講演情報

[14-O-P201-05]スタッフの自己研鑽への取り組み

*石黒 賢一1 (1. 神奈川県 リハリゾートアオバ)
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様々な負担の増加、ストレスチェックからの課題解決にむけてスタッフの自己研鑽について取り組みを開始。活性化させた事で新たな教育体制や業務改善に繋がった。
当施設は2か所の事業所を運営、ユニット型40名、従来型66名 計106名の施設である。
在宅復帰者の増加、施設生活上の御利用者や御家族からの多様なニーズに対する対応の負担増加、
またストレスチェックから見えるスタッフの仕事の適性やワークエンゲージメントを高める為、職員の自己研鑽への取り組みを開始。
活性化させた事で新たな教育体制や業務改善に繋がった為、報告する。
研究目的
各リーダーと相談し、希望のある研修や学習分野を選択し個々で学習。
研究対象、リーダー8名
研究機関 2023年11月~2024年5月
具体的取組
昨年から在宅復帰に伴う入退所が増加傾向となり、多様なニーズの把握と解決、リーダー職からスタッフへの周知、指導等、更に業務の時間や負担が増加。
様々なニーズの対応の中ですぐには解決が難しい事も増える為、職員の悩みや不安の増加に繋がる様子も見られた。
また昨年のストレスチェックの結果から仕事の適性や職員が仕事において、ポジティブな状態かを指すワークエンゲージメントが低下している結果が示された。アンケート、聞き取りの結果、漠然とした自身のキャリアの不安や能力向上に関する不安が多く聞かれた。
各リーダーと話し合いリーダーの悩みや希望の確認、自身のキャリアを含めた上での研修や学びを検討し希望のものに順次参加するよう手配した。
内容として認知症実践リーダー研修、発達障害関連研修、メンタルヘルス・心理学関連研修、マイクロソフト関連(MOS)研修等、オンライン研修を中心に受講しやすい環境に整え、すき間時間で学習しやすい環境とした。
個々に希望した学習の為、関心度も高く、学んだ内容をどのように日頃の業務に活かせるか等の相談もあり、フロアスタッフへの指導時に活用したり、スタッフへのフォローや課題のあるスタッフとの関わる時の指導方法に活用する事ができた。マイクロソフト関連の学習をしたスタッフは業務改善として分かりやすくデータ化する事で、各スタッフに負担が掛からず、分かりやすいデータを作る事で無駄な紙の書類の削減と効率的な情報共有をする事ができた。
結果及び考察
今回リーダーを中心に自己研鑽の機会を積極的に行う事で個々の意識に変化が見られた。
現状の課題についての学び、また自身のキャリアを考えた上での学び等、自分自身から学ぶ意識や機会が減っており、現状に満足している傾向があった。またコロナ以降、外部研修の機会も減り更に学ぶ機会が減った為、こちらから学ぶ機会を増やす必要があり各リーダーからの希望を聞き、自ら受講する事で意識の変化が見られた。
開始当初は負担が増えた様子やスケジュール管理が上手くいかず受講が進まない様子もあったが、各フロアスタッフへ説明し学習する時間の確保、業務改善を継続してできた空き時間の利用をする事で徐々に受講する時間の確保が可能となり、自ら学ぶ習慣を身につける事ができた。
学習していく事でどのように普段の業務に活かすか、考える機会が増え、より業務に対して様々な視点で考える事が増え、モチベーションアップにも繋がった。また学習しているリーダー同士で個々の学習について話す機会が増え、例として心理学関連の学習をしているリーダーは精神的に不安定な面があるスタッフに対し、どのようなアプローチや声掛け、指導をした方がよいか学んだ事を根拠とし、アドバイスを行ったり紙ベースが多い書類業務についてはマイクロソフト関連の学習をしているスタッフにどのようにデータ化すればよいか、またデータ化の依頼をする等、お互いの学習内容を共有し活用しあう場面も見られた。
相互に学習内容を理解する事で、学習した内容の担当のような形になり、必要な知識や技術を活かす事ができた。このような相互で学習した内容を活用する事で学習に対する意欲も高まり、更なる自己研鑽に繋がる事になると考える。
また自身が学んだ事をすぐに活かす事ができ、他のリーダーへ言語化して伝える事は学習した内容の復習、自身の役割が持てたという自身にも繋がり、これも更なる自己研鑽に繋がる要因となった。
今回メンタルヘルス、発達障害関連、心理学関連等、スタッフとの関わりに対しての学習を希望するリーダーが多かった。話しを聞くと、様々な性格や特徴、年齢や環境等、多様なスタッフがおり個々に合わせた指導の必要性、また危機感を感じていた。学習内容が指導方法に役立つか評価は必要であるが、課題に対して学ぶという姿勢ができた事、リーダーが指導に対して悩みや課題を持ち、学ぶ事で不安の解消に繋がる為、結果として仕事においてのストレスの解消に繋がると考える。
まとめ
今回はコスト面や進捗状況の把握と評価を考えリーダー限定で自己研鑽の機会を作った。
自ら学ぶ機会が減り、学習する意欲が低下している中、希望を聞き学ぶ意欲を高める事は多岐に渡る御利用者からのニーズへの対応、介護の仕事を行う上で自身のキャリアや方向性を示す1つの指標のようにすることができ、何より学ぶ事の重要性を各リーダーが体験できた事は大きな収穫となった。
自身の将来を不安視する声も多くあり、キャリアを見据えて自己研鑽をする事で将来への不安の軽減と今後の自信に繋がる可能性もある。今後、リーダーだけでなく一般スタッフも実施する事で能力向上、ストレス軽減に繋がる可能性がある為、計画し実施していく。