講演情報

[14-O-L006-07]シン・時代のリハビリテーション~ロボティクスを活用した訓練定着への取り組み~

*大西 健太1、清水 陽平1、中込 俊太1、山田 覚1、田中 美有1、清水 空1 (1. 山梨県 介護老人保健施設フルリールむかわ)
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当施設は、最先端のロボティクス技術を駆使したリハビリテーション機器(以下リハ機器)と従来の個別訓練と融合させ、訓練効果の最大化を図っている。更に、経験の浅いスタッフでも高い効果を出せる方法を模索し、最低品質保障としてリハ機器の使用定着を図った。この取り組みにより、訓練方法の統一が進み、利用者の機能改善が顕著にみられた。リハ機器の効果を最大限に引き出すために体制構築と、その成果について報告する。
【はじめに】
当施設では、最先端のロボティクス技術を取り入れたリハビリテーション機器(以下リハ機器)と、従来の個別訓練を融合させた訓練(以下スマートリハ)を導入している。これにより、リハビリテーション効果の最大化を目指している。またリハ機器導入により、ホームページやSNSを通じてリハビリテーション目的の利用者が増加している。老健での個別訓練は1回20分と介入時間が限られているため、スマートリハを実施することで効率的かつ効果的な訓練を提供している。
しかし、経験の浅いリハスタッフや中途採用のリハスタッフの機器使用頻度に差があることが課題として挙げられた。この課題解決に向けた取り組みを報告する。
【取り組み内容】
リハ機器と個別訓練の融合
従来のリハビリテーションに加え、最新のロボティクス技術を活用することで、訓練効果を最大限に引き出すことを目指した。各リハスタッフは、利用者の身体評価に基づき、最適なリハ機器を選定し、個別訓練と組み合わせて使用することで、機能改善を図っている。
最低品質保証を担保するための模索
経験の浅いリハスタッフでも高い効果を出せる方法を模索し、最低品質保障としてスマートリハを導入した。これにより、リハビリテーションの質を一定以上に保つことができ、リハスタッフ全員が統一した訓練方法を実施できるような体制を構築した。
フローチャートの作成と研修会の実施
リハ機器の使用方法とその効果について、使用方法は理解できたが、適応や効果が曖昧で使用を見送っているという意見が聞かれた。そこで、リハスタッフ全員がリハ機器について理解し、統一した訓練方法を実施できるよう、詳細なフローチャートと研修会を実施した。これらにより、リハスタッフ間での使用頻度のばらつきを減少させ、リハ機器の使用頻度向上を図った。
訓練マニュアルの整備
リハ機器の使用に至らない理由として、リハ機器の訓練バリエーションが多く、リハスタッフ間で使用方法が大きく異なっていた。その為、経験の浅いリハスタッフや中途採用のリハスタッフはリハ機器を使用するハードルが高くなっていた。そこで、使用方法を示すマニュアルを作成し、各機器の近くに掲示した。これにより、経験の浅いリハスタッフや中途採用のリハスタッフでもリハ機器を簡単に使用できる環境を整えた。
定期的な評価とフィードバック
リハ機器の使用頻度と効果を定期的に評価し、その結果をフィードバックすることで、訓練方法の改善と効果の向上を図った。
【結果】
取り組み前のリハ機器使用頻度は1日平均2回、2種類程度と、使用頻度が低かった。取り組み後は1日平均6回、5種類以上とリハ機器の使用頻度が増加した。それに伴い、利用者の機能改善が顕著に見られるようになった。特に、立ち上がりや歩行などの基本的動作の改善が多くの利用者で見られた。
【まとめ】
ロボティクス技術を取り入れたリハビリテーション機器と従来の個別訓練を融合させることで、訓練効果の最大化が実現した。フローチャートとマニュアルの整備により、リハスタッフ全員が統一した方法でリハ機器を使用できるようになり、使用頻度や使用機器の種類も増加した。その結果、利用者の身体機能の改善が見られる事で、更にリハ機器使用に対し積極的になり、リハ機器の使用定着が図れた。また、経験の浅いリハスタッフでも高い効果を出せる方法を模索し、最低品質保障としてスマートリハを導入したことで、リハビリテーションの質を一定以上に保つことができた。今後も継続的な改善を図り、より効果的なリハビリテーションを提供していく。