講演情報
[14-O-L006-05]装具作製クエスト~当施設での装具作製までの道のり~
*沢井 裕一1 (1. 神奈川県 介護老人保健施設けいあいの郷今宿)
当施設にて装具作製の要望があった事例に対し、これに応えるとともに現状での当施設での装具作製方法を構築する事を目的に行動した過程を紹介する。老健入所者における装具作製の可否を調べ、当施設での現実的な装具作製の方法について整理した。そして、本事例に装具作製に関する説明を行い、協力と同意を得られた事により装具作製を実施した。これに倣うことを、現状での当施設における装具作製方法として確立できたと考える。
【はじめに】
介護老人保健施設(以下、老健)を含む生活期リハビリテーションにおいて装具に関する取り組みは課題の一つとされている。
当施設においても入所者への装具作製の前例がなく、作製の実施はリハビリ課の課題となっている現状があった。
また、当施設は併設保険医療機関を持たない単独型の老健であり、装具作製に関する診療科や義肢装具士との連携が図りにくい状況である。
このような現状の中、脳出血後遺症により重度の片麻痺を呈し、歩行困難な状態やADLの低下を認めた入所者とご家族から「歩行訓練を実施するための下肢装具を作製したい」という要望があった。
この要望に応えるとともに、この機会を利用することで当施設での装具作製の方法を確立することができるのではないかと考えた。
今回、装具作製における方法と手順の調査および整理を行い、前述した入所者への装具作製を実践した。
その結果、現状における当施設での装具作製方法をまとめることができたので、これを紹介する。
なお、現時点での装具作製の取り組みについては、入所者やご家族のニーズがあった場合にのみ作製を検討していくことを前提とする。
【目的】
老健入所者に対する装具作製の可否の段階から調査し、作製可能であれば方法や手順を整理する。
現状で可能な装具作製方法があれば、これを活用して今回の事例に対して装具を作製する。
【問題点】
(1)装具作製には様々な方法や給付制度があるが、老健入所者がこれらを利用できるかどうかを把握していない現状があった。
(2)老健入所者への装具作製が制度上にて可能であることが確認できたとしても、当施設での実現可能な装具作製の方法がなければ作製には至らない。
また、リハビリ課だけでなく、他職種との連携が必要になってくる。
(3)当施設での実現可能な装具作製の方法があったとしても、入所者やご家族の同意と協力がなければ作製できない。
【問題点に対する解決方法】
(1)地方自治体が発行している装具作製における手引き等を閲覧し、装具作製における様々な作製方法、給付制度、給付制度における優先順位を確認した。
また、装具作製の判断は医師によるものであるため、病院への受診や更生相談所の判定が必要となることが分かった。
これらの情報から、老健入所者では「装具作製が可能な病院への外来受診」が作製方法の一つとしてあるのではないかと考えた。
ただし、老健入所者が病院への外来受診により給付制度が利用できるかどうか、医療保険を利用することになるが老健側の金銭的負担が生じるかどうかが不透明であったため、これらの疑問を全国老人保健施設協会に問い合わせた。
回答を得ることができ、老健入所者でも制度上にて可能で、装具作製に関わる受診で老健側への金銭的負担はないということが確認できた。
(2)老健での主な作製方法においては医療保険を利用した治療用装具の作製、障害者総合支援法(身体障害者手帳)を利用した更生用装具の作製、自費による装具の作製であることが確認できた。
また、当施設における実現可能な装具作製の方法は「装具作製が可能な病院への外来受診」であると判断した。
ただし、給付制度を利用する場合は優先順位を考慮して作製を検討する必要があることが分かった。
外来での装具作製について、リハビリ課より施設長(医師)・事務課・支援相談員・介護支援専門員等に方法や手順を説明し連携を図る事で、病院受診に向けての事前準備の整理を行なった。
(3)装具作製について、入所者やご家族より様々な疑問や不安が生じることが想定される。
そのため、リハビリ課は装具作製に関して利用できる給付制度、装具の必要性、装具の種類や構成、選定した装具にかかる費用の概算、外来受診で装具作製が可能な病院の選定、使用できる可能性のある助成制度等を事前にまとめ、入所者やご家族に説明する。
また、ご家族には利用した給付制度に関する申請手続きや外来受診時の付き添いや送迎等、多大な協力が必要な事も併せて説明する。
これらの事を入所者やご家族に対して十分に説明し、同意を得られた場合に作製を実施していく。
【結果】
老健入所者への装具作製は可能であり、当施設での「病院への外来受診による装具作製」の方法や手順の整理ができた。
また、今回の事例に対して方法と手順を説明し、協力と同意を得て装具作製を実施した。
要望を受けて約3ヶ月後に医療保険を利用した長下肢装具を作製することができた。
【考察】
リハビリ課を中心に他職種と連携することにより、当施設での「病院への外来受診による装具作製」の方法が確立できたと考えている。
しかし、当施設にて前例がなく、装具作製の方法や手順等を模索する必要があったため、作製の要望があってから完成するまでにかなりの時間を要した事は今回の反省点となった。
また、装具の修繕や調整が必要な時の迅速な対応、入所者の退所後におけるアフターフォローの方法については明確化できていないため、今後の課題としたい。
介護老人保健施設(以下、老健)を含む生活期リハビリテーションにおいて装具に関する取り組みは課題の一つとされている。
当施設においても入所者への装具作製の前例がなく、作製の実施はリハビリ課の課題となっている現状があった。
また、当施設は併設保険医療機関を持たない単独型の老健であり、装具作製に関する診療科や義肢装具士との連携が図りにくい状況である。
このような現状の中、脳出血後遺症により重度の片麻痺を呈し、歩行困難な状態やADLの低下を認めた入所者とご家族から「歩行訓練を実施するための下肢装具を作製したい」という要望があった。
この要望に応えるとともに、この機会を利用することで当施設での装具作製の方法を確立することができるのではないかと考えた。
今回、装具作製における方法と手順の調査および整理を行い、前述した入所者への装具作製を実践した。
その結果、現状における当施設での装具作製方法をまとめることができたので、これを紹介する。
なお、現時点での装具作製の取り組みについては、入所者やご家族のニーズがあった場合にのみ作製を検討していくことを前提とする。
【目的】
老健入所者に対する装具作製の可否の段階から調査し、作製可能であれば方法や手順を整理する。
現状で可能な装具作製方法があれば、これを活用して今回の事例に対して装具を作製する。
【問題点】
(1)装具作製には様々な方法や給付制度があるが、老健入所者がこれらを利用できるかどうかを把握していない現状があった。
(2)老健入所者への装具作製が制度上にて可能であることが確認できたとしても、当施設での実現可能な装具作製の方法がなければ作製には至らない。
また、リハビリ課だけでなく、他職種との連携が必要になってくる。
(3)当施設での実現可能な装具作製の方法があったとしても、入所者やご家族の同意と協力がなければ作製できない。
【問題点に対する解決方法】
(1)地方自治体が発行している装具作製における手引き等を閲覧し、装具作製における様々な作製方法、給付制度、給付制度における優先順位を確認した。
また、装具作製の判断は医師によるものであるため、病院への受診や更生相談所の判定が必要となることが分かった。
これらの情報から、老健入所者では「装具作製が可能な病院への外来受診」が作製方法の一つとしてあるのではないかと考えた。
ただし、老健入所者が病院への外来受診により給付制度が利用できるかどうか、医療保険を利用することになるが老健側の金銭的負担が生じるかどうかが不透明であったため、これらの疑問を全国老人保健施設協会に問い合わせた。
回答を得ることができ、老健入所者でも制度上にて可能で、装具作製に関わる受診で老健側への金銭的負担はないということが確認できた。
(2)老健での主な作製方法においては医療保険を利用した治療用装具の作製、障害者総合支援法(身体障害者手帳)を利用した更生用装具の作製、自費による装具の作製であることが確認できた。
また、当施設における実現可能な装具作製の方法は「装具作製が可能な病院への外来受診」であると判断した。
ただし、給付制度を利用する場合は優先順位を考慮して作製を検討する必要があることが分かった。
外来での装具作製について、リハビリ課より施設長(医師)・事務課・支援相談員・介護支援専門員等に方法や手順を説明し連携を図る事で、病院受診に向けての事前準備の整理を行なった。
(3)装具作製について、入所者やご家族より様々な疑問や不安が生じることが想定される。
そのため、リハビリ課は装具作製に関して利用できる給付制度、装具の必要性、装具の種類や構成、選定した装具にかかる費用の概算、外来受診で装具作製が可能な病院の選定、使用できる可能性のある助成制度等を事前にまとめ、入所者やご家族に説明する。
また、ご家族には利用した給付制度に関する申請手続きや外来受診時の付き添いや送迎等、多大な協力が必要な事も併せて説明する。
これらの事を入所者やご家族に対して十分に説明し、同意を得られた場合に作製を実施していく。
【結果】
老健入所者への装具作製は可能であり、当施設での「病院への外来受診による装具作製」の方法や手順の整理ができた。
また、今回の事例に対して方法と手順を説明し、協力と同意を得て装具作製を実施した。
要望を受けて約3ヶ月後に医療保険を利用した長下肢装具を作製することができた。
【考察】
リハビリ課を中心に他職種と連携することにより、当施設での「病院への外来受診による装具作製」の方法が確立できたと考えている。
しかし、当施設にて前例がなく、装具作製の方法や手順等を模索する必要があったため、作製の要望があってから完成するまでにかなりの時間を要した事は今回の反省点となった。
また、装具の修繕や調整が必要な時の迅速な対応、入所者の退所後におけるアフターフォローの方法については明確化できていないため、今後の課題としたい。