講演情報
[14-O-I002-06]入浴時にアロマ足浴してみました
*白川 由紀1、白鳥 美子1、藤原 明代1 (1. 東京都 医療法人社団 欣助会 介護老人保険施設 花水木、2. 通所リハビリ)
通所利用者の大半は入浴を目的としており、その中で下肢の浮腫や疼痛は利用者の悩みとなっている。浮腫や疼痛の軽減、リラックス効果を目的としてアロマ足浴を行い、効果を評価するため下肢・脈拍測定、アンケートを実施した。下肢測定では有意な結果には至らなかった。アロマの香りで心地よさから心身の緊張が和らぎ副交感神経を優位になったことでリラックス効果が得られた。
I はじめに
当施設の通所利用者は定数30名平均介護度2.7である。利用者の大半はリハビリと入浴を目的とし午前中は一般浴・午後に機械浴を実施している。
自宅で入浴する事が難しい利用者が殆どであり、入浴中は全身状態の観察を行い皮膚の状態など変化に留意している。
浮腫は多くの利用者の悩みとなっており、足背から脹脛に靴下の跡が残っていることや痛みを訴えることがある。要因として血液の循環の役割を担う筋力の低下、長時間の座位・冷え等と言われている。この現状に対し少しでも利用者の浮腫と疼痛を軽減したいと考え入浴時に足浴を行い、下肢測定を実施した。
また「副交感神経は心身をリラックスすることで優位になる。血管が拡張し血流が促され心拍数が減った状態になる」(文献)とあることから、他の利用者にも香りを楽しみリラックスした環境で入浴して頂きたいと考え、アロマ足浴を実施し、リラクゼーションの効果を評価する目的で脈拍測定を行った。
アロマ足浴により、どのような効果が得られたのか検証し、その結果を報告する。
II 目的
・下肢の浮腫と疼痛の軽減・皮膚の観察
・アロマオイル足浴によるリラックス効果を得る
III 研究期間
R5年11月17日~R6年1月30日
I V 対象者
1群 週2回入浴 下肢の浮腫・疼痛がある
性別 年齢 歩行状態 浮腫、疼痛部位
A氏 女性 86歳 車椅子 足背~大腿部
B氏 女性 96歳 歩行器 足背~脹脛
C氏 男性 82歳 車椅子 足背のみ
D氏 男性 79歳 杖歩行 足背~大腿部
2群 週1~2回入浴 アロマ足浴希望者
性別 年齢 歩行状態
E氏 女性 93歳 歩行器
F氏 女性 87歳 歩行器
G氏 女性 85歳 車椅子
H氏 男性 84歳 歩行器
I氏 男性 77歳 車椅子
V方法
・10種類のアロマオイルは職員がランダムに選出し足浴を行う
・40℃のお湯を準備しアロマ足浴6分、全身浴4分を行う(2回/W・計22回)
・1群のみ下肢の浮腫軽減を評価するため入浴前後に足背から足底の周囲径・脹脛の測定を行う
・入浴前後、浮腫部位の皮膚状態の観察
・リラックス効果を評価するいため入浴前後電子血圧計にて脈拍測定
・全測定終了後対象者にアロマ足浴についてのアンケート実施
V I 結果
図参照(図1)
・周囲径・脹脛測定について
足背から足底の周囲径では1名減少した
脹脛周囲径では2名減少した
・疼痛について
3名軽減した
・皮膚の状態の変化について
全ての対象者の皮膚状態は改善していた
C氏の足趾は紫色様に変色していたが赤みが差すようになった。入浴直後に上着を着ていたがアロマ足浴導入後は「暑いから着ない」と上着を必要としなくなった
・脈拍測定について
8名減少した
・1群・2群のアンケート結果は以下の内容である
「気分がいい」、「気持ちよかった」、「アロマの香りでリラックスできた」と8割以上が回答した
「さわやかな気分になれる」、「気持ちが良く、スーッとします」
「家に帰った後も体がポカポカしていた」、「足がいつまでも温かい」
「足が軽くなった」「またアロマ足浴をやってほしい」
「ラベンダーの香りがいい」との意見多かった
V II 考察
下肢の浮腫・疼痛の軽減を目的に足浴を行ったが有意な効果は得られなかった。測定時間の変更や測定部位を固定できず正しい位置で測定が行えなかったことで測定値に誤差が生じ正確な数値の把握ができなかった。また実施回数や長時間の座位、個人の生活習慣などの影響により浮腫軽減に至らなかったと考える。
C氏の足趾は慢性的に変色していたが末梢の血行不良に対し足浴直後に全身浴を行った。足浴による局所効果と全身浴による全身効果で緩徐に体が温まり末梢の足趾に至るまで血流が良くなったと考えられる。
空気中のアロマ分子が嗅神経を経て大脳辺縁系に到達しアロマ分子に含まれるリナロールが脳内の興奮を抑制するGABAを活性化しリラックス効果をもたらすとされていることから「気持ちが良く、スーッとします」、「爽やかな気分になれる」等の発言からリラックス効果があったのではないかと考える。リラックス効果とは「心と体の緊張を緩和し気持ちを落ち着かせること」と言われている。「あれは良いね」、「アロマの香りでリラックス出来た」、「気分がいい」との回答があり、アロマ足浴の実施したことで心地よさから心身の緊張が和らぎ副交感神経が優位となり、脈泊数が減少し有効的だったと考える。GABAを活性化させるリナロールはラベンダーに多く含まれている事もありラベンダーの香りが人気であったか。
V III まとめ
今回、入浴中にアロマ足浴を行うにあたり情報が少なく、何か結果は出るのか不安であった。しかし対象者の感想は喜びの声が多く聞かれ「また行って欲しい」と希望があった。C氏に関しては今まで、全身浴だけでは変化が見られなかったが足浴を同時に行うことで足趾の血流が改善され、利用者が毎回楽しみにしているという言葉も聞かれ、喜んで頂けている事を知りとても励みになった。今後は、施設到着時にラベンダーの香りを中心にアロマを焚き施設到着時のお出迎えやアロマ足浴を実施し、リラックスした気持ちで一日を過ごして頂き、利用者が楽しみを持ってご利用頂けるよう全員の笑顔に繋がるような支援していきたい。
引用文献
株式会社ZEN PLACE Since 2004 2024/7/17
参考文献
茉莉亜・ショート パス 「キレイノート」 2023年10月24日 アロマセラピーアソシエイツ、バスオイルコレクションN バスアンドシャワーオイル
一般社団法人日本リンパ浮腫学会
経過観察のための指標 足の周径の測定箇所
当施設の通所利用者は定数30名平均介護度2.7である。利用者の大半はリハビリと入浴を目的とし午前中は一般浴・午後に機械浴を実施している。
自宅で入浴する事が難しい利用者が殆どであり、入浴中は全身状態の観察を行い皮膚の状態など変化に留意している。
浮腫は多くの利用者の悩みとなっており、足背から脹脛に靴下の跡が残っていることや痛みを訴えることがある。要因として血液の循環の役割を担う筋力の低下、長時間の座位・冷え等と言われている。この現状に対し少しでも利用者の浮腫と疼痛を軽減したいと考え入浴時に足浴を行い、下肢測定を実施した。
また「副交感神経は心身をリラックスすることで優位になる。血管が拡張し血流が促され心拍数が減った状態になる」(文献)とあることから、他の利用者にも香りを楽しみリラックスした環境で入浴して頂きたいと考え、アロマ足浴を実施し、リラクゼーションの効果を評価する目的で脈拍測定を行った。
アロマ足浴により、どのような効果が得られたのか検証し、その結果を報告する。
II 目的
・下肢の浮腫と疼痛の軽減・皮膚の観察
・アロマオイル足浴によるリラックス効果を得る
III 研究期間
R5年11月17日~R6年1月30日
I V 対象者
1群 週2回入浴 下肢の浮腫・疼痛がある
性別 年齢 歩行状態 浮腫、疼痛部位
A氏 女性 86歳 車椅子 足背~大腿部
B氏 女性 96歳 歩行器 足背~脹脛
C氏 男性 82歳 車椅子 足背のみ
D氏 男性 79歳 杖歩行 足背~大腿部
2群 週1~2回入浴 アロマ足浴希望者
性別 年齢 歩行状態
E氏 女性 93歳 歩行器
F氏 女性 87歳 歩行器
G氏 女性 85歳 車椅子
H氏 男性 84歳 歩行器
I氏 男性 77歳 車椅子
V方法
・10種類のアロマオイルは職員がランダムに選出し足浴を行う
・40℃のお湯を準備しアロマ足浴6分、全身浴4分を行う(2回/W・計22回)
・1群のみ下肢の浮腫軽減を評価するため入浴前後に足背から足底の周囲径・脹脛の測定を行う
・入浴前後、浮腫部位の皮膚状態の観察
・リラックス効果を評価するいため入浴前後電子血圧計にて脈拍測定
・全測定終了後対象者にアロマ足浴についてのアンケート実施
V I 結果
図参照(図1)
・周囲径・脹脛測定について
足背から足底の周囲径では1名減少した
脹脛周囲径では2名減少した
・疼痛について
3名軽減した
・皮膚の状態の変化について
全ての対象者の皮膚状態は改善していた
C氏の足趾は紫色様に変色していたが赤みが差すようになった。入浴直後に上着を着ていたがアロマ足浴導入後は「暑いから着ない」と上着を必要としなくなった
・脈拍測定について
8名減少した
・1群・2群のアンケート結果は以下の内容である
「気分がいい」、「気持ちよかった」、「アロマの香りでリラックスできた」と8割以上が回答した
「さわやかな気分になれる」、「気持ちが良く、スーッとします」
「家に帰った後も体がポカポカしていた」、「足がいつまでも温かい」
「足が軽くなった」「またアロマ足浴をやってほしい」
「ラベンダーの香りがいい」との意見多かった
V II 考察
下肢の浮腫・疼痛の軽減を目的に足浴を行ったが有意な効果は得られなかった。測定時間の変更や測定部位を固定できず正しい位置で測定が行えなかったことで測定値に誤差が生じ正確な数値の把握ができなかった。また実施回数や長時間の座位、個人の生活習慣などの影響により浮腫軽減に至らなかったと考える。
C氏の足趾は慢性的に変色していたが末梢の血行不良に対し足浴直後に全身浴を行った。足浴による局所効果と全身浴による全身効果で緩徐に体が温まり末梢の足趾に至るまで血流が良くなったと考えられる。
空気中のアロマ分子が嗅神経を経て大脳辺縁系に到達しアロマ分子に含まれるリナロールが脳内の興奮を抑制するGABAを活性化しリラックス効果をもたらすとされていることから「気持ちが良く、スーッとします」、「爽やかな気分になれる」等の発言からリラックス効果があったのではないかと考える。リラックス効果とは「心と体の緊張を緩和し気持ちを落ち着かせること」と言われている。「あれは良いね」、「アロマの香りでリラックス出来た」、「気分がいい」との回答があり、アロマ足浴の実施したことで心地よさから心身の緊張が和らぎ副交感神経が優位となり、脈泊数が減少し有効的だったと考える。GABAを活性化させるリナロールはラベンダーに多く含まれている事もありラベンダーの香りが人気であったか。
V III まとめ
今回、入浴中にアロマ足浴を行うにあたり情報が少なく、何か結果は出るのか不安であった。しかし対象者の感想は喜びの声が多く聞かれ「また行って欲しい」と希望があった。C氏に関しては今まで、全身浴だけでは変化が見られなかったが足浴を同時に行うことで足趾の血流が改善され、利用者が毎回楽しみにしているという言葉も聞かれ、喜んで頂けている事を知りとても励みになった。今後は、施設到着時にラベンダーの香りを中心にアロマを焚き施設到着時のお出迎えやアロマ足浴を実施し、リラックスした気持ちで一日を過ごして頂き、利用者が楽しみを持ってご利用頂けるよう全員の笑顔に繋がるような支援していきたい。
引用文献
株式会社ZEN PLACE Since 2004 2024/7/17
参考文献
茉莉亜・ショート パス 「キレイノート」 2023年10月24日 アロマセラピーアソシエイツ、バスオイルコレクションN バスアンドシャワーオイル
一般社団法人日本リンパ浮腫学会
経過観察のための指標 足の周径の測定箇所