講演情報
[14-O-P202-04]学びの定着に向けたアウトプット研修~根拠を語れる専門職の育成~
*中井 瑛美1 (1. 京都府 老人保健施設いわやの里)
令和4年度、自施設の教育的課題は、研修で得た学びが実践に活かされず、学びの定着に至っていないことであった。根拠を持ったケアの実践ができる専門職員を育成するために、次年度からの研修のあり方を検討しアウトプットを意識した研修構成にした。その結果、行っている支援に対し根拠を語れる力や、指導力(OJT)に対する意欲など、実践能力の向上に効果がみられたため、その取り組みについて報告する。
【はじめに】
当施設では介護業務を細分化し、間接介護を行う職員を配置することで、より介護の専門性が発揮できる環境に近づけている。令和4年度、自施設の教育的課題は、研修で得た学びが実践に活かされず、学びの定着に至っていないことであった。根拠を持ったケアの実践ができる専門職員を育成するために、次年度からの研修のあり方を検討しアウトプットを意識した研修構成にした。その結果、行っている支援に対し根拠を語れる力や、指導力(OJT)に対する意欲など、実践能力の向上に効果がみられたため、その取り組みについて報告する。
【目的】研修での学びを定着させ、根拠を語れる専門職員を育成する。
【実施期間】令和5年4月~令和6年現在
【対象職員】
介護役職者、リハビリ役職者、看護・介護職レベル3職員
レベル3とは:施設におけるラダー評価で、レベル3職員は、スタッフの教育および、知識を統合的に用い、新たな知識として発展させることを求めている。
【方法】
1)自施設の内部研修計画に沿った、研修テーマに該当する専門職が講師となり研修を行う。 受講職員は上記対象職員。
2)受講した職員2~3名で、未受講の職員を振り分け研修予定表を作成する。 (業務内で複数の職員が参加できるように、1日に2~3回に分けて開催する。)
3)1)を受講した職員が講師として研修を行う。
4)対象職員に対し意識調査の上、研修方法について評価、見直しを行う。
【結果】
1.意識調査の結果
1)研修受講後に講師(伝達)を行い、学びの定着に変化はみられましたか
令和5年9月(n=15) はい 6名(40%) いいえ0名(0%) どちらともいえない 9名(60%)
令和6年4月(n=18) はい11名(61.1%)いいえ1名(5.5%)どちらとも言えない 6名(33.3%)
・一度自分の頭の中で情報を整理する必要があるのでそれにより理解が深まった。
・いつも以上に研修を受ける姿勢が良くなった。
・伝達するときに分かりやすく説明しようと学んだことを理解しようと心掛ける様になった。
・自分の言葉で伝える事ができ頭に残った。
・どうすれば人に伝わるのかという所まで考えるので学びは定着しやすいかと思った。
2)研修後(講師(伝達)以外)に日常で学んだ事を他の職員へ伝える機会がありましたか
令和5年9月(n=15) はい 5名 いいえ 7名 どちらともいえない 3名
令和6年4月(n=18) はい 8名 いいえ 5名 どちらとも言えない 5名
・一度講師をすることで言語化しているのでアウトプットしやすかった。
3)講師(伝達)を行なう上で困った点はありますか
令和5年9月(n=15) はい10名(66.7%) いいえ3名(20%) どちらともいえない2名(13.3%)
令和6年4月(n=18)はい8名(44.4%) いいえ8名(44.4%) どちらとも言えない2名(11.1%)
・直近で講師の予定が入っておりもう少し早めにスケジュールを知りたかった。
・伝達するときに何を重要とするのか、初めの講義の中でポイントを強調してほしい。
・準備期間が短い、講師により伝えることに違いが出てくるのではないかと感じる。
4)研修での学びを現場で活かすことができていますか?
令和5年9月(n=15) はい9名(60%) いいえ0名(0%) どちらともいえない6名(40%)
令和6年4月(n=18) はい 14名(77.8%) いいえ0名(0%) どちらとも言えない4名(22.2%)
・意識し活かそうと努めている
・人に伝えるという部分で自分である程度理解していないといけない分、自分の頭に入りやすく 結果現場で活かす事が出来ると思う。
2.研修内容の評価、見直し
令和5年9月の意識調査の結果から、令和6年度はスケジュール管理や研修の方法2)の実施方法を変更し、基礎となる研修方法を見直しオンライン研修を活用した。
【考察】
アウトプットを用いた研修方法は、インプットした知識を、集合型研修でアウトプットすることでその知識を定着させ、実践につなげられることが分かった。業務スタイルに合わせた研修時間や回数を設定することで、より多くの職員が対面で受講でき、複数の講師であってもアウトプットをする機会が確保できた。今回の取り組みでは、あらかじめアウトプットを意識して学習することでインプットの質が高まり、受講者が「分かったつもり」の状態にとどまるのを解消することができた。講師をすることで研修内容を振り返る機会となり、他者に伝えるという責任感が生まれたことによって、学びの定着に繋がったのではないかと考えられる。研修時間以外でも、日常で他職員に伝えることができると答えた職員が増えてきており、実践能力に繋がっていると考えられる。また意識調査結果から、基礎となる研修の資料や内容の質を見直しオンライン研修を活用したことで効率的かつ、研修内容の質が安定して受けることができた。人前で話すことに苦手意識を持っている職員も講師として他者に伝えることが自信にも繋がっていると感じる。またアウトプットする職員をレベル3以上の職員としたことが、その役割を達成することにも繋がってきている。
【おわりに】
今後DX化が加速し便利になる中、人にしかできない介護とは何かを考え研修を設定する必要がある。機器に使われるのではなく、機器を使いこなせる専門職の育成及び、人にしかできない心のこもった介護を行なっていきたい。アウトプット研修をきっかけに、自信や意欲を引き出し、根拠を語れる職員育成に努めていきたい。今後さらに、同法人内の老人保健施設との取り組みにもITを活用しながら、お互いのスキルアップにも繋げていきたい。
当施設では介護業務を細分化し、間接介護を行う職員を配置することで、より介護の専門性が発揮できる環境に近づけている。令和4年度、自施設の教育的課題は、研修で得た学びが実践に活かされず、学びの定着に至っていないことであった。根拠を持ったケアの実践ができる専門職員を育成するために、次年度からの研修のあり方を検討しアウトプットを意識した研修構成にした。その結果、行っている支援に対し根拠を語れる力や、指導力(OJT)に対する意欲など、実践能力の向上に効果がみられたため、その取り組みについて報告する。
【目的】研修での学びを定着させ、根拠を語れる専門職員を育成する。
【実施期間】令和5年4月~令和6年現在
【対象職員】
介護役職者、リハビリ役職者、看護・介護職レベル3職員
レベル3とは:施設におけるラダー評価で、レベル3職員は、スタッフの教育および、知識を統合的に用い、新たな知識として発展させることを求めている。
【方法】
1)自施設の内部研修計画に沿った、研修テーマに該当する専門職が講師となり研修を行う。 受講職員は上記対象職員。
2)受講した職員2~3名で、未受講の職員を振り分け研修予定表を作成する。 (業務内で複数の職員が参加できるように、1日に2~3回に分けて開催する。)
3)1)を受講した職員が講師として研修を行う。
4)対象職員に対し意識調査の上、研修方法について評価、見直しを行う。
【結果】
1.意識調査の結果
1)研修受講後に講師(伝達)を行い、学びの定着に変化はみられましたか
令和5年9月(n=15) はい 6名(40%) いいえ0名(0%) どちらともいえない 9名(60%)
令和6年4月(n=18) はい11名(61.1%)いいえ1名(5.5%)どちらとも言えない 6名(33.3%)
・一度自分の頭の中で情報を整理する必要があるのでそれにより理解が深まった。
・いつも以上に研修を受ける姿勢が良くなった。
・伝達するときに分かりやすく説明しようと学んだことを理解しようと心掛ける様になった。
・自分の言葉で伝える事ができ頭に残った。
・どうすれば人に伝わるのかという所まで考えるので学びは定着しやすいかと思った。
2)研修後(講師(伝達)以外)に日常で学んだ事を他の職員へ伝える機会がありましたか
令和5年9月(n=15) はい 5名 いいえ 7名 どちらともいえない 3名
令和6年4月(n=18) はい 8名 いいえ 5名 どちらとも言えない 5名
・一度講師をすることで言語化しているのでアウトプットしやすかった。
3)講師(伝達)を行なう上で困った点はありますか
令和5年9月(n=15) はい10名(66.7%) いいえ3名(20%) どちらともいえない2名(13.3%)
令和6年4月(n=18)はい8名(44.4%) いいえ8名(44.4%) どちらとも言えない2名(11.1%)
・直近で講師の予定が入っておりもう少し早めにスケジュールを知りたかった。
・伝達するときに何を重要とするのか、初めの講義の中でポイントを強調してほしい。
・準備期間が短い、講師により伝えることに違いが出てくるのではないかと感じる。
4)研修での学びを現場で活かすことができていますか?
令和5年9月(n=15) はい9名(60%) いいえ0名(0%) どちらともいえない6名(40%)
令和6年4月(n=18) はい 14名(77.8%) いいえ0名(0%) どちらとも言えない4名(22.2%)
・意識し活かそうと努めている
・人に伝えるという部分で自分である程度理解していないといけない分、自分の頭に入りやすく 結果現場で活かす事が出来ると思う。
2.研修内容の評価、見直し
令和5年9月の意識調査の結果から、令和6年度はスケジュール管理や研修の方法2)の実施方法を変更し、基礎となる研修方法を見直しオンライン研修を活用した。
【考察】
アウトプットを用いた研修方法は、インプットした知識を、集合型研修でアウトプットすることでその知識を定着させ、実践につなげられることが分かった。業務スタイルに合わせた研修時間や回数を設定することで、より多くの職員が対面で受講でき、複数の講師であってもアウトプットをする機会が確保できた。今回の取り組みでは、あらかじめアウトプットを意識して学習することでインプットの質が高まり、受講者が「分かったつもり」の状態にとどまるのを解消することができた。講師をすることで研修内容を振り返る機会となり、他者に伝えるという責任感が生まれたことによって、学びの定着に繋がったのではないかと考えられる。研修時間以外でも、日常で他職員に伝えることができると答えた職員が増えてきており、実践能力に繋がっていると考えられる。また意識調査結果から、基礎となる研修の資料や内容の質を見直しオンライン研修を活用したことで効率的かつ、研修内容の質が安定して受けることができた。人前で話すことに苦手意識を持っている職員も講師として他者に伝えることが自信にも繋がっていると感じる。またアウトプットする職員をレベル3以上の職員としたことが、その役割を達成することにも繋がってきている。
【おわりに】
今後DX化が加速し便利になる中、人にしかできない介護とは何かを考え研修を設定する必要がある。機器に使われるのではなく、機器を使いこなせる専門職の育成及び、人にしかできない心のこもった介護を行なっていきたい。アウトプット研修をきっかけに、自信や意欲を引き出し、根拠を語れる職員育成に努めていきたい。今後さらに、同法人内の老人保健施設との取り組みにもITを活用しながら、お互いのスキルアップにも繋げていきたい。