分だったらこうしてほしいと思う事はケアに生かそう。さらに専門職としてチームで取り組み、いつまでも生き生きと、こざっぱりしてよかにせ、よかおごじょでよかあんべで過ごせるように取り組んでいきたと思う。