講演情報

[14-O-L003-04]ICT機器を駆使し業務の効率化を図ろう!~スケジュール管理の一元化を目指す~

*田中 彩也佳1、荒井 聖恵1 (1. 長野県 ウィングラス)
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当事業所の訪問リハビリテーション(以下、訪問リハ)は、専任2名、非専任2名の計4名で対応している。訪問リハは事業所外での活動が主となるため、業務全体のスケジュール調整が重要課題となる。そのためICT機器を駆使して訪問リハのスケジュールを管理し、パソコン・タブレット・スマートフォンから、いつでも・どこでも・どの職員でも、切れ目のないスケジュール管理と円滑な訪問リハの提供が行えるようになったため報告する。
【はじめに】
 当事業所の訪問リハビリテーション(以下、訪問リハ)は、専任2名(理学療法士)、非専任2名(理学療法士、言語聴覚士)で対応している。令和6年5月の登録利用者数は42名、1日平均27回(1回20分)の訪問リハを提供している。訪問リハは事業所外での活動が主となるため、業務全体のスケジュール調整が重要課題となる。そのためICT機器を駆使して訪問リハのスケジュール管理を行い、いつでも・どこでも、切れ目のない支援が行えるよう業務改善を実施したため以下に報告する。
【現状と課題】
 当事業所は、介護業務支援ソフト「ほのぼのNEXT」と訪問系アプリ「Care Palette Home/Nurse」を活用し、日々の訪問業務を行っている。パソコンとタブレットを活用し、予定や実績、記録や連絡の共有も円滑に行えている。しかし、専任・非専任による訪問体制と訪問リハ件数の調整、訪問リハに関連する様々な会議や休日の調整等、スケジュール調整を行うには、上記の予定が記入してあるカレンダーやホワイトボード、メモなど多くの箇所を確認する必要があり、予定が重複しないようにかなりの労力と時間、ストレスを要していた。また事業所に戻らないと予定が確認できず、様々な場面と場所でタイムリーな情報共有が行えないという問題が生じていた。そのため、訪問リハのスケジュール管理一元化を目標に実践計画を開始した。
【実践報告】     期間:令和5年8月~令和6年2月
1. 「ほのぼのNEXT」のスケジュール管理と「Care Palette Home/Nurse」の連携を検討したが、現行の
  システムでは困難であった。
  次にGoogleカレンダー等のスケジュール管理アプリを検討したが、個人情報管理や入力の効率化、
  法人内との連携ができない等の理由から違う手段を模索した。
2. 令和5年9月より、当法人で企業経営を目的とした「NI Collabo」の利用が開始となる。
 「NI Collabo」は業務を可視化でき、パソコン・タブレット・スマートフォンからアクセスできる利点が
  あった。また、スケジュールを日・週・月単位で参照でき、Zoomや社有車などの共有設備も一元管理
  できるという利点もあった。
  そのため、訪問リハのスケジュール管理に特化しているのではないかと有効利用を検証した。
3. 訪問リハのスケジュールを専任2名、非専任2名の個人ごとにタイムテーブルを作成できるか検討した
  が、システムの都合と管理者権限により困難であった。
  そのためスケジュール件名の項目を増やし、職員を色分けで区別化する事とした。
  その結果、一画面でタイムテーブルが表示できるようになり、1日の流れがより分かりやすく把握でき
  るようになった。
4. パソコンでの有効利用が証明されたため、訪問用タブレットとスマートフォンへ当該アプリをインス
  トールした。
  その結果、訪問先や担当者会議、自宅など様々な場面と場所で、タイムロスなくスケジュール確認が
  行えるようになった。
  利用者や家族、ケアマネジャーや他事業所にスムーズに返答ができるようになり、切れ目のない
  サービス提供と業務の効率化が図れた。
  訪問リハ職員同士の休日取得日や会議の予定など双方が把握しやすくなり、スケジュールが重複する
  などのケアレスミスを防止することができた。
5. 訪問リハのスケジュールを管理する上で、事業所医師のスケジュール把握は必須となる。
  「NI Collabo」のスケジュール画面で、当事業所と医師のスケジュールを共有し、同時に閲覧できる
  ようにした。
  Zoomや社有車等の共有設備も共有・閲覧できるようにした。
6. 訪問リハのスケジュールを一元化する事ができたため、訪問予定表作成やホワイトボードへの利用者
  名表示、休みや会議等のカレンダー記入を廃止した。
  業務に費やしていた時間の削減とペーパーレス化につながった。
【まとめ】
 業務改善を行う前段階として、業務の問題点を探り改善点を見出すこと、優先順位を付けて業務整理を行うことが重要だと感じた。また目先の事を解決するのではなく、無理なく長期的に改善するにはどうすべきかを考える事も重要だと感じた。
 他に、業務改善を開始した直後は業務効率の低下を感じた。なぜなら、以前の手順が習慣化されているため、頭で考えるより先に体が動いてしまい、混乱が生じるからである。新たな手順に記憶が塗り替えられる事で業務効率が上がるため、継続する時期が必要だと実感した。
 今回、法人が運用を開始した「NI Collabo」という手段を活用したことで、長期的な運用面での課題と訪問リハのスケジュール管理一元化、リアルタイムな情報共有という課題を解決することができた。目標としていた切れ目のないスケジュール管理と円滑な訪問リハの提供が行えるようになった事が大きな成果であった。またサービスの質が向上した事で、利用者や家族、担当ケアマネジャーの満足度向上、信頼関係の構築につながり、登録利用者数の増加につながるという結果も得る事ができた。
【今後の展望】
 当法人は「NI Collabo」を企業経営目的で運用開始したが、訪問リハが実施した業務改善のプロセスや結果を見て、当初とは違う活用方法に驚いていた。アイデアと進め方次第でいくつもの選択肢が広がるという事が分かった。
 現在、訪問リハのみが「NI Collabo」を活用しているが、法人運用という利点を生かし、各々の事業所運用に反映されることで、他事業所との連携がより強化されると考える。訪問リハが実施した業務改善の内容を法人全体で共有する事が、これからの業務改善にもつながっていくと考えられた。
 今後も業務改善の効果を出すアイデアと進め方を検証しながらPDCAサイクルを回し、更なる業務の効率化を図りたいと思う。