講演情報
[14-O-P204-04]採用ギャンブル
*山本 正1、加藤 孝一1 (1. 大阪府 介護老人保健施設箕面グリーンビィラ)
慢性的な人員不足に陥っている当施設ではあるが、中途採用時の面接選考において改革を行い、約3年が経過した現在でも超早期退職者数「1」を継続している。
中途採用に限らず、職員採用面接には「人が人を判断する」という難しい問題が存在し、雇用することは一種の賭け(=ギャンブル)に似た側面を持つことは否定できないことから、採用面接をギャンブル化しないように取り組んでいる当施設の姿勢を紹介する。
中途採用に限らず、職員採用面接には「人が人を判断する」という難しい問題が存在し、雇用することは一種の賭け(=ギャンブル)に似た側面を持つことは否定できないことから、採用面接をギャンブル化しないように取り組んでいる当施設の姿勢を紹介する。
【はじめに】
どの施設・事業所においても人員不足は永遠の課題であり、人材の枯渇は将来的な見通しが立たないばかりか健全な施設経営・運営の根幹を揺るがす重要課題といっても過言ではない。これらを解消するには優秀な人材を雇用・登用する事に尽きるが、介護人材不足であるがゆえに、あらゆる方策を講じなければならない状況が続いているのが一般的である。
一方、当施設における「外国人人材の雇用」「新卒人材の採用」についてはどちらかというと消極的であり、介護助手導入による業務改善・軽減を行っているものの人材確保については中途採用に頼らざるを得ない状況が継続している。
令和3年10月、超早期退職者数の低下を指向し、採用(面接選考)システムの改革を行ったところ超早期退職者数は激減した。今回、この取り組みを紹介することで人員不足解消の一助となることを期待し演題を作成した。
【目的】
1.超早期退職者を減少させること
2.長期的に勤務できそうな人を雇用すること
3.中途採用時に発生するコストを削減すること
【方法】
1.面接担当者を固定すると共に就職希望部署責任者が同席する
2.面接の評価項目を「履歴書」「職務経歴書」「印象」「個人的資質」「特記事項」と設定し、可視化・標準化する
3.「履歴書(10項目)」「職務経歴書(5項目)」については社会一般的な基準を評価項目として設定・評価する
4.「印象(5項目)」はメラビアンの法則を意識しつつ評価項目を設定・評価する
5.「個人的資質(20項目)」については、一般的に面接で質問する内容を評価項目として設定・評価する
6.「特記事項(自由記入)」は「個人的資質」に挙げられている項目以外について評価する
7.上記3~6を加味し、面接担当者合議の上採用を決定する
【結果】
令和3年10月に採用(面接選考)システムを変更、同5年8月には可視化・標準化を図るための基準を導入してから面接実施総数は「60」を超えている。令和6年6月時点で採用数は「24」、超早期退職者数は「1」となり、この数字は現在も継続中である。また、傾向として、上記3~5の評価が低いと不採用になる傾向が強くなるものの、合議により逆転採用となったケースが2例存在する。
【考察】
採用面接を実施した総数や採用数に対する超早期退職者の割合等については改革以前のデータが無いため比較は困難であるが、改革以後超早期退職者数は「1」、特に面接の評価項目を設定してからは「0」を達成し定着する職員が増加した。安定した雇用継続のためには新人育成システムの構築・運用などサポート面の整備は当然の事ながら、「人がいないから、とにかく誰でも良いから採用してしまおう」「不安もあるけど一か八か雇用しよう」「定着してくれたらラッキー」などという「ギャンブル思考」的スタイルでは採用コスト面からも施設・事業所運営は立ち行かないことは明白である。さらに、新人育成にかかる時間や手間、育成担当者のモチベーション維持などを考慮すると、職員採用を「ギャンブル化しない・させない」ことは安定した施設・事業所運営を行うための重要ファクターであると言っても過言ではない。
【まとめ】
面接選考を経て人材を採用・雇用することは「人が人を判断する」という難題が存在し、一種の賭け(=ギャンブル)の側面を持つことは否定できない。求職者から選ばれるような施設・事業所になることは当然であり、求職者側も「選ばれる人材」になるべく努力することが必要となってくる。
当施設の副施設長が嫌う言葉として「現状維持バイアス」というものがある。現状を維持するのみでは施設・事業所の将来を見通せないばかりか生産性の更なる低下を招いてしまう危険性をも孕んでいる。人材を採用する側もされる側もこのような状態から脱却する、つまり、改善のサイクルを回し続け、スパイラルアップを目指すことこそが重要である。小さな取り組みの積み重ねが、取りも直さず介護職の社会的地位の向上や地域・介護業界の活性化に繋がると考えられ、ここには一切の妥協や停滞は許されない。
どの施設・事業所においても人員不足は永遠の課題であり、人材の枯渇は将来的な見通しが立たないばかりか健全な施設経営・運営の根幹を揺るがす重要課題といっても過言ではない。これらを解消するには優秀な人材を雇用・登用する事に尽きるが、介護人材不足であるがゆえに、あらゆる方策を講じなければならない状況が続いているのが一般的である。
一方、当施設における「外国人人材の雇用」「新卒人材の採用」についてはどちらかというと消極的であり、介護助手導入による業務改善・軽減を行っているものの人材確保については中途採用に頼らざるを得ない状況が継続している。
令和3年10月、超早期退職者数の低下を指向し、採用(面接選考)システムの改革を行ったところ超早期退職者数は激減した。今回、この取り組みを紹介することで人員不足解消の一助となることを期待し演題を作成した。
【目的】
1.超早期退職者を減少させること
2.長期的に勤務できそうな人を雇用すること
3.中途採用時に発生するコストを削減すること
【方法】
1.面接担当者を固定すると共に就職希望部署責任者が同席する
2.面接の評価項目を「履歴書」「職務経歴書」「印象」「個人的資質」「特記事項」と設定し、可視化・標準化する
3.「履歴書(10項目)」「職務経歴書(5項目)」については社会一般的な基準を評価項目として設定・評価する
4.「印象(5項目)」はメラビアンの法則を意識しつつ評価項目を設定・評価する
5.「個人的資質(20項目)」については、一般的に面接で質問する内容を評価項目として設定・評価する
6.「特記事項(自由記入)」は「個人的資質」に挙げられている項目以外について評価する
7.上記3~6を加味し、面接担当者合議の上採用を決定する
【結果】
令和3年10月に採用(面接選考)システムを変更、同5年8月には可視化・標準化を図るための基準を導入してから面接実施総数は「60」を超えている。令和6年6月時点で採用数は「24」、超早期退職者数は「1」となり、この数字は現在も継続中である。また、傾向として、上記3~5の評価が低いと不採用になる傾向が強くなるものの、合議により逆転採用となったケースが2例存在する。
【考察】
採用面接を実施した総数や採用数に対する超早期退職者の割合等については改革以前のデータが無いため比較は困難であるが、改革以後超早期退職者数は「1」、特に面接の評価項目を設定してからは「0」を達成し定着する職員が増加した。安定した雇用継続のためには新人育成システムの構築・運用などサポート面の整備は当然の事ながら、「人がいないから、とにかく誰でも良いから採用してしまおう」「不安もあるけど一か八か雇用しよう」「定着してくれたらラッキー」などという「ギャンブル思考」的スタイルでは採用コスト面からも施設・事業所運営は立ち行かないことは明白である。さらに、新人育成にかかる時間や手間、育成担当者のモチベーション維持などを考慮すると、職員採用を「ギャンブル化しない・させない」ことは安定した施設・事業所運営を行うための重要ファクターであると言っても過言ではない。
【まとめ】
面接選考を経て人材を採用・雇用することは「人が人を判断する」という難題が存在し、一種の賭け(=ギャンブル)の側面を持つことは否定できない。求職者から選ばれるような施設・事業所になることは当然であり、求職者側も「選ばれる人材」になるべく努力することが必要となってくる。
当施設の副施設長が嫌う言葉として「現状維持バイアス」というものがある。現状を維持するのみでは施設・事業所の将来を見通せないばかりか生産性の更なる低下を招いてしまう危険性をも孕んでいる。人材を採用する側もされる側もこのような状態から脱却する、つまり、改善のサイクルを回し続け、スパイラルアップを目指すことこそが重要である。小さな取り組みの積み重ねが、取りも直さず介護職の社会的地位の向上や地域・介護業界の活性化に繋がると考えられ、ここには一切の妥協や停滞は許されない。