講演情報
[14-O-P205-02]研修のバリエーションを増やしてみた誰もが参加しやすい研修の実施
*加藤 和博1、榊原 和真1 (1. 愛知県 介護老人保健施設メディコ阿久比)
スタッフのスキルアップのための研修や介護保険法で定められている研修は継続して行う必要があるが、看護・介護スタッフの変則勤務や感染症の流行により、数日間に分けて研修を実施しても、全職員が対面で研修を行うことが難しくなっている。対面以外の研修のバリエーションを増やして実施し、研修を実施後に研修についてのアンケートを取り、次回の研修に繋げるという取り組みについて、課題や改善点も含めて報告する。
【はじめに】
当施設では、各委員会のスタッフが朝礼時に対面で職員研修を実施していたが、看護・介護スタッフの変則勤務や感染症の流行により、対面での研修に参加出来ない職員が増えてきている。参加できない職員に対しては、書面の回覧を行うことで研修を行ってきたが、トランスファー研修や感染時のBCP、福祉用具の使用方法等の研修を行う際に「書面だけでは理解しづらい」「もっと分かりやすい研修を行って欲しい」という意見が増えていた。
そこで、教育研修委員会で議論を行い、職員研修のバリエーションを増やすことで、「参加しやすく・分かりやすい研修」になるのではとの結論に至った。研修のバリエーションを増やすことでの研修に対する理解度や研修に対する要望について、研修参加者からアンケートを取り今後の研修のあり方や課題・改善点も含めて報告する。
【方法】
事故防止委員会が実施する危険予知トレーニング研修について、新型コロナウイルス流行前の令和元年6月から、令和5年8月までの計6回について、受講者から理解度(1.わかりやすかった2.わかった3.わかりにくかったの3段階)と要望についてのアンケートを実施。アンケートでの要望に応えて、次回の研修に活かすという方法で実施。
実施内容
(1)令和元年6月 対面でのグループワーク+書面回覧
(2)令和2年6月 パワーポイントでの静止画スライドショー(ナレーションなし)
(3)令和3年12月 マイクロソフトフォトで編集した静止画(ナレーションあり)
(4)令和4年8月 マイクロソフトフォトで編集した動画・静止画(ナレーションあり)
(5)令和5年3月 対面研修+マイクロソフトフォトで編集した動画・静止画(ナレーションあり)
(6)令和5年8月 対面でのグループワーク+グループワークの様子を撮影し動画で回覧
【結果】
(1)わかりやすかった74% わかった26% わかりにくかった0%
(2)わかりやすかった83% わかった17% わかりにくかった0%
(3)わかりやすかった89% わかった11% わかりにくかった0%
(4)わかりやすかった86% わかった14% わかりにくかった0%
(5)わかりやすかった84% わかった16% わかりにくかった0%
(6)わかりやすかった85% わかった15% わかりにくかった0%
【考察】
(1)のアンケートでは「皆でディスカッションをすることで自分が気付かなかったことが気付けることができ良かった」との意見もある一方で書面回覧のみになってしまったスタッフからは「危険予知トレーニングは書面を見るだけでは物足りない、今後は参加したい」という意見もあった。
(2)この時期からは新型コロナウイルス流行期に入り、ソーシャルディスタンス確保のため対面での研修を中止し、記録入力用のタブレットにスライドを収録する形で研修を実施した。アンケートでは「スライドショーで見る方が書面回覧よりも内容が入りやすい」「スライドだったので何回かみられてわかりやすい」という意見や「せっかくの研修なので声も入っているともっとわかりやすいかなと思った」という意見が上がった。
(3)前回の研修アンケートの意見を参考にし、静止画スライドにナレーションを入れて実施した。アンケートでは「事故予防についての知識がなかったためとても勉強になった。聞き取れなかった所やメモしたい所は画面を止めて見直しすることができた」「ナレーションに抑揚があり聞き取りやすく、頭に残りやすかった」とわずかな差であるがこの研修が6回の研修の中で理解度が高かった。
(4)この研修からは、危険予知のシーンの写真を使っての静止画から、スタッフが利用者役になりビデオ撮影して動画で実施した。アンケートでは「オーバーアクションで笑ってしまったが、実際に事故を起こす利用者の方々はこのような状況かもしれないと思った」「良い例・悪い例を動画で比較できわかりやすかった」との意見もある一方、「ナレーションに抑揚がなく途中から飽きてきた」との意見もあり、スタッフのナレーションスキルも重要だと感じることになった。
(5)この時期からは新型コロナウイルス対策が緩和され、対面での研修を再開し、参加出来ないスタッフに対してタブレットでの研修を実施した。対面での研修については「その場で質問をすることができたため、疑問を解決することができた」との意見があったが、タブレット研修の参加者からは「トランスファー時のリスクが学べるなら実際にやってみてしっかり学べる研修があれば良い」との意見も上がった。
(6)久しぶりにグループワークでの研修を実施し、参加できなかったスタッフに対してはグループワークの様子を録画しタブレットで回覧できるよう対応した。グループワーク参加者は「スライドとグループワークの用紙記載し、特に危険なものについて対策を考えるとの流れがとてもわかりやすく、混乱せずに行えた」「プロジェクターの大画面での動画がとても見やすくわかりやすかった」と好意的な意見が多かったがタブレットでの動画については「タブレットでは画面がみにくく危険な場所が回答できなかった」「内容はわかりやすいが画面がわかりにくかった」との意見もありグループワークの内容を参加できなかったスタッフに伝達する難しさを感じた。
【まとめ】
今回の研究を通して、研修参加者からアンケートを取り要望に応えることで研修のバリエーションを増やすことができた。対面研修以外の研修の理解度についても大きな変化はみられず、研修の質も担保できていると考えられる。ただ、グループワークに参加できなかったスタッフへの研修をどう担保するのか、研修を行う側のナレーションのスキルにより理解度が変化する等の課題が残った。
今後も研修参加者からの要望を聞き取り、誰もが参加しやすくわかりやすい研修の実施を目指していきたい。
当施設では、各委員会のスタッフが朝礼時に対面で職員研修を実施していたが、看護・介護スタッフの変則勤務や感染症の流行により、対面での研修に参加出来ない職員が増えてきている。参加できない職員に対しては、書面の回覧を行うことで研修を行ってきたが、トランスファー研修や感染時のBCP、福祉用具の使用方法等の研修を行う際に「書面だけでは理解しづらい」「もっと分かりやすい研修を行って欲しい」という意見が増えていた。
そこで、教育研修委員会で議論を行い、職員研修のバリエーションを増やすことで、「参加しやすく・分かりやすい研修」になるのではとの結論に至った。研修のバリエーションを増やすことでの研修に対する理解度や研修に対する要望について、研修参加者からアンケートを取り今後の研修のあり方や課題・改善点も含めて報告する。
【方法】
事故防止委員会が実施する危険予知トレーニング研修について、新型コロナウイルス流行前の令和元年6月から、令和5年8月までの計6回について、受講者から理解度(1.わかりやすかった2.わかった3.わかりにくかったの3段階)と要望についてのアンケートを実施。アンケートでの要望に応えて、次回の研修に活かすという方法で実施。
実施内容
(1)令和元年6月 対面でのグループワーク+書面回覧
(2)令和2年6月 パワーポイントでの静止画スライドショー(ナレーションなし)
(3)令和3年12月 マイクロソフトフォトで編集した静止画(ナレーションあり)
(4)令和4年8月 マイクロソフトフォトで編集した動画・静止画(ナレーションあり)
(5)令和5年3月 対面研修+マイクロソフトフォトで編集した動画・静止画(ナレーションあり)
(6)令和5年8月 対面でのグループワーク+グループワークの様子を撮影し動画で回覧
【結果】
(1)わかりやすかった74% わかった26% わかりにくかった0%
(2)わかりやすかった83% わかった17% わかりにくかった0%
(3)わかりやすかった89% わかった11% わかりにくかった0%
(4)わかりやすかった86% わかった14% わかりにくかった0%
(5)わかりやすかった84% わかった16% わかりにくかった0%
(6)わかりやすかった85% わかった15% わかりにくかった0%
【考察】
(1)のアンケートでは「皆でディスカッションをすることで自分が気付かなかったことが気付けることができ良かった」との意見もある一方で書面回覧のみになってしまったスタッフからは「危険予知トレーニングは書面を見るだけでは物足りない、今後は参加したい」という意見もあった。
(2)この時期からは新型コロナウイルス流行期に入り、ソーシャルディスタンス確保のため対面での研修を中止し、記録入力用のタブレットにスライドを収録する形で研修を実施した。アンケートでは「スライドショーで見る方が書面回覧よりも内容が入りやすい」「スライドだったので何回かみられてわかりやすい」という意見や「せっかくの研修なので声も入っているともっとわかりやすいかなと思った」という意見が上がった。
(3)前回の研修アンケートの意見を参考にし、静止画スライドにナレーションを入れて実施した。アンケートでは「事故予防についての知識がなかったためとても勉強になった。聞き取れなかった所やメモしたい所は画面を止めて見直しすることができた」「ナレーションに抑揚があり聞き取りやすく、頭に残りやすかった」とわずかな差であるがこの研修が6回の研修の中で理解度が高かった。
(4)この研修からは、危険予知のシーンの写真を使っての静止画から、スタッフが利用者役になりビデオ撮影して動画で実施した。アンケートでは「オーバーアクションで笑ってしまったが、実際に事故を起こす利用者の方々はこのような状況かもしれないと思った」「良い例・悪い例を動画で比較できわかりやすかった」との意見もある一方、「ナレーションに抑揚がなく途中から飽きてきた」との意見もあり、スタッフのナレーションスキルも重要だと感じることになった。
(5)この時期からは新型コロナウイルス対策が緩和され、対面での研修を再開し、参加出来ないスタッフに対してタブレットでの研修を実施した。対面での研修については「その場で質問をすることができたため、疑問を解決することができた」との意見があったが、タブレット研修の参加者からは「トランスファー時のリスクが学べるなら実際にやってみてしっかり学べる研修があれば良い」との意見も上がった。
(6)久しぶりにグループワークでの研修を実施し、参加できなかったスタッフに対してはグループワークの様子を録画しタブレットで回覧できるよう対応した。グループワーク参加者は「スライドとグループワークの用紙記載し、特に危険なものについて対策を考えるとの流れがとてもわかりやすく、混乱せずに行えた」「プロジェクターの大画面での動画がとても見やすくわかりやすかった」と好意的な意見が多かったがタブレットでの動画については「タブレットでは画面がみにくく危険な場所が回答できなかった」「内容はわかりやすいが画面がわかりにくかった」との意見もありグループワークの内容を参加できなかったスタッフに伝達する難しさを感じた。
【まとめ】
今回の研究を通して、研修参加者からアンケートを取り要望に応えることで研修のバリエーションを増やすことができた。対面研修以外の研修の理解度についても大きな変化はみられず、研修の質も担保できていると考えられる。ただ、グループワークに参加できなかったスタッフへの研修をどう担保するのか、研修を行う側のナレーションのスキルにより理解度が変化する等の課題が残った。
今後も研修参加者からの要望を聞き取り、誰もが参加しやすくわかりやすい研修の実施を目指していきたい。