講演情報
[14-O-L007-05]老健入所者に対するリハタイムゼリー摂取の可能性~シングルケースABAデザインでの比較~
*浦野 篤1、横沢 明美1、原 瑞恵1 (1. 長野県 介護老人保健施設ハーモニー)
近年QOL維持向上に口腔・栄養管理の重要性が広く示され、令和6年度の社会保険報酬改定でも医療から在宅サービスでの情報共有からアプローチまですべてのフェーズで注目を浴びている。当施設でも、リハ栄養でのQOL向上を図り、老健の役割強化を図りたいと考えている。老健入所者1症例に対し、BCAAを多く含んだ栄養補助食品であるリハタイムゼリーを8週間摂取し、身体機能への変化を調査したため報告する
【目的】
近年QOL維持向上に口腔・栄養管理の重要性が広く示され、令和6年度の社会保険報酬改定でも医療から在宅サービスでの情報共有からアプローチまですべてのフェーズで注目を浴びている。その口腔栄養管理とともに運動療法を組み合わせることでQOLを最大限向上させるというものがリハビリテーション栄養(以下、リハ栄養)の定義である。当法人の介護老人保健施設(以下、老健)は超強化型の老健として在宅復帰促進に力を入れており、口腔栄養リハの一体的取り組みにおいても効果を検討していきたいと考えている。
リハ栄養については、回復期病院での取り組みが多く散見され、身体機能の向上促進やADL向上効果があるといわれている。しかし、老健でのリハ栄養の取り組み、その中でも通常の食事に栄養補助食品をプラスして効果をみた報告は散見されない。
分岐鎖アミノ酸(以下、BCAA)摂取は筋肉のたんぱく質合成を促進し、筋肉分解を抑制することが知られている。また、高齢者になるにつれ、筋たんぱく質合成の低下、分解促進がおこりそれによる身体機能低下、ADL低下などにつながることも大きな問題としてある。
そこで今回、老健入所者1症例に対し、BCAAを多く含んだ栄養補助食品であるリハタイムゼリーを8週間摂取し、身体機能への変化を調査したため報告する。
【方法】
症例は、70代女性、要介護1、障害自立度A2、既往歴に糖尿病、左変形性膝関節症、高血圧症、認知症があり、食事は糖尿病食で1日1400Kcal提供していた。リハは週3回介入で主にエルゴメーター、作業提供を行った。また今回の介入にあたり、リハプログラムは以前と同様のプログラム・時間で行った。リハタイムゼリーは毎日1本、15時に摂取とし、市販されている4種類の味のどれかを提供した。シングルケースABAデザインにて、A:通常の食事、B:リハタイムゼリー摂取(8週間)、A’:通常の食事(8週間)での各期の体重、血清アルブミン値(以下、Alb)、下腿最大周径(以下、CC)、6分間歩行距離(以下、6MWD)、Short Physical Performance Battery(以下、SPPB)、両大腿直筋の筋輝度(以下、EI)を測定した。EIは汎用超音波画像診断装置(GEヘルスケア・ジャパン社製)を使用し撮影した。測定位置は、上前腸骨棘から大腿骨外側上顆の中点とした。得られた画像は画像解析ソフトImageJ(National Institutes of Health)を使用し、モノクロ256階調にて評価した。
【倫理的配慮】
本調査への参加は自由意志であること、調査途中であっても中止できること、個人情報を適切に保護することを説明し同意を得た。
【結果】
全期間中の食事摂取は全量摂取、そしてリハタイムゼリーは全56日中47日間摂取され、摂取率83%であった。体重(Kg):A59.6、B59.9、A‘59.1、Alb(g/dL):A3.7、B4.3、A‘4.1、CC 右/左(cm):A32.5/33.0、B34.0/34.0、A‘33.5/33.5、6MWD(m):A317、B483、A‘471、SPPB(点):A10、B10、A‘10、EI 右/左:A66.4/78.8、B54.1/57.7、A‘63.5/73.5であり、A→Bで栄養指標としてAlbの向上、運動耐用能として6MWDの向上、筋量としてCCの向上、筋質としてEIの向上がみられた。
【考察】
今回の結果より、通常のリハ介入に加えBCAA摂取をすることで筋機能向上だけでなく、短期間の運動耐用能の増加と栄養状態の改善が図れたと考えられた。しかし、体重変化はなく、今回の栄養負荷はリハタイムゼリーのみで、体重増加につながる月7000Kcalの半分量程度であったことが要因と考えられた。また、8週間リハタイムゼリー摂取を促したが、味に飽きてしまい摂取できないことも多々みられた。継続的に行うには食事量を増加させるという対応を検討していく必要があった。
近年QOL維持向上に口腔・栄養管理の重要性が広く示され、令和6年度の社会保険報酬改定でも医療から在宅サービスでの情報共有からアプローチまですべてのフェーズで注目を浴びている。その口腔栄養管理とともに運動療法を組み合わせることでQOLを最大限向上させるというものがリハビリテーション栄養(以下、リハ栄養)の定義である。当法人の介護老人保健施設(以下、老健)は超強化型の老健として在宅復帰促進に力を入れており、口腔栄養リハの一体的取り組みにおいても効果を検討していきたいと考えている。
リハ栄養については、回復期病院での取り組みが多く散見され、身体機能の向上促進やADL向上効果があるといわれている。しかし、老健でのリハ栄養の取り組み、その中でも通常の食事に栄養補助食品をプラスして効果をみた報告は散見されない。
分岐鎖アミノ酸(以下、BCAA)摂取は筋肉のたんぱく質合成を促進し、筋肉分解を抑制することが知られている。また、高齢者になるにつれ、筋たんぱく質合成の低下、分解促進がおこりそれによる身体機能低下、ADL低下などにつながることも大きな問題としてある。
そこで今回、老健入所者1症例に対し、BCAAを多く含んだ栄養補助食品であるリハタイムゼリーを8週間摂取し、身体機能への変化を調査したため報告する。
【方法】
症例は、70代女性、要介護1、障害自立度A2、既往歴に糖尿病、左変形性膝関節症、高血圧症、認知症があり、食事は糖尿病食で1日1400Kcal提供していた。リハは週3回介入で主にエルゴメーター、作業提供を行った。また今回の介入にあたり、リハプログラムは以前と同様のプログラム・時間で行った。リハタイムゼリーは毎日1本、15時に摂取とし、市販されている4種類の味のどれかを提供した。シングルケースABAデザインにて、A:通常の食事、B:リハタイムゼリー摂取(8週間)、A’:通常の食事(8週間)での各期の体重、血清アルブミン値(以下、Alb)、下腿最大周径(以下、CC)、6分間歩行距離(以下、6MWD)、Short Physical Performance Battery(以下、SPPB)、両大腿直筋の筋輝度(以下、EI)を測定した。EIは汎用超音波画像診断装置(GEヘルスケア・ジャパン社製)を使用し撮影した。測定位置は、上前腸骨棘から大腿骨外側上顆の中点とした。得られた画像は画像解析ソフトImageJ(National Institutes of Health)を使用し、モノクロ256階調にて評価した。
【倫理的配慮】
本調査への参加は自由意志であること、調査途中であっても中止できること、個人情報を適切に保護することを説明し同意を得た。
【結果】
全期間中の食事摂取は全量摂取、そしてリハタイムゼリーは全56日中47日間摂取され、摂取率83%であった。体重(Kg):A59.6、B59.9、A‘59.1、Alb(g/dL):A3.7、B4.3、A‘4.1、CC 右/左(cm):A32.5/33.0、B34.0/34.0、A‘33.5/33.5、6MWD(m):A317、B483、A‘471、SPPB(点):A10、B10、A‘10、EI 右/左:A66.4/78.8、B54.1/57.7、A‘63.5/73.5であり、A→Bで栄養指標としてAlbの向上、運動耐用能として6MWDの向上、筋量としてCCの向上、筋質としてEIの向上がみられた。
【考察】
今回の結果より、通常のリハ介入に加えBCAA摂取をすることで筋機能向上だけでなく、短期間の運動耐用能の増加と栄養状態の改善が図れたと考えられた。しかし、体重変化はなく、今回の栄養負荷はリハタイムゼリーのみで、体重増加につながる月7000Kcalの半分量程度であったことが要因と考えられた。また、8週間リハタイムゼリー摂取を促したが、味に飽きてしまい摂取できないことも多々みられた。継続的に行うには食事量を増加させるという対応を検討していく必要があった。