講演情報

[14-O-L004-03]生活向上リハビリテーションが及ぼす成果と課題あなたのしたいことを実現しませんか?

*松岡 篤志1、辻 良太1 (1. 岐阜県 介護老人保健施設 仙寿なごみ野)
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生活行為向上リハビリテーションの成果を報告する。1月1回以上の自宅での動作評価を行い、支援内容の見直しを実施した。その結果をケアマネジャーや他事業所と情報共有した。目標達成の平均は66%であり、ADLもしくはIADLは全症例で向上となった。生活に沿った目標とすることや関わる者全員で同じ方向を向いた事、自宅訪問の際に評価や助言が行えたことが結果を導き出した要因と考える。
【はじめに】 
令和3年度の介護報酬改定にて、通所リハビリテーションにおける生活行為向上リハビリテーション実施加算の見直しが行われ、その取り組みへのハードルは緩和された。これまでの全国的な調査でも算定率は低値であり、当事業所でも研修会受講は修了していたが実績には至っていなかった。当事業所での取り組みから成果、課題を報告する。

【対象者】
令和4年8月から令和5年7月の通所リハビリテーションご利用者6名(要介護者5名、要支援者1名)に対して実施した。4名は短期集中リハビリテーション終了後、1名は生活機能低下確認後、1名は利用開始後に行った。提案した対象者は生活状況、家族背景、本人の意向等を考慮して選定した。

【取り組み】
 生活行為向上リハビリテーション実施にあたって、契約やリハビリテーション会議の場にて目的、内容について本人、家族、ケアマネージャーへ説明を行い、同意を得た。生活行為聞き取りシートを活用して利用者主体となる目標を設定後、生活行為向上リハビリテーション計画を立案、実施した。
 1月に1回以上の自宅での評価を行い、その結果を書面(写真と文章)にまとめ、本人と家族、ケアマネージャーへの情報提供を行った。また、事業所内での情報共有を行い、リハビリテーションメニューや、自主トレーニングの見直しを行った。
 
【結果】







【考察】
 取り組みを開始から6名を対象に実施し、目標達成率は66%であり、全症例においてADLもしくはIADLの向上を確認する事ができた。目標達成率については、目標を設定する際に本人、家族の思いを十分に反映して、達成を目指せる目標とすることで関わる者全員で同じ方向を向けたためと考える。生活動作の向上については、月1回以上の自宅訪問にて通所リハビリテーションでの実施内容を在宅生活へ汎化する事を促進し、目標に関連した評価のみではなく周辺関連動作の評価や助言を行えたためと考えられる。また、訪問頻度が増加したことで家族の話を聴取する時間が増加したことも関与したと考える。

【課題】
 生活行為向上リハビリテーションを実施することで、利用者の活動参加レベルの向上、家族支援、収益増加が期待できる。生活行為という点からは全利用者を対象に進めて行きたいが、要件から逸脱する場合や、マンパワーを要すること、ケアマネージャー・家族等の理解度により実施困難な事例も少なくない。事業所主体で選定、提案を行うことで事例を積み重ねていき、通所リハビリテーションの主軸となるサービスになるよう継続していきたい。