講演情報

[14-O-B001-04]R4システムと共に進化する「シン・ロウケン」

*赤澤 健児1、富田 和也1、菊地 学1、中村 悟1 (1. 千葉県 介護老人保健施設ハートケア流山)
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専門職不足が進行、R4システムを導入し生産性向上と支援の質を高める事目的とする。介護職員40名を対象にアンケート及び業務プロセス分析実施。また利用者114名のICFステージングの分析結果を活かしICTと共に現場を創る。その結果、介護対象アンケートに77%がR4導入にメリットありと回答、また業務量が削減した。利用者のICFステージング複数項目の点数が向上。R4は進化できる老健【シン・ロウケン】に向かうシステムと考える
【はじめに】
当施設は平成12年に開設、令和元年より超強化型老健を現在まで継続している。少子高齢化社会により更なる専門職不足が進む中で、人の替わりとなるシステムや製品と共に支援する力が求められる。当施設は令和5年度より、電子カルテ移行を皮切りに『R4システム』(以下R4とする)を導入する。現在ではR4が電子ソフト化され、情報共有、レーダーチャート分析など利便性は多岐にわたる。また中途入職者や、外国人技能実習生などが誰もが理解できるユニバーサルデザインで構成されている事も時代背景に合う。R4活用と介護職員の現場心理を添えて報告する
【目的】
R4を活用し介護現場の生産性向上させる。ICFステージングデータを分析し、支援の質を向上させる。
1.研究期間 令和5年12月~令和6年5月 (約6カ月間)
2.研究対象 入所利用者(114名) 介護職員(40名)
研究A 「R4活用による生産性向上」
R4導入前後を比較し、介護職員40名を対象にアンケートを実施した。R4は介護職員の生産性を向上させるものか。また業務量調査結果から業務プロセスの変化を分析した。
研究B 「ICFステージングデータ分析」
入所利用者(114名)のICFステージングを項目毎に分析する。全体的に余暇項目が低い傾向。※余暇項目、平均2.4点(5点満点)
余暇が低い原因分析、介護職員は食事、排せつなど、直接生活に関わる業務は重要で優先度が高いが、余暇の優先度は低い傾向である。専門職に替わりロボット(PALRO)等に余暇活動を委託した
【結果】
研究A「R4活用による生産性向上」結果
アンケート結果、『導入前と比較しR4は利便性を高めたか』の問いに対し「はい77%」「いいえ23%」の結果。利便性が高い項目として、1位・情報共有、2位・アセスメント、3位・介護計画作成の順となる。また導入前と比較し介護現場の業務プロセスが減少、毎日の情報共有5分削減、介護計画作成時間が平均17分削減に繋がる、その時間を直接支援にあてることが出来た。更に介護計画は高度な思考力が必要であるが、システムがレーダーチャートで課題を見易くする為、誰でも簡単に介護計画作成ができた。
研究B「ICFステージングデータ分析」結果
余暇課題に対し、専門職に替わりロボット(PALRO)等が余暇活動を週3回実施。約6カ月前と比較しICFステージングの余暇項目の利用者(114名)平均2.7点に向上。伴い交流、整容、認知症の項目が合わせて向上した。余暇活動から生まれる好循環を促せた。
【考察】
我々専門職は、利用者へ直接支援の時間捻出が必要な時代背景の中。R4システムが標準化された指標で瞬時に分析する為、多様化する職員層でもニーズ把握を可能にした。また介護職員は専門職だけではなく、新たにロボットを仲間という認識を持ち、ロボットと共存する現場創りを行う。これらの事から余暇から始まる好循環を促し、利用者のICFステージングを向上させた。また、介護職員の作成する介護計画においても画一的なものでなく、その人全体を捉えた個別支援の在り方がR4を通じて施設全体で共通認識を持てたことは、大きな進化と考える。
【おわりに】
R4が活用できればケアプラン作成の合理性を生み出すばかりでなく、私たち介護現場の直接的なアプローチの質を高める。本研究を通じてR4とは、進化する・真のニーズに対応できる老健【シン・ロウケン】に向かうシステムである