講演情報
[14-O-L005-06]体力測定のリニューアル、運用と検証
*笠原 健稔1、大兼政 亮起1、小岩 晴香1、寺澤 翔也1 (1. 長野県 社会福祉法人 サン・ビジョン 大型デイケアセンター グレイスフル下諏訪)
当施設の事業計画にて新たな運動メニューの提供として体力測定を開始した。測定項目の目的や測定結果の変化にどのような対応するか不明であった。そこで過去の実施状況を調査し、体力測定の課題抽出をした。体力測定や自身の身体、健康について関心が少ないことが分かった。そこで体力測定の見直しのために測定項目の選択、測定後の対応、今後の運用を検討した。対応、運用方法が利用者、職員、双方に有効であると考えた。
はじめに当施設の2022年度事業計画ではリハビリテーション、運動の成果の可視化を目的に新たな運動メニューの一環として体力測定を計画した。2022年1月より開始し、2022、2023年度で合計4度開催した。体力測定の内容等は決定しているが測定項目の目的や測定結果の変化にどのような対応するかは決まっておらず、利用者それぞれのニーズに沿った内容で運用されていたか不明であった。そこで過去4回分の実施状況を主観的、客観的に調査、分析し、体力測定の課題抽出をした。さらに今年度、体力測定開催に向けてどのような項目を選択し、測定後はどのように対応するか、今後どのように体力測定を運用していくかを検討した。対応、運用方法が利用者、職員、双方に有効であると考え、今後の展望含め、ここに報告する。方法記録媒体より過去4回分の参加者数、継続参加の割合を集計し、測定項目について調査した。体力測定の参加名簿に沿って現在も通所している利用者へアンケートを行った。アンケートの内容は1体力測定を覚えているか2なぜ参加しようと思ったか3次回の体力測定では何を測定してほしいか3つの質問を行った。また3の質問では歩行、姿勢、体力、筋力、バランスの中から選択形式にした。アンケートは口答聴取で行い、回答内容の集計を行った。アンケートを基に体力測定の内容を職員間で検討した。事前準備、当日の運営についても検討し、開催した。リニューアルした体力測定での参加者数、継続参加の割合も集計した。結果過去4回の総参加者数は74名。1回目33名、2回目35名、3回目33名、4回目33名であった。4回を通して1回のみは38名、2回15名、3回13名、4回4名であった。継続して参加した人数は1回目から2回目は28名、2回目から3回目は17名、3回目から4回目は10名であった。体力測定の項目は身長、体重、片脚立位を実施していた。アンケートの対象となる現在も通所している利用者は57名であり、アンケートには53名が回答した。1体力測定を覚えているかでは測定項目を具体的に回答出来る人は55%、あやふやな回答や覚えていないといった回答は45%であった。2なぜ参加しようと思ったのかでは自身の健康や身体について知りたいという回答が53%、当日誘われたら参加した、特にないといった体力測定に対して前向きでない回答が47%であった。3次回の体力測定で何をしてほしいかでは歩行17名、姿勢6名、体力6名、筋力18名、バランス11名、全部14名、特になし5名であった。筋力、歩行が多数であり、上記2項目での実施について検討した。筋力では立ち上がりテストを行い、回数及び修正Borgスケールを用いて測定した。歩行では10m歩行テストを行い、歩行速度、歩数、前額面、矢状面の歩容の撮影をタブレットで行った。当日までの企画、準備では効率的な開催方法と測定結果の振り返り方法について重点的に検討した。効率的な開催方法については会場での混雑や待機時間の延長が予測されるため事前に午前、午後に実施する利用者を割り振った。また体力測定を担当する職員が会場から離れて誘導するといったことが無いよう他職員へ誘導を依頼した。さらに測定会場ではスムーズに行えるようなレイアウトを作成した。測定結果の振り返り方法については当日中に振り返りをする方法を検討した。結果表を作成し、申し込みのあった利用者分は事前に印刷し、当日の結果は手書きで記入し、配布した。結果表を記載している職員とは別の職員は利用者と撮影した歩容の視聴し、振り返りを行った。結果表は測定結果、年齢別の平均値、修正Borgスケールの説明を記載した。2024年4月15日より体力測定開催の周知及び申し込みを開始し、体力測定は2024年5月8日に開催した。事前の申し込みは43名、当日の参加希望者は5名、合計48名の申し込みがあった。48名のうち、当日2名がお休みであり、その他の46名の利用者は当日中に測定を行い、結果表をお渡しする事が出来た。考察・まとめ過去4回の参加者数では4回ともに大きな変化はなく、4回を通しての参加、継続参加は減少傾向であった。利用者の参加状況においては客観的に減少傾向であることが分かり継続的に参加を希望するといった利用者が少ないと考えられる。アンケートにおいても1体力測定を覚えているか2なぜ参加しようと思ったのかどちらも半数近くの回答で関心が少ない意見があった。過去4回の体力測定では利用者の興味や関心を引くような内容、取り組みでなく参加者数の減少傾向が生じたと考えられる。利用者自身が興味のある内容に変更し、開催することで参加者数が前回より増加したと考えられる。事前申し込みの時点で前回の参加数より多いことが確認出来たため当日までの準備、当日の段取りを入念に検討した。当日は46名の測定が完了し、結果表を配布することが出来た。また結果表はデータ管理することで次回以降の測定結果と比較することが容易になり、職員、利用者どちらにも有効な手段である。現在、当施設ではリハビリ相談会というイベントを毎月行っている。内容は15分ほどの個別リハビリであり、評価、治療、自主練習の指導を行っている。今後、体力測定を定着、充実した内容にしていくため体力測定は3か月置きにリハビリ相談会の代わりとして行うこととした。さらに体力測定へ参加した利用者にはリハビリ相談会への参加を積極的に促した。目的は体力測定で明確になった問題点、課題に対してリハビリ相談会で評価、治療していくことで次回の体力測定までの明確な運動プログラムの立案、自主練習の指導を進めることが出来ると考えた。今年度は体力測定をさらに3回開催し、リハビリ相談会とセットでの参加を図る。また体力測定、リハビリ相談会を継続的に参加することで満足度、身体機能、測定結果の変化がどのように生じるのか2025年老健大会での発表に向けて調査、分析していく。