講演情報
[14-O-P204-06]「働きたい介護現場づくりの実現に向けて」
*齊藤 綾1 (1. 愛媛県 介護老人保健施設 高井の里)
若い次世代の人材不足を改善するために、これから就職する福祉専門学生の抱えている不安や疑問・希望を明確にし、働きたいと思える介護現場づくりに繋げる為、アンケート調査を行った。その結果、福祉を目指す学生のほとんどが介護現場での就職を希望するが体力的・精神的に不安を抱えている事が分かった。その不安要素を軽減するために行っている当施設での取り組み、今後の課題について報告する。
【初めに・目的】
当施設では介護現場で働く年齢割合の内、40代以上81%。その一方で、10代・20代の若い次世代8%。当施設でも人材確保は問題であり、若い次世代の人材確保が必要だが難しい状況にある。今回、これから就職する福祉専門学生の介護現場へのイメージや不安要素について明確にし、それを軽減・改善する事で人材確保に繋げたいと考え、福祉専門学生にアンケートを行い、集計・分析。その結果、福祉を目指す学生のほとんどが介護現場での就職を希望するが体力的・精神的に不安を抱えている事が分かった。その不安要素を軽減するために行っている当施設での取り組み、今後の課題について報告する。
【方法】
・期間2023.11.13~2023.12.20
・対象者 福祉専門学生70名
・方法 アンケート調査(複数回答項目有)
・回答数 70名(回収率100%)
・分析 アンケートをまとめ数値化
・倫理的配慮 アンケートは無記名、自由回答とし研究にのみ使用。また、不参加による不利益はなく、アンケートの記載を持って同意を得たとみなした。
【アンケート結果・分析・当施設での取り組み・課題】
1.将来、介護の仕事に就職する予定か?
はい87%、迷っている11%、いいえ2%
○11%の学生が「迷っている」と回答。学生達が介護現場で働きたいと思うには、現在、働いている職員が仕事内容・やりがい・施設の方針・今後の課題などを伝えることで、不安要素の軽減に繋がると考える。
2.将来の介護の仕事に不安や心配があるか?
はい 87%、いいえ7%、どちらでもない6%
○ほとんどの学生が介護の仕事に不安要素があり理由の最多数は体力的な不安。これについて当施設は、人力を主とした介助方法からフレックスボードなどの福祉用具を活用した介助方法への移行を推進。以前まで人力で抱え上げての移乗時に起こる利用者の筋緊張などが軽減され苦痛な表情が少なくなった。体力的に不安な学生が多数いたが、施設見学・現場体験できる場所を提供することで不安の軽減に繋がると考える。また一方で、福祉用具の正しい使用方法の周知が不十分という課題があり理学療法士等を中心に負担が少ない介助方法に変更していく必要がある。
3.介護職はどんなイメージか?
やりがいがある38%、体力的に大変24%、精神的にしんどい18%、人手不足7%、
給料が低い6%、キャリアアップができる4%
○最多数は「やりがいがある」であり良いイメージだった。この良いイメージを継続させる事が働きたい介護現場づくりに繋がると考える。ただし良いイメージをまとめると42%。良くないイメージをまとめると58%となり、やりがいがありそうだが体力的・精神的に大変、勤務体制などに不安がある事が分かる。やりがいに対しての当施設での取り組みは、行事にも力を入れている。去年から施設内で夏祭りを再開し、利用者の違う笑顔を見ることができ、充実感を得ていた職員もいた。日々の業務の中、準備する職員の負担も大きいが利用者・家族から「ありがとうございます」という声は、働く職員にとってやりがいに繋がっていると感じている。また先輩・後輩の垣根を超え一緒に行事をやり遂げた経験は、日々の業務での相談しやすい空気づくりの一環となっているのではないかと考える。
4.介護現場における身体的、精神的に大変そうと思う介護は?
認知症利用者の対応22%、排泄介助20%、入浴介助17%、移乗介助14%、食事介助9%
○身体介助に関するものが65%。体力的に不安が多い中「認知症利用者の対応が大変そう」の回答が最多数で理由は、知識が不十分で認知症利用者との関わり方が分からないだった。その不安を軽減するために行っている当施設での取り組みは、認知症介護実践者研修・リーダー研修の受講を推進しており現在11名配置し認知症利用者の理解が深くなり対応の幅が広がった。また勉強会で認知症について発表、困難事例への多職種カンファレンスを実施、経験の浅い職員の不安軽減に繋がっている。課題は、個々の周辺症状に寄り添った介護に達していないことだ。今年度から“認知症ケア委員会”を立ち上げ、施設全体で取り組む体制になり、個々の周辺症状に寄り添った質の高い介護の実現を目指している。
5.実習を通じて介護現場の日常的な仕事の雰囲気は?
職員が常にバタバタしていて忙しそう67%、明るく元気で楽しそう19%、
利用者と職員との信頼関係が築けている10%、その他4%(学校で学んだ事とのギャップがありそう等)
○施設で実習した福祉専門学生67%がマイナスイメージを体験。理由として、体力的・精神的に不安を感じたと回答。また、学校とのギャップがありそうという回答もあった。実習で感じたギャップ・学校で学んでいる事などについて学生からだけでなく先生からも情報収集し、実習内容を見直す必要があると考える。
6.どのような介護の現場で働きたいと望んでいるか?
現場の連携を大切にしている環境56%、勤務体制が整っている31%、利用者を尊重する体制11%
○介護現場で働くには、不安要素として身体介助や認知症利用者の対応の仕方が上がっていたが、自分が実際働きたい場所は、それ以上に他職種と連携が取れている職場である事が分かった。
【まとめ】
今回アンケートを行ったことで、これから就職する福祉専門学生の抱えている不安や疑問・希望を把握できた。また当施設での今後の取り組みとして、体に負担が少ない正しい移乗方法・個々の認知症利用者に寄り添った質の高い介護を目指すという課題が明確になった。さらに若い次世代の人材確保への労働環境の整備、システム作りが大切であり、これらを整えていく事が若い次世代と繋がるとともに今働いている職員にとっても働き続けたい職場になると考える。
当施設では介護現場で働く年齢割合の内、40代以上81%。その一方で、10代・20代の若い次世代8%。当施設でも人材確保は問題であり、若い次世代の人材確保が必要だが難しい状況にある。今回、これから就職する福祉専門学生の介護現場へのイメージや不安要素について明確にし、それを軽減・改善する事で人材確保に繋げたいと考え、福祉専門学生にアンケートを行い、集計・分析。その結果、福祉を目指す学生のほとんどが介護現場での就職を希望するが体力的・精神的に不安を抱えている事が分かった。その不安要素を軽減するために行っている当施設での取り組み、今後の課題について報告する。
【方法】
・期間2023.11.13~2023.12.20
・対象者 福祉専門学生70名
・方法 アンケート調査(複数回答項目有)
・回答数 70名(回収率100%)
・分析 アンケートをまとめ数値化
・倫理的配慮 アンケートは無記名、自由回答とし研究にのみ使用。また、不参加による不利益はなく、アンケートの記載を持って同意を得たとみなした。
【アンケート結果・分析・当施設での取り組み・課題】
1.将来、介護の仕事に就職する予定か?
はい87%、迷っている11%、いいえ2%
○11%の学生が「迷っている」と回答。学生達が介護現場で働きたいと思うには、現在、働いている職員が仕事内容・やりがい・施設の方針・今後の課題などを伝えることで、不安要素の軽減に繋がると考える。
2.将来の介護の仕事に不安や心配があるか?
はい 87%、いいえ7%、どちらでもない6%
○ほとんどの学生が介護の仕事に不安要素があり理由の最多数は体力的な不安。これについて当施設は、人力を主とした介助方法からフレックスボードなどの福祉用具を活用した介助方法への移行を推進。以前まで人力で抱え上げての移乗時に起こる利用者の筋緊張などが軽減され苦痛な表情が少なくなった。体力的に不安な学生が多数いたが、施設見学・現場体験できる場所を提供することで不安の軽減に繋がると考える。また一方で、福祉用具の正しい使用方法の周知が不十分という課題があり理学療法士等を中心に負担が少ない介助方法に変更していく必要がある。
3.介護職はどんなイメージか?
やりがいがある38%、体力的に大変24%、精神的にしんどい18%、人手不足7%、
給料が低い6%、キャリアアップができる4%
○最多数は「やりがいがある」であり良いイメージだった。この良いイメージを継続させる事が働きたい介護現場づくりに繋がると考える。ただし良いイメージをまとめると42%。良くないイメージをまとめると58%となり、やりがいがありそうだが体力的・精神的に大変、勤務体制などに不安がある事が分かる。やりがいに対しての当施設での取り組みは、行事にも力を入れている。去年から施設内で夏祭りを再開し、利用者の違う笑顔を見ることができ、充実感を得ていた職員もいた。日々の業務の中、準備する職員の負担も大きいが利用者・家族から「ありがとうございます」という声は、働く職員にとってやりがいに繋がっていると感じている。また先輩・後輩の垣根を超え一緒に行事をやり遂げた経験は、日々の業務での相談しやすい空気づくりの一環となっているのではないかと考える。
4.介護現場における身体的、精神的に大変そうと思う介護は?
認知症利用者の対応22%、排泄介助20%、入浴介助17%、移乗介助14%、食事介助9%
○身体介助に関するものが65%。体力的に不安が多い中「認知症利用者の対応が大変そう」の回答が最多数で理由は、知識が不十分で認知症利用者との関わり方が分からないだった。その不安を軽減するために行っている当施設での取り組みは、認知症介護実践者研修・リーダー研修の受講を推進しており現在11名配置し認知症利用者の理解が深くなり対応の幅が広がった。また勉強会で認知症について発表、困難事例への多職種カンファレンスを実施、経験の浅い職員の不安軽減に繋がっている。課題は、個々の周辺症状に寄り添った介護に達していないことだ。今年度から“認知症ケア委員会”を立ち上げ、施設全体で取り組む体制になり、個々の周辺症状に寄り添った質の高い介護の実現を目指している。
5.実習を通じて介護現場の日常的な仕事の雰囲気は?
職員が常にバタバタしていて忙しそう67%、明るく元気で楽しそう19%、
利用者と職員との信頼関係が築けている10%、その他4%(学校で学んだ事とのギャップがありそう等)
○施設で実習した福祉専門学生67%がマイナスイメージを体験。理由として、体力的・精神的に不安を感じたと回答。また、学校とのギャップがありそうという回答もあった。実習で感じたギャップ・学校で学んでいる事などについて学生からだけでなく先生からも情報収集し、実習内容を見直す必要があると考える。
6.どのような介護の現場で働きたいと望んでいるか?
現場の連携を大切にしている環境56%、勤務体制が整っている31%、利用者を尊重する体制11%
○介護現場で働くには、不安要素として身体介助や認知症利用者の対応の仕方が上がっていたが、自分が実際働きたい場所は、それ以上に他職種と連携が取れている職場である事が分かった。
【まとめ】
今回アンケートを行ったことで、これから就職する福祉専門学生の抱えている不安や疑問・希望を把握できた。また当施設での今後の取り組みとして、体に負担が少ない正しい移乗方法・個々の認知症利用者に寄り添った質の高い介護を目指すという課題が明確になった。さらに若い次世代の人材確保への労働環境の整備、システム作りが大切であり、これらを整えていく事が若い次世代と繋がるとともに今働いている職員にとっても働き続けたい職場になると考える。